落ち武者・歴史は知らない理系リーマン、化学チートで戦国を駆ける

ディエゴ

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包囲されたはじめての街

1590年4月4日・トップ会談

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翌4月4日夕刻、親方様との四者会談が早くも実現した。

何故、四者かというと、親方様の父上も同席することになったからだ。

親方様方も、いくら評定を開いても、何かが進展することもなく、敵の包囲だけが日に日に厚くなっていくだけなので、なにか突破口がほしかったらしい。

今は城内の部屋で二人が来るのを待っているところである。

「なあ、親方様って名前は早雲様だよな?」

雄二は、物凄く驚いた顔をした。

『ば、バカな。いくら風魔の頭領の兄者でも、御屋形様の諱や号を口にしてはならんぞ。不敬で腹切りさせられても文句言えん。十分、気を付けてくれよ』
『それに、御屋形様の諱は氏直様だ。ご隠居様は氏政様。ご本人の前で、決して名前で呼ばないでくれよ。もっとも、兄者の立場なら、諱を言えないのは、今のお二人くらいだがな』

諱って何だ?って聞きたかったが、とても、聞ける雰囲気じゃない。

「あぁ、気を付ける」

『兄者が評定にでた時は、ご隠居様が上座に座っていただろ。隣に控えていたのが御屋形様だ。もう、これからは、兄者は記憶の一部喪失じゃなく、全部喪失だと思って説明することにするよ。だから、心配な事は何でも聞いてくれ』

「助かる。じゃあ早速、親方様に会う時の礼儀作法とか決まりあるのか?」

『俺達忍びに礼儀を求めるなんて人はまずいないぜ。お二人とも気さくな御仁だから、こうして普通に待ってれば、直ぐに”楽にしろ。”って声かけてくれる筈だ』

少しほっとした。実は一夜明けて冷静になって、この世界の偉い人に会うのが怖くなっていたのだ。

それにしても、あのオークがご隠居様の氏政、吸血鬼が親方様の氏直ね。

どちらも聞いたことない名前だ。

やがて、ご隠居様、親方様が上座に現れ、雄二の予想通り、”楽にしてよい”と言って貰えた。

最初に雄二が、概略を説明する。

大筒の改良、ダイナマイトは雄二と話し合った結果、新型炮烙玉と表現することにした。

ついで、俺が、大筒については細工師から実現可能との内諾を得ていること。

新型炮烙玉は、製造に多くの工程があり、城内の兵から手先の器用な者、行動の慎重な者を選んで100名程貸してほしいと伝えた。

また、新型炮烙玉を射出する器具を作るので、木地師、木工師を使いたいこと、

新型種子島銃の開発も行いたいので、この面でも細工師、木工師を使いたいことを伝えた。

射出器具とは資料館でみた中世ヨーロッパのカタパルトである。

資料館で見た物は移動用に組み立て式の複雑な構造だったが、今回は城から射出するだけなので、十分実現可能と判断した。

新型種子島とは、細工師がバネを作っていることから思いついた、スプリング式エアガンのことである。

火薬を使う火縄銃ほど威力はないだろうが、雨天でも使用可能、発射時の音も比較にならないほど静かなので、これから梅雨を迎える今の季節なら開発するメリットはあると考えたのである。

これに対し、お二人からは

大筒はまず一門改良を施し、効果の程を試射で試すこと。

兵を100名使うことについては、兵を統括しているご隠居様の弟・氏照様の許可を取ること。

とのお達しがあった。

細工師、木地師、木工師の起用については快諾された。

また、今回の一連の開発製造費は全て北条本家で持つので、全力で取り組むよう激励された。

このような具体的な意見は評定では全く出ないらしく、二人とも凄く嬉しそうにしていた。

何より、一部の南蛮人しか知らない新技術というのに、興味をそそられたらしい。

これで、色々動けることになった。
(史実での小田原陥落まで、あと93日)
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