隣に越してきたのは幼なじみの男の娘

不思議な爺さん

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ヒカルの素顔

素顔の私でも……

コンビニのバイトが終わり、店を出た隼人。

夜風が少し冷たい。

ふと視線を上げると、アパートの前の街灯の下にヒカルが立っていた。

隼人
「どうした?ヒカル」

ヒカルは少し照れたように笑う。

ヒカル
「ちょっと、話しながら帰りたくて待ってた」

隼人
「そっか、じゃあ帰ろう」

並んで歩き出す2人。

足音だけが静かに響く。

ヒカルは少し間をあけて、口を開く。

ヒカル
「あのね……今日の空くん見て思ったの」

隼人
「何を?」

ヒカルは前を向いたまま言う。

ヒカル
「隼人に好きになって欲しいって思って女の子みたいになったけど……男に戻っても、はやちゃん私を好きかなぁって」

隼人は一瞬黙る。

わざと少し考える素振りを見せて。

隼人
「さぁ……どうだろう」

ヒカル
「えっ?」

うるうるとした目で隼人を見る。

隼人は吹き出す。

隼人
「冗談だよ、言ったろ、俺にとって普通はヒカルだ、だからメイクとか関係ない」

ヒカルは少し息を止める。

ヒカル
「本当に?」

隼人は迷わず頷く。

隼人
「本当だよ、じゃあ、メイク落とし買いに行くか今から」

ヒカルは慌てて隼人の腕を掴む。

ヒカル
「やだよ~心の準備ってのがあるもん」

ぷくっと膨れる。

隼人はその頬を見て笑う。

隼人
「可愛いな、ヒカルは」

ヒカルは顔を赤くする。

二人はそのまま並んで歩き、

アパートへと帰って行った。

夜の空気は、もう冷たくなかった。

そして、その夜。隼人の部屋。

「ピンポーン」

隼人
「誰だろ?」

ヒカル
「はやちゃん、開けて?」

隼人
「合鍵持ってるだろ?」

不思議に思いながら、隼人は扉を開ける。
ヒカルが、後ろ向きで立っていた。

隼人
「どうした?」

ヒカル
「あ、あの……」

隼人
「どうしたんだよ」

隼人はヒカルの肩に手を置き、振り返らせようとする。

ヒカル
「待って……メイク落としてきた」

隼人
「そっか。じゃあ、見せて。大丈夫だから」

ヒカル
「やだ……怖い……」

隼人
「大丈夫だって」

ヒカル
「え~でも~」

隼人
「はーい、わかりました~。寝ま~す」

そう言って、扉を閉めるフリをする。

ヒカル
「待って!」

思わず、ヒカルは振り返ってしまう。

ヒカル
「あっ……」

慌てて、両手で顔を隠す。

隼人は、その手を優しくつかむ。

隼人
「大丈夫。見せて」

ゆっくりと、ヒカルの手を開かせる。

ヒカル
「ど……どう? 変じゃない?」

隼人は答えず、そのままヒカルを抱きしめた。

隼人
「可愛いよ……大好きだ」

ヒカル
「はやちゃん……」

ヒカルは、堰を切ったように泣き出す。

隼人
「泣き虫なのは、昔から変わらないな。よしよし」

そう言って、ヒカルの頭を撫でる。

ヒカルは、ぷくっと頬を膨らませて、

ヒカル
「もう~」

隼人
「風邪ひくぞ……中に入って」

ヒカル
「うん」

ヒカルは、隼人の部屋に入った。
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