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39:譲れない想い
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「兄上・・・俺はアイツが好きです。・・・兄上、どうかセラを俺にください。」
セシルの言葉に頭がうまく回らない。
セラを欲しい?何故そんなことを?ぐるぐると頭の中で考えるが何も出てこない。
「何を・・・言ってるんだ?」
セシルにそう問うが、セシル本人も目を見開き手で口元を押さえていた。
しばらく重い沈黙が続き、ようやくダリルはセシルに向かって口を開いた。
「お前には、妻も子もいるじゃないか・・・」
ようやく言えた言葉は思っていた以上に震え、自分が立っているという感覚すら無くなりそうなほどだ。
心音が大きすぎて全身が脈打っているような感覚になる。
セシルはこちらをじっと見つめてくる。
同じ琥珀色の瞳で。
「兄上は、俺がティファと結婚させられて幸せだと思っているんですか?」
「?!」
冷たくも悲しい目でこちらを見つめるセシルは今まで見たことがない。
「なにを・・・政略結婚とはいえ、仲睦まじくしているのでは」
「表向きだけです。俺は母上に言われてしたくもない結婚を仕方なくさせられました。」
そんなことを話したセシルは短く息を吐くと、目には光が入っていないのに口角を上げている。
まるで諦めに近い顔だ。
兄として動揺してばかりは良くないと、グッと拳に力を入れてセシルと向き合う。
「私だって、今後政略結婚させられるはずだ。それにセラは物ではない。ちゃんと心のある一人の人間で選ぶ権利がある。それに・・・私はセラに王族だと話していない。あの者と結ばれるなど・・・ないんだ。」
自分で言っていて悲しくなる
だが、これは事実。
王族と平民が婚姻など聞いたことがない。
マルコに口酸っぱく言われ続けている。
「恋は応援します。ですがこれは期限付きのもの。ダリル様のご結婚相手が見つかり次第諦めてください。」
その言葉を思い出し、いま自分が言った言葉に傷付いている。
ダリルは爪が食い込むくらい拳に力を入れた。
「セラは・・・誰のものでもない。」
「では、俺がセラを落としても問題ありませんよね」
その言葉に目を見開く
「セシル!!」
「俺はセラと出会ってから、あの女をずっと求め続けてる。兄上だってそうでしょう?王太子として制限されて生きてきて、自由に笑ったり、怒ったりして振る舞うセラを初めは興味深かっただけ。気がついた時には、セラをずっと求め続けていたんじゃないですか?」
「・・・」
その通りの事を指摘され何も言えない。
ついセラを目で追ってしまう。
話ができた日は嬉しさでずっと心が軽い
セラがいない日は何をしているのかと考えてしまう。
まさか、同じ血を引く弟も同じ女に焦がれているとは・・・
そんなことを考えていると、セシルは私の方に顔を近づけてくる
「俺は、セラが欲しい。幼い頃俺が欲しいと言えばなんでもくれた兄上なら、諦めてくれますよね?」
「・・・セシル、それだけは出来ない。おもちゃもお菓子もお前が好きなものをあげてきた。だが、セラだけは。お前に渡せない」
同じ瞳で睨み合う
性格も正反対なはずなのに、こんなところで似ているとは、血は争えないとはこういうことなのか。
そう感じざるをえない
「そうですか・・・」
セシルはそう言うと踵を返した
「おい、セシル」
まだ話が終わっていないと肩を掴もうとした時
「兄上、俺は諦めません。俺なりにセラの心を掴みます。兄上、どちらが勝つか勝負ですね。」
そう言って庭園を出て行く。
空の夕闇は、気が付いたら夜の深い青に変わっていた。
バンッ
勢いよく執務室の扉が開いた
その音に中にいたマルコが驚き、扉の方を見る。
「ダリル様!どうされたんですか?!」
明らかに怒った顔のダリルにマルコが目を見開き駆け寄る。
少しだけだからと、サプライズパーティーの終わり頃に、ダリルを一人で庭園まで行かせたことを後悔した。
ダリルはマルコを見ることなく奥の椅子に腰掛ける
机に両肘を乗せて口元で両手を組むと何か考え事をしているようで、声をかけるなという圧を感じる。
マルコはどうしたものかと机を挟んだ向かい側に立ち、思案していると、ジャンがマルコの隣に寄ってきた。
「ダリル様、何かあったんでしょうか・・・」
「そうなんだろう・・・こんなに怒りに満ちた目をしているダリル様は殆ど見ないからな。」
静かな執務室に時計の音だけが聞こえてくる。
しばらくして、ダリルがやっと口を開いた。
「・・・今すぐセシルとセラが、どこで知り合ったのか調べろ」
そう命じた瞬間、マルコは一瞬目を見開く。
「え?セシル殿下とセラ・・・ですか?」
一体どう言うことだと言わんばかりに首を傾げる二人を見てダリルが庭園での事を説明する
「ぇえええ!!!セシル様もセラを!?!」
マルコは大きな声を出しひっくり返りそうなほど仰け反る
そこをすかさずジャンが支えて転ばずに済んだ。
「あああ、この国の王子二人が平民の女性に心を奪われるなんて・・・それも、同じ女性」
泡を吹いて倒れるんじゃないかと言うほど顔色が悪いマルコ
「血は争えないってことなんですかね?」
驚いた様子もなくそう言うジャンの頭をマルコははたく。
ジャンはそんなに痛くなかったのか、はたかれた場所をポリポリと掻いている。
「わからん・・・わからんが。既婚者であるセシルに彼女を奪われるわけには行かない。」
ダリルは口元で握っていた両手に力が入る
「セラの心を掴んだとしても公爵令嬢だったティファ妃がいる今、セラは側室止まりだ。それに、母上が平民を側室になど許すはずもない・・・」
出来ることならば自分が娶りたいというのに、弟の側室になんてなってほしくない。
ダリルの顔がまたどんどん険しくなってきて、マルコとジャンは身震いした。
「と、とにかく。私とジャンで、セシル殿下とセラがいつ出会ったのか等探って参ります。」
「はい。ですからダリル様はこちらで大人しくしていてください。」
マルコとジャンはそう言うと執務室を出て行った。
ドンッ
ダリルは強く机を叩く
「セシル・・・セラだけはお前に渡さんっ!」
爪が食い込むくらい握りしめ、拳が震える。
セシルの言葉に頭がうまく回らない。
セラを欲しい?何故そんなことを?ぐるぐると頭の中で考えるが何も出てこない。
「何を・・・言ってるんだ?」
セシルにそう問うが、セシル本人も目を見開き手で口元を押さえていた。
しばらく重い沈黙が続き、ようやくダリルはセシルに向かって口を開いた。
「お前には、妻も子もいるじゃないか・・・」
ようやく言えた言葉は思っていた以上に震え、自分が立っているという感覚すら無くなりそうなほどだ。
心音が大きすぎて全身が脈打っているような感覚になる。
セシルはこちらをじっと見つめてくる。
同じ琥珀色の瞳で。
「兄上は、俺がティファと結婚させられて幸せだと思っているんですか?」
「?!」
冷たくも悲しい目でこちらを見つめるセシルは今まで見たことがない。
「なにを・・・政略結婚とはいえ、仲睦まじくしているのでは」
「表向きだけです。俺は母上に言われてしたくもない結婚を仕方なくさせられました。」
そんなことを話したセシルは短く息を吐くと、目には光が入っていないのに口角を上げている。
まるで諦めに近い顔だ。
兄として動揺してばかりは良くないと、グッと拳に力を入れてセシルと向き合う。
「私だって、今後政略結婚させられるはずだ。それにセラは物ではない。ちゃんと心のある一人の人間で選ぶ権利がある。それに・・・私はセラに王族だと話していない。あの者と結ばれるなど・・・ないんだ。」
自分で言っていて悲しくなる
だが、これは事実。
王族と平民が婚姻など聞いたことがない。
マルコに口酸っぱく言われ続けている。
「恋は応援します。ですがこれは期限付きのもの。ダリル様のご結婚相手が見つかり次第諦めてください。」
その言葉を思い出し、いま自分が言った言葉に傷付いている。
ダリルは爪が食い込むくらい拳に力を入れた。
「セラは・・・誰のものでもない。」
「では、俺がセラを落としても問題ありませんよね」
その言葉に目を見開く
「セシル!!」
「俺はセラと出会ってから、あの女をずっと求め続けてる。兄上だってそうでしょう?王太子として制限されて生きてきて、自由に笑ったり、怒ったりして振る舞うセラを初めは興味深かっただけ。気がついた時には、セラをずっと求め続けていたんじゃないですか?」
「・・・」
その通りの事を指摘され何も言えない。
ついセラを目で追ってしまう。
話ができた日は嬉しさでずっと心が軽い
セラがいない日は何をしているのかと考えてしまう。
まさか、同じ血を引く弟も同じ女に焦がれているとは・・・
そんなことを考えていると、セシルは私の方に顔を近づけてくる
「俺は、セラが欲しい。幼い頃俺が欲しいと言えばなんでもくれた兄上なら、諦めてくれますよね?」
「・・・セシル、それだけは出来ない。おもちゃもお菓子もお前が好きなものをあげてきた。だが、セラだけは。お前に渡せない」
同じ瞳で睨み合う
性格も正反対なはずなのに、こんなところで似ているとは、血は争えないとはこういうことなのか。
そう感じざるをえない
「そうですか・・・」
セシルはそう言うと踵を返した
「おい、セシル」
まだ話が終わっていないと肩を掴もうとした時
「兄上、俺は諦めません。俺なりにセラの心を掴みます。兄上、どちらが勝つか勝負ですね。」
そう言って庭園を出て行く。
空の夕闇は、気が付いたら夜の深い青に変わっていた。
バンッ
勢いよく執務室の扉が開いた
その音に中にいたマルコが驚き、扉の方を見る。
「ダリル様!どうされたんですか?!」
明らかに怒った顔のダリルにマルコが目を見開き駆け寄る。
少しだけだからと、サプライズパーティーの終わり頃に、ダリルを一人で庭園まで行かせたことを後悔した。
ダリルはマルコを見ることなく奥の椅子に腰掛ける
机に両肘を乗せて口元で両手を組むと何か考え事をしているようで、声をかけるなという圧を感じる。
マルコはどうしたものかと机を挟んだ向かい側に立ち、思案していると、ジャンがマルコの隣に寄ってきた。
「ダリル様、何かあったんでしょうか・・・」
「そうなんだろう・・・こんなに怒りに満ちた目をしているダリル様は殆ど見ないからな。」
静かな執務室に時計の音だけが聞こえてくる。
しばらくして、ダリルがやっと口を開いた。
「・・・今すぐセシルとセラが、どこで知り合ったのか調べろ」
そう命じた瞬間、マルコは一瞬目を見開く。
「え?セシル殿下とセラ・・・ですか?」
一体どう言うことだと言わんばかりに首を傾げる二人を見てダリルが庭園での事を説明する
「ぇえええ!!!セシル様もセラを!?!」
マルコは大きな声を出しひっくり返りそうなほど仰け反る
そこをすかさずジャンが支えて転ばずに済んだ。
「あああ、この国の王子二人が平民の女性に心を奪われるなんて・・・それも、同じ女性」
泡を吹いて倒れるんじゃないかと言うほど顔色が悪いマルコ
「血は争えないってことなんですかね?」
驚いた様子もなくそう言うジャンの頭をマルコははたく。
ジャンはそんなに痛くなかったのか、はたかれた場所をポリポリと掻いている。
「わからん・・・わからんが。既婚者であるセシルに彼女を奪われるわけには行かない。」
ダリルは口元で握っていた両手に力が入る
「セラの心を掴んだとしても公爵令嬢だったティファ妃がいる今、セラは側室止まりだ。それに、母上が平民を側室になど許すはずもない・・・」
出来ることならば自分が娶りたいというのに、弟の側室になんてなってほしくない。
ダリルの顔がまたどんどん険しくなってきて、マルコとジャンは身震いした。
「と、とにかく。私とジャンで、セシル殿下とセラがいつ出会ったのか等探って参ります。」
「はい。ですからダリル様はこちらで大人しくしていてください。」
マルコとジャンはそう言うと執務室を出て行った。
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ダリルは強く机を叩く
「セシル・・・セラだけはお前に渡さんっ!」
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