隣に越してきたのは幼なじみの男の娘

不思議な爺さん

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ヒカルに女友達?

実は私も

講義を終え、門を出たヒカル。

ヒカル
「どうしようかなぁ……隼人、待ってようかなぁ」

ひとり、ぽつりとつぶやく。

すると――

「金山さん、ですよね?」

ヒカル
「は、はいっ」

突然声をかけられ、驚いて振り向く。
同じくらいの年頃の、落ち着いた雰囲気の女性が立っていた。


「びっくりさせちゃった? ごめん。前から気になってて」

ヒカル
「そうなんですね……」

空は、じっとヒカルを見る。
視線がまっすぐで、どこか探るようだった。


「……綺麗だなって、思ってた」

ヒカルは一瞬、言葉を失う。

そのとき、校舎の方から隼人が出てくる。

隼人
「ヒカちゃん、どうしたの? あれ、佐々木さんじゃん」


「あ、隼人くん」

ヒカル
「知り合い?」

隼人
「そうそう。バイト先一緒なんだよ。大学もここだし。ヒカちゃん、会ったことなかった?」

ヒカル
「うん、はじめて」

隼人
「そっか」

空は、ほんの少しだけ目を細める。


「良かったらさ、そこの公園で少し話さない?」

隼人
「いいけど……ヒカちゃんは?」

ヒカル
「はやちゃんがいいなら……」


「じゃ、行こ」

空は自然に歩き出す。
ヒカルはその背中を見つめる。

さっきの「綺麗」という言葉が、まだ胸の奥で揺れていた。

そして三人は、公園へ向かった。

そして空とヒカルはベンチに座った。

隼人
「俺、ちょっと飲み物買ってくるわ」


「ありがとう~。私カフェオレ」

隼人
「ヒカちゃんは?」

ヒカル
「ミルクティーで」

隼人
「佐々木さんがカフェオレで、ヒカちゃんミルクティーっと」

そう言って、隼人は売店の方へ走っていった。

その背中が十分に離れたのを確認して、空が小さく笑う。


「隼人くん、かっこいいよね」

ヒカル
「は、はい……」


「大丈夫。狙ってないから」

ヒカルは少しだけ肩の力を抜く。

ヒカル
「でも、バイト先一緒なんですね」


「うん。まぁ、あんまりシフト入れてないけどね。それよりさ……」

空はヒカルの顔を、じっと見る。


「ヒカルちゃん、でいい?」

ヒカル
「は、はい」

一瞬の沈黙。


「……男、だよね」

ヒカルの指先が、ぴくっと震える。

ヒカル
「え……あの……」

空は慌てて小声になる。


「ごめん。責めてるわけじゃないの」
「私も、だから」

ヒカル
「え……?」

空は、苦く笑う。


「私も“そっち側”。だから分かった」

ヒカルは空をまじまじと見る。

ヒカル
「……全然、分からなかった」


「それ、よく言われる」

少し間を置いて、空が言う。


「正直ね、友達ほしかった」

ヒカルの目が、わずかに揺れる。


「もう敬語いらないよ。私は空。佐々木空」

ヒカルは迷ってから、小さく笑った。

ヒカル
「……うん。よろしく、空ちゃん」

その瞬間、ヒカルの表情が、ふっと明るくなる。

ちょうどその時、隼人が戻ってきた。

隼人
「なんか、初対面のわりに仲良くなってない?」


「ちょっとね。共通点あって」

隼人
「共通点?」

空はヒカルを見る。


「女の子同士の秘密~」

ヒカルも少し照れながら笑う。

ヒカル
「ね、空ちゃん」

隼人
「なんだよそれ~」

三人の間に、笑いが広がる。

でも――

ヒカルの胸の奥には、
初めて“同じ側”に出会ったざわめきが、静かに残っていた。


「あ、私バイトの時間だ。隼人くん、ヒカルちゃん、またね」

そう言って、空は足早に去っていった。

隼人
「帰ろっか」

自然にヒカルの手を握る。

ヒカル
「うん」

少し歩いてから、ヒカルがぽつりと呼ぶ。

ヒカル
「……はやちゃん」

隼人
「ん?どうした?」

ヒカル
「空ちゃんのこと、どう思ってる?」

隼人は少し考えてから、あっさり答える。

隼人
「どうって……可愛い女の子だなって思ってるよ」

ヒカルの足が、ほんの一瞬だけ止まる。

ヒカル
「か、わ、い、い……女の子、かぁ」

隼人は不思議そうに見る。

隼人
「なにその言い方」

ヒカルは慌てて笑う。

ヒカル
「なんでもない」

隼人は少しだけ顔を近づける。

隼人
「ヒカちゃんのほうが、可愛いよ」

ヒカル
「……ほんと?」

隼人
「ほんと。比べる必要ないだろ」

ヒカルは小さく息を吐く。

隼人
「てか、共通点ってなんだよ」

ヒカル
「秘密~」

隼人
「なんだよ、もう」

少し照れくさそうに笑いながら続ける。

隼人
「でもさ、ヒカちゃんに友達できてよかったな」

ヒカル
「……うん」

手は繋いだまま。

でもヒカルの胸の奥には、
“可愛い女の子”という言葉が、
静かに残っていた。

二人はそのまま、アパートへ帰っていった。


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