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裏切り者の英雄
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黒装束の男が逃げて行ったあと、今のはいったい何者なのかと尋ねたところ女神を交えて少し話したいことがあると言うオリビア。
俺達は、また宿屋に戻り、そこで待つ女神と合流した。あと、なぜかドザエもんも一緒。
「奴の二つ名は、『裏切り者の英雄』だ」
開口一番、オリビアは言った。
それから、俺達は一時間ほどオリビアが奴と呼んだ黒い男との昔の話を聞いた。
それらを要約すると、こういう事らしい。
まず、男の本名は、『ヤマグチ・サンチノ・ツトムクン』という。
そう聞いてまず俺は、同じ異世界転移者かと思ったが、それは少しだけ違いこの場合は父親に当たるのがそれに該当する人物。つまり、俺と同じ異世界転移者がこちらでこさえた子供があの黒い男というわけだ。
オリビアがあの男と知り合ったのは、まだその父親が生きていた頃。元々、その父親とパーティーを組んで冒険の旅に出ていたオリビアだったのだが、ある時、奇病で亡くなってしまったらしい。オリビアは、その父親が使っていた武器を形見としてその家族に届けた。そう、それがあの男のさっき使っていた形状を変える不思議な十字架。あれは、異世界転移者が女神から与えられる伝説の武器だったのだ。
まだ大人になる前の青年だった男は、その後、家を出てオリビアを師匠または冒険者仲間として行動を共にした。その頃は、オリビアを親同然として尊敬し信頼できる仲間として振る舞っていたそうだ。
だが、そんな男に突然、変化が現れる。
今から百年前の『第三次魔人大戦』。
その終結と同時に男は、魔族と人との共存は不可能として人類に反旗を翻したのだ。
それ以降、魔人戦争で英雄と呼ばれたオリビアを抹殺するべく付け狙い、幾度も死闘を挑まれてきたという。
「私は、ずっとひとりで奴から逃げて旅をしていた。なぜなら、あいつの武器は強力で私の周りの者たちを傷付けずにはいられないから。
だが、私はもうひとりではなくなってしまった。
私といればさっきのような危険が二人にも降りかかってくるに違いない。
いったい、どうすればよいのだろう。私は……」
オリビアは、そう言うとがっくりと肩を落とす。
すると、その場にいたドザエもんがこう聞いた。
「ちなみに、その男の『裏切り者の英雄』と呼ばれる前の二つ名は?」
顔を上げたオリビアは、真面目な顔で答える。
「『おっちょこちょいのツトムクン』だ」
俺は、その男が裏切りたくなった気持ちが少しだけわかった。
俺達は、また宿屋に戻り、そこで待つ女神と合流した。あと、なぜかドザエもんも一緒。
「奴の二つ名は、『裏切り者の英雄』だ」
開口一番、オリビアは言った。
それから、俺達は一時間ほどオリビアが奴と呼んだ黒い男との昔の話を聞いた。
それらを要約すると、こういう事らしい。
まず、男の本名は、『ヤマグチ・サンチノ・ツトムクン』という。
そう聞いてまず俺は、同じ異世界転移者かと思ったが、それは少しだけ違いこの場合は父親に当たるのがそれに該当する人物。つまり、俺と同じ異世界転移者がこちらでこさえた子供があの黒い男というわけだ。
オリビアがあの男と知り合ったのは、まだその父親が生きていた頃。元々、その父親とパーティーを組んで冒険の旅に出ていたオリビアだったのだが、ある時、奇病で亡くなってしまったらしい。オリビアは、その父親が使っていた武器を形見としてその家族に届けた。そう、それがあの男のさっき使っていた形状を変える不思議な十字架。あれは、異世界転移者が女神から与えられる伝説の武器だったのだ。
まだ大人になる前の青年だった男は、その後、家を出てオリビアを師匠または冒険者仲間として行動を共にした。その頃は、オリビアを親同然として尊敬し信頼できる仲間として振る舞っていたそうだ。
だが、そんな男に突然、変化が現れる。
今から百年前の『第三次魔人大戦』。
その終結と同時に男は、魔族と人との共存は不可能として人類に反旗を翻したのだ。
それ以降、魔人戦争で英雄と呼ばれたオリビアを抹殺するべく付け狙い、幾度も死闘を挑まれてきたという。
「私は、ずっとひとりで奴から逃げて旅をしていた。なぜなら、あいつの武器は強力で私の周りの者たちを傷付けずにはいられないから。
だが、私はもうひとりではなくなってしまった。
私といればさっきのような危険が二人にも降りかかってくるに違いない。
いったい、どうすればよいのだろう。私は……」
オリビアは、そう言うとがっくりと肩を落とす。
すると、その場にいたドザエもんがこう聞いた。
「ちなみに、その男の『裏切り者の英雄』と呼ばれる前の二つ名は?」
顔を上げたオリビアは、真面目な顔で答える。
「『おっちょこちょいのツトムクン』だ」
俺は、その男が裏切りたくなった気持ちが少しだけわかった。
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