恋と愛を知ったのは、陰謀だらけの王宮でした。

みるく

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2:母と子と陰謀

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「・・・なんだって?」
デニスは目を見開きサリアナをみる

「この子は早産だったとお聞きになられましたでしょ?」
「あ、ああ・・・」

デニスは震える手で赤子の頬をなであげる
「実は、デニス様と結ばれた後に懐妊がわかり、慌ててダミアン様とも・・・」
そう言って目を伏せるサリアナの肩にデニスは手を乗せた

「サリアナ・・・それは誠のことなのか?」

ジロリと目を座らせてサリアナを見るデニスにビクリと身体を強張らせる
「・・・はい。黙っていて申し訳ありません。ですが、私もデニス様の妻メリンダのようにデニス様とのお子が欲しく・・・」
「バレてしまえば僕も其方もただでは済まないのだよ?」
「万一バレてしまってもデニス様には何があっても咎を問わないようお願いをします!!私だけが罪を被ります。どうか、私を捨てないでください!!」
大きな瞳に涙をためてデニスに懇願するとデニスはフッと顔の表情を柔らかくさせた

「そんなに不安にならないで僕の愛しい人、甥っ子がまさか私の子だとわかって愛しさがさらに増したよ。」
「デニス様・・・」
「兄上には絶対に勝つことができないと思っていたが、この様な形で兄上より勝ることが出来るとはね。」

サリアナの唇にキスを落とすデニス
「サリアナ、私の子を産んでくれてありがとう。次男にはなるがこの時代どの様なことが起こるかなどわからない。この子は次代の王になれる子かもしれない。」
「デニス様と私のお子が次代の王に・・・」
「そうだよ、サリアナ。長男であるダリル王子を産んですぐに兄上を教育していた教育係と乳母に取り上げられて我が子を殆ど抱けず毎日泣いていた僕の可愛い人の元に僕と君の愛おしい子が来たんだ。 この子は君の元で育てるんだ。そして次代の王に・・・」
「デニス様・・・」
「いいね。これは僕と君の秘め事・・・誰にも知られてはならない。」

「勿論です。 デニス様、私はこの子を守りそして必ず次代の王に・・・んっ」

言い終わる寸前でデニスに唇をふさがれ角度を変え何度もキスをする

「しっ・・・君の侍女に聞こえるかもしれない。 愛してるよサリアナ。僕も必ず君とこの子を支えよう。」
「ありがとうございます。」

うっとりとした顔でベッドの上からデニスを見送った


大嵐はより強くなる







デニスとサリアナの秘め事から数日経過した日

「サリアナ様、王様がおいでになられました。」
「まぁ、王様が!お通しして。」

そう言いながらベッドの上でサッと髪を整え、侍女から赤子を受け取り笑顔を作る

「王様。」
「おお、王太子妃よ!」
「このような姿で申し訳ございません。」
そう言って右手を胸の上に置いて頭を小さくペコリと下げる

「良い良い、産後なのだゆったりと過ごしなさい。我が孫はまたしても王子とな?大義であった。どれ、わしが抱いてやろう」
「ぜひ。」
サリアナは腕に抱いていた赤子を王様へと渡す
「可愛らしいのぉ、こたびは其方に似て美男になりそうだ」
「恐れ入ります。」
「かように妻が大義を成したと言うのに、王太子はまだ顔を見せぬのか?」

王様は扉の方に目をやりため息をつく。
「王太子殿下はお忙しい方ですから、それに出産してすぐに殿下に事付けを頼まれたデニス殿下が来てくださいました。」
「デニスが?そうか、まぁそれなら良いだろう。しかし、父親がなかなか来ぬなど」
「他国の密偵が見つかったと連絡が入り、急遽対応していたのです。」
王様がボヤく後ろから少し疲れた声色が近づいて来た

「おお、ダミアン」
「父上のお小言が外まで聞こえておりましたよ。孫が起きてしまいます。それに、密偵の件は父上がお忙しい為私が対応したのですよ?」
「産まれた直後だったゆえ、顔だけでも出して行くのかと思っておったのにそれもなかったではないか」
ダミアンは王様の隣に用意された椅子に腰掛け王様の腕の中に包まれた子を見つめ柔らかく笑う


「・・・一度でも見てしまえば、ここから離れることなど出来ませんよ・・・サリアナもすぐに来ることができずすまない、よく頑張ってくれた。」

黒髪の端正な顔立ちのダミアンは甘い顔立ちのデニスとは異なり凛とした佇まいで将来の王に相応しい品格をしている
そんなダミアンが顔を綻ばせながら赤子を見つめ妻を大切にする姿に王様は嬉しそうに目を細めた
「まぁ、そうであろうな。このように可愛い子を見てしまえば仕事など身に入らなくなる」

そう言いながら王様はダミアンへ赤子を渡し椅子から立ち上がった


「密偵の件は別の者から聞く、お前はしばらくここに居て妻と子を労いなさい」
「父上・・・ありがとうございます」
王様はヒラヒラと手を振りながら部屋から出ていく


「殿下、お忙しい中ありがとうございます」
「君が大変な時に付き添ってあげられずすまない。だがこうして君もこの子も無事でいてくれて本当にありがたいよ」
「殿下・・・そのように私とこの子を想ってくださりありがとうございます」
柔らかく微笑むサリアナにダミアンは優しく微笑みサリアナの顔にさらりとかかった髪を耳にかけてやる

「それで、この子の名前なんだが、セシルという名はどうだろう?」
「まぁ、セシル!とても良い名です!」
「将来王になるであろう兄ダリルを支える素晴らしい弟になるよう、・・・私とデニスのようになるように育って欲しい。」
「えぇ・・・もちろんですわ。」

未来の子ども達を思い語るダミアンに気づかれないよう微笑むサリアナはダミアンから見えないところでギュッと拳を握る

「殿下、ひとつ・・・私からお願いしたいことがあるのです。」
「なんだい? 王太子妃の1番の仕事である出産という大義を成したんだ、私にできる事ならなんでもしよう。」

ダミアンはサリアナの手に片手をそっと伸ばし包み込む

「セシルを・・・セシルを私から引き離さないでください!!」
「ふ、ぅえ・・・ぅうぇーー」

サリアナの大きな声に驚きセシルが泣き始め、部屋の隅で待機していた侍女のマーヤがセシルを抱きあげ部屋の外へ出た
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