隣に越してきたのは幼なじみの男の娘

不思議な爺さん

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初デート?

初デート?

二度寝中の隼人。

ピンポーン……

部屋にチャイムの音が響く。

隼人「なんだよ~……休みだから寝かせろよ~」

ぼさぼさの頭のまま起き上がり、のろのろとドアを開ける。

そこに立っていたのは、ヒカルだった。

隼人はパジャマ姿。

ヒカルは一瞬、目を丸くしてから、くすっと笑う。

ヒカル「あ、ごめん……寝てたんだね。じゃあ、また今度で――」

そう言って、遠慮がちに一歩下がる。

隼人「待って。どうしたの?」

ヒカル「今日、大学休みだし……この辺まだよく分からなくて。もしよかったら、案内してもらえたらなって」

少し照れたように視線を落とすヒカル。

隼人の頭は一瞬で覚醒した。

隼人「いいよ!全然いい!ちょっと待って、すぐ準備する!」

勢いよくドアを閉める。

そして――

ガッツポーズ。

「よし……デートみたいなもんじゃん」

鏡の前に立ち、寝癖を直しながらニヤける。

急いで身支度を整える隼人だった。

隼人「お待たせ。とりあえず歩こうか」

ヒカル「うん」

二人はアパートを出て、並んで歩き出した。

隼人は、この辺りのコンビニやスーパー、公園の場所を説明しながら案内する。

「ここ、夜でも明るいから安心だよ」とか
「あのパン屋、朝すぐ売り切れるんだ」とか。

ヒカルは「へぇ~」「すごいね」と素直に頷きながら聞いている。

しばらく歩いたところで、ヒカルが小さく息をついた。

ヒカル「ちょっと……歩き疲れちゃった」

隼人「そっか。じゃあ、あそこのカフェ入ろうか。めちゃくちゃケーキもカフェオレも美味しいんだ」

ヒカル「本当~? 行きたい!」

ぱっと目を輝かせるヒカル。

その無邪気な反応に、隼人の胸がきゅっとする。

(やば……可愛い……)

隼人は、少し照れながらも先に立ってカフェのドアを開けた。

カフェに入り、注文を済ませる。

しばらくして、二人の前にケーキとカフェオレが運ばれてきた。

ヒカルは目を輝かせる。

ヒカル「わぁ……美味しそう」

隼人「でしょ? ここのケーキ本当うまいんだよ」

フォークを入れた瞬間、ヒカルの表情がさらにゆるむ。

ヒカル「おいしい……」

隼人「な? 言ったろ」

穏やかな空気が流れる。

そのとき、ヒカルが急に視線を落とした。

ヒカル「あ、あの……隼人くんって、彼氏いるの?」

隼人、カフェオレを吹き出しそうになる。

隼人「ど、どうしたの急に!」

ヒカル「あ、あの……ちょっと気になって……」

隼人「い、いたらさ、こんな可愛い子とカフェなんか入らないって」

ヒカル「か、可愛いとか……嬉しい……」

頬を染めるヒカル。

隼人「ヒ、ヒカちゃんは? 彼氏とか……」

ヒカル「い、いないよ。いたら、男の人に街案内なんて頼まない……」

一瞬、沈黙。

隼人は深呼吸して、勢いのまま口を開いた。

隼人「じゃ……じゃあさ、俺がヒカちゃんの彼氏に立候補してもいいかな?」

ヒカル「え……?」

言葉が止まる。

隼人「あ、ご、ごめん! いきなり彼氏候補とか変だよな!」

ヒカル「違う……」

ヒカルは小さく首を振る。

ヒカル「嬉しくて、言葉に詰まっただけ……」

隼人「え……じゃあ……OKってこと?」

ヒカルは顔を真っ赤にして、静かに頷いた。

ヒカル「……うん」

しばらく街を歩き、他愛もない話をしながら時間が過ぎていった。

夕方の空が少し赤く染まり始めた頃、ヒカルがふと足を止める。

ヒカル「ねぇ……」

隼人「ん?」

ヒカル「夕ご飯、まだカレーいっぱい残ってて……よかったら、うちで一緒に食べない?」

少しだけ不安そうな目。

隼人はすぐに笑った。

隼人「え?いいの?あれ、めちゃくちゃ美味しかったよ。なんかさ、どこか懐かしい味がしてさ。初めて食べた感じがしなかった」

ヒカルの胸が、ぎゅっと締まる。

ヒカル「……初めてじゃないけど」

隼人「え?」

ヒカルはハッと我に返り、慌てて首を振った。

ヒカル「な、なんでもない! そう、よかった。あれ、お母さんに教わった味なんだ」

隼人「へぇー、そうなんだ。だから優しい味なんだな」

ヒカルは小さく微笑む。

ヒカル「……うん」

二人は並んでアパートへと戻っていく。

隣同士の部屋なのに、今日は少しだけ距離が近い。

ヒカルは隼人の横顔をそっと盗み見た。

(本当に、覚えてないんだね……はやちゃん)

夕焼けの中、二人の影が長く重なっていた。

そしてアパートに戻った二人。

ヒカル
「まだ、ちょっと段ボールとか片付いてないけど……入って」

少し照れくさそうに言って、ヒカルは隼人を部屋へ招き入れた。

隼人
「やっぱり同じアパートなのに、女の子の部屋だと全然違って見えるね」

ヒカルは「ふぅー、疲れた」と小さく息を吐き、部屋の隅のベッドに腰を下ろす。

隼人も、その隣に腰を下ろした。

隼人
「俺も歩き疲れたな」

思っていたより、距離が近い。

ヒカルの胸が高鳴る。

(はやちゃん……近い……)

鼓動が早い。
聞こえてしまいそうなくらい。

隼人は、ふとヒカルの様子に気づく。

頬が赤い。視線が揺れている。

無意識のまま、そっと肩に手を回し、顔を近づける。

ヒカル
「ちょ、ちょっと待って」

思わず、隼人の胸を押した
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