【R-18】気がついたら未亡人伯爵夫人になってて後宮で愛された

みるく

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王都迄の道のり

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「さすが王宮の馬車は乗り心地も格段に違いますねステラ様!」
「ええ、そうね。」

マーサの言う通り、壁も床も椅子もふかふかで振動もほぼない。
伯爵家の馬車もとても良いものではあったけれど、比較するまでもなくこちらの馬車は素晴らしい。

「王都まで2日程度ありますが、これならお疲れになるのも少しマシですね。」
「そうね。」

ウキウキとするマーサを見ていると、心がとても軽くなる。
別れはとても辛かったが、マーサのおかげでこちらもウキウキとして来た。

外の景色を見ると、鬱蒼とした森に入っているのがわかる。
「予言の森に入ったわね。」
「もうですか? 王宮の馬車を引く馬は足も速いのですね。 普段ならまだこの森を通るのに時間が掛かりますのに、、」

予言の森。
前回の王都行きの時は、この森を通る前に別の道を通らざる終えなかったので時間が掛かった。
この森は、未来を見る事が出来るドワーフが居るとの言い伝えがある森で、そのドワーフに出会えればどんな未来が待っているかを聞くことができる。
また、未来を変える力もあると噂されている。

ある男がこの森に入り、道に迷った時。
この森に住むドワーフに出会い突然未来の出来事を話し出した。
『お前は将来、この地の頂点に立つであろう。 誰からも尊敬される素晴らしい人となるだろう。』
そう言った途端霧が出始め男は意識を失った。
気がつけば森の外で寝ていた。

その後、この地と別の地の争いで名を馳せた男はこの国の王となった。
それが、今の国王の何十代も前の王様だ。

前世の世界で言うところの神話クラスのお話だけれど、この森は昔からこう言い伝えられているのだ。
迷信ではあるけれど、とても夢のあるお話だし、私はとても好きだ。
子どもの頃何度もお母様にこの話をしてもらった記憶がある。

そんな事を考えていると急にガクンと振動が。
私は向かいに座っていたマーサに飛び込むように席から飛んだ。
「キャアッ!」
「ステラ様!!」

マーサは慌てて私を抱きしめてくれた。
「お怪我は御座いませんか?」
「え、えぇ。マーサが抱き止めてくれたし、壁もふかふかだから何ともなかったわ。マーサごめんなさいね。貴女は怪我はない?」
「私は大丈夫です。ですが何かあったんでしょうか?」

2人でそう喋っていると、ドアがノックされ開いた。
「夫人、申し訳御座いません。車輪が深い水たまりに嵌り動かなくなったのです。お怪我はありませんか?」
馬車の先導をしていた騎士が申し訳なさそうな顔をして声をかけてきた。

「貴方!幸いお怪我がなかったから良かったものの、もしステラ様に何かあったら!!・・・って、貴方もしかして・・・クリフ?」
マーサが怒りながら騎士に詰め寄ると驚いたような声を上げる。
「え・・・そういう君は・・・まさかマーサ?」

「2人はお知り合い?」
驚きからか固まる2人に質問を投げかけた。





「まぁ、幼なじみなのね。」
私とマーサは、泥濘にはまった馬車から降りて、倒れた木に腰掛けて馬車が動くまで待つことになり、私はマーサとクリフさんの関係を聞いていた。

「はい、私たちはお互いの母が親友同士で生まれた時からの幼なじみです。」


マーサは元々男爵家の令嬢で、父親と継母と父親と継母との間に産まれた弟と4人家族だった。
マーサのお母様と騎士のクリフさんのお母様もまた幼い頃からの親友で、
『将来自分達の子を結婚させたいわね。』
と語り合っていたらしい。

それが、マーサの父親が外で愛妾を作り、さらに子どもまでもうけていた。
それをマーサのお母様が知ってすぐお母様は疫病で亡くなってしまう。
マーサはその時まだ12歳。
母親が必要な年頃だろうと、父親はすぐに愛妾を妻と迎えた。

が、その考えはマーサの心を傷付けた。
継母は自分の子が男の子で、将来男爵家を継ぐ子だからと何かと息子を可愛がった。
父親は極力マーサも可愛がっていたが、やはり後継となる息子が可愛かった。
マーサが15歳の頃、その父親も亡くなった。

マーサのお母様と同じように疫病で。

「正直、バチが当たったと思います。」
そう言ったマーサの表情からは感情が読み取れなかった。


父親が亡くなった後は後継者がいるから、と男爵家は残ったものの、マーサは邪魔者のように扱われるようになった。
「その頃に、ステラ様のご実家の募集を見たのです。」
「そうだったわね・・・。」

私の実家が私が嫁ぐのにあたって侍女を増やそうと募集をかけた。
その募集をみたマーサが屋敷にやって来たのだ。

「まさか、男爵家の令嬢が求人に来ると思ってなかったけれどね。」
「貴族の中ではよくある事だと、ステラ様のお父様が仰っていました。」
「そうね。そう言っていたわね。」
家格が下の令嬢が自分達より上の家格の屋敷に侍女や執事として働きに来る事はそんなに珍しい事ではない。
マーサのように住み込みはこの国では少し珍しいけれど。

「でも、貴女が来てくれたおかげで本当に楽しい毎日だわ。」
「これからも、精一杯お世話致しますよ!」
「よろしくね!」
「はい!」

わたしたちは、ふふふっと笑い合った。

「と、言うことは15歳頃から会ってなかったのよね?」
「はい。そうなりますね。 クリフのお母様は私をとても可愛がってくれましたが、流石にご迷惑をかけるのも悪いので、ステラ様の侍女になってから、手紙のやり取りだけしてます。」
「そうだったのね。クリフさんのお母様は今どちらに住んでらっしゃるの?」
「あ!クリフのお母様は王都にいらっしゃるはずです。」
「まぁ、それなら。一度顔を見せてあげなさいね。きっと心配していらっしゃるわ。」

私がクリフさんのお母様の立場ならとても心配する。
親友の忘形見がどうなっているのか・・・

「はい。では、王都に着いたら一度そのようにします。」
「ええ。」

「おば様、お元気かしら」
マーサがとても嬉しそうに笑った。

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