【R-18】気がついたら未亡人伯爵夫人になってて後宮で愛された

みるく

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側室

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「王子様、王子妃様はお子を身籠ることが出来ぬ体質やもしれません。王子妃様がお子をご懐妊できなければ、王子様が王様となられた時お世継ぎの問題を抱えねばなりません。 そうならぬ為にも側室をお迎えくださいませ。」

「側室を迎えるつもりはない。妃がいれば充分だ。子どもは自然と出来るだろう。」
「ですが、ご結婚後は懐妊の兆しがなく、ここ数ヶ月程王子妃様は良く寝込んでおられます。」

「それは・・・そなた達のように懐妊懐妊とうるさい者のせいで体調を崩したからだ。」

たしかに、サーシャは元々身体が丈夫ではなかった。
一度風邪を拗らせれば長い時は2週間は床に伏すことも珍しくない。
だが、妃にするならばサーシャしか考えられないし、王座を狙うような後ろ盾のある側室であれば、それもまた色んな問題が出てくるだろう。

「それに、王様や王妃様は何と仰っているんだ?王様がそのような事を許すはずがない。」
父上も姪であるサーシャをよく可愛がっていたし、何より母上が側室など許すはずがない。
母上は側室に酷く悩んだお方だ。
サーシャを傷付ける事はしないだろう。

「王妃様へはお聞きしておりません。王様が『懐妊を優先させる為に急ぎ王子に伝えよ』と仰いましたので、そのお言葉を頂きその足でこちらへ参りました。」

「・・・。」
父上はなんて事を仰ったんだ。
母上の耳にさえ届けばこのような事を言ってくる者も減るというのに。


「王子様。どうかご決断を。」
「・・・っ」

コンコンッ

腹立たしさから怒鳴り散らそうかと思った時、軽快なノック音が響いた。
「誰だ。」
わたくしです。」
床に伏している筈のサーシャの声が聞こえた。

「今は、取り込んでいるから後にしなさい。」
「いえ、わたくしもそのお話しを聞きたく思います。」
サーシャは何の話かわかっていて来たようで、ドアを挟んで話している筈なのに凛とした声が聞こえて来た。
「・・・・入りなさい。」
「失礼致します。」

サーシャは僕の隣にきて一瞬微笑むと彼らをみる。
その顔は化粧を施しているものの近くで見ればわかるくらい青白い。
「王子妃様・・・」
「貴方がたの考えはよくわかりました。わたくしも次期王妃として責務を全う出来ていないので、大変心苦しく思っています。 王子様はとてもお優しい方なので、側室を取る事でわたくしの心身の心配をして下さっておられるのでしょう。」
サーシャはそう言って僕の手を握る。
「妃よ・・・」
僕がサーシャを見ると、優しくそれでいて凛とした声ではっきりと言った。
「5年経っても懐妊出来ぬのです。側室を迎えましょう。」
「妃!」
思わずサーシャの手を強く握りサーシャを見る。
臣下達は嬉しそうな顔でサーシャへ礼をする。
「王子妃様!ありがとうございます。」

「ただし!」
サーシャの声が部屋に響くと、歓喜に満ちていた臣下の顔が固まる。
わたくしは貴族の令嬢方から選出する側室選びに口出しができません。 ですが、側室の人数の指定は出来ましょう?」
「はい・・・もちろんでございます。」
「では・・・2人。2人選出してください。」

「承知いたしました!!」



臣下達は嬉しそうな顔で急ぎ部屋を出て行く。


「サーシャ!何故あんな事をっ!」
「クラウス。わたくしはもう28になりました。」
「それがなんだって言うんだ!」
「5年・・・出来なかったのよ。この先わたくしが必ず懐妊して無事に姫ではなく王子を産む補償がありません。ここら辺で側室を迎えるのがこの王室の為なの。」
「だけど・・・僕はサーシャ以外と夜を共にするつもりはない!僕達は恋や愛で繋がった訳ではないけど、家族としての愛情がある。君が悲しむような事は決してしたくない。それに・・・」

僕が言葉に詰まっていると、代弁するようにサーシャが話す。
「『それに、もしその側室達に恋をしてしまうかと思うと怖い』?」
「っ!!・・・そうだ。父上みたいに愛だ恋だと側室の所へばかり行って母上が辛い思いをしたように、君にそうしてしまうかも知れないと思うと怖くて仕方がない。」
僕は情けなく頭を掻きむしり後ろにあった椅子に座る。

するとサーシャは僕の後ろから両肩に両手を添えるように置いた。
「あら、クラウスはそんな心配をしてくれていたの?」
「そんな・・・って」
こんなに悩んでいると言うのに、大したことがないようにクスクスと笑うサーシャ
「歴代の王子付きの侍女だったアマンダ、カーラ・・・あとマリア。あの3人には間違いなく恋をしていたじゃない。」
「こっ!恋じゃないっ!あれはとても一生懸命働いてくれていた侍女だっただけで何もしてないし・・・って、マリアは僕たちの乳母じゃないか!」
「うふふ、『マリア大好き。将来はお嫁さんになって』ってよくせがんでいたでしょ?」
「それは幼かったからだよ。」
「でも、あれも間違いなく恋。アマンダやカーラに対しても他の侍女よりも優しく接してあげていたし、何よりずっと目で追っていたわ。 恋を経験したことがあるから、わかるのよ?」
「サーシャ・・・」
「まぁ、クラウスが好きになる相手ってことごとく既婚者か婚約者がいて叶わぬ恋ばかりだったけれどね。」
「サーシャ!」
後ろを向くと嬉しそうに笑うサーシャ。
だがその顔色は先程と比べ物にならない位悪い。

「・・・休もう。君の具合が心配だ。」
「ありがとう。でも、大丈夫よ、もう少しだけ。」
そう言うサーシャに僕は立ち上がってサーシャの隣に立ち横抱きにして寝室へ進む。
何も言わずに抱かれるサーシャは以前よりも軽くなった気がする。
僕がまた筋力をつけたに違いない。
そう信じながらベッドへそっと寝かせる。

「話の続きだけれど・・・」
「後で聞くよ。」
「いいえ、それではだめよ。だってきっと、あの臣下達はすぐにでも側室を決めてくるわ。・・・というより、決めていた者をすぐ連れてくるわ。」

サーシャはそこまで見越して言っていたのか。

わたくしがどうして2人と言ったか、貴方にその意図がわかる?」
「いや・・・子どもを産む人数を増やすため・・・?」
「まぁ、もちろんそれもあるのだけれど。それだけではないのよ?」
「と言うと?」
「おそらく連れて来られる側室が1人の場合。ノーマン公爵かカルナーレ侯爵の近しい者でしょう。あの2人はこの国でも王室へとても尽力しているのはこの国の貴族なら誰もが知っている事。それ故に王室に自分の近しい者を入れたいと思っている事でしょう。 今回の側室はまさに好機なの。王子が産まれたらなお。次期国王の王子となればその後はわかるわね?」

「自分に近いものが王となれば自分の思うように国を納められるから・・・?」
「そう。」
「なら何故側室に迎えるなんて。」
「それは、わたくしが子を宿せないから・・・わたくしのせいでこの国をクラウスの代で終わらせるわけにはいかないからよ。わたくしにはこの国を続けさせる責任があるの。」
「・・・2人にした理由は?」
「ノーマン公爵とカルナーレ侯爵どちらも臣下として申し分ないけれど、どちらにも心の奥に野心がある。あの2人の連れてきた者が同じように野心があるとは限らないけれど。それに、1人ではわたくしのような場合もあるでしょう。」
「サーシャはそこまで考えていたのか・・・」
「もちろん。だからクラウス。」
「なんだい?」
「おそらくどちらの側室にも子を宿すまで通わされるはず。それなら、どちらにも男の子を産ませてちょうだい。」
「なぜっ!」
「王子と姫どちらが産まれるかはわからないけれど、わたくしがこのような状態では王子が産まれるまでは側室の元へ行くよう周りから言われるでしょう。それならばどちらにも王子を産ませて、より優秀な子を未来の王とするのです。 わたくしも側室の子を大切に育てて未来の為に尽力するわ。」

「・・・わかった・・・」
「お願いね・・・そんな悲しそうな顔をしないで。子を宿せないわたくしを許してね。」
「子どもより、君がいつまでもそばに居てくれる事が僕にとっての幸せだよ。」
「うふふ、甘えん坊な弟を持つと姉は大変だわ。・・・少し、疲れたから眠るわね。」
「わかった。サーシャ、お休み。」
「おやすみ・・・」





サーシャの言った通り、ひと月も経たずに側室が2人選ばれてきた。
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