23 / 66
包囲されたはじめての街
1590年4月18日・カタパルトはバリスタだ!
しおりを挟む
昨日の大筒試射に続いて、今日は新型炮烙玉の射出機の視察を行う。
といっても、まだダイナマイトはないので、使うのは石槍だ。
昨日、木地師、木工師から射出機の試作品ができたと連絡があったのだ。
4月5日に新型銃を依頼する時に、一緒にカタパルトの開発も頼んだのだが、僅か二週間で試作品が出来たという。
カタパルトの説明時に呉の資料館で見た投石器の外観をスケッチし、トレビュシェットなら重石の落下エネルギーを利用するなど、それぞれ説明を付けて渡したのだが、彼らが採用したのはバリスタだった。
それもその筈、日本には和弓という伝統ある武器があり、弓師という専門職もいるのだった。そして、バリスタは弓を横にしたような形状である。
木工師らは、俺から説明を受けた後、真っ先に弓師に協力を仰いだらしい。
『お初にお目にかかります、ニ曲輪様、手前、弓師の源三と申します。此度の投擲器を指揮設計した者です』
「二曲輪猪助だ。乏しい資料からの制作、さぞや苦労しただろう。今日はよろしくお願いする」
源三の案内で早速、試作品を見せてもらう。
資料館にあった物より一回り小さいが、俺がスケッチした形を良く再現してある。
スケッチについて余談だが、最初は毛筆で描いていたのだが、説明しながら書き加えたりするのに不便なので、最近は竹炭を縦に細く割って使用していた。
それを見ていた細工師達が細い竹炭を丸く加工し、その周りを竹で覆い上下を紐で縛った物を作ってくれた。これ、鉛筆だ。いや、炭が短くなったら、後ろから押して出せば良いから、シャープペンシルである。いやはや彼らは本当に器用である。
やがて、源三の説明が始まった、
『本器の骨格は杉を使っております。弓の部分は芯は竹ひご、外部は竹です。所謂、弓胎弓ひごゆみというやつです。弦は、頂いた鯨の腱を使用してます』
続いて、もう一台の元に行き
『本器も骨格は杉を使っております。弓の部分の芯に頂いた鯨の腱を使用してます、外部は同じく竹です。弦は従来の弓と同様の麻紐です』
『事前の試射ではどちらも400m超えの距離を出してます。では、ご覧に入れます』
試射が始まるようだ、目標は城内遥か先の農地、確かに300m以上の距離がある。事前に農地内の人払いは済ませてあるそうだ。
『発射!!』
源三の号令の下、二台のバリスタから拳大の大きさの石を付けた槍が飛び出し、
見事、農地の中に投下された。
「お見事。短い時間でよくここまで仕上げたな」
『有り難うございます。何か気が付いた点などございますか?』
「うむ。射程距離を可変できるよう調整できるか?300mから500mで都度相手の動きを確認しながら調節できれば使い勝手もよいのだが」
『それは弦の引き具合で調節できると思います。ただ距離を500mまで伸ばすとなると、しばらく検討させてください』
「うむ、よろしく頼む」
本来のバリスタとは構造が異なるが、元々のバリスタは矢を撃つ武器だった。そのため着弾時にもある程度の威力を保っていないと目標に刺さらない。
だが、今回は焙烙玉だ。射た物自体が爆発するのだから、バリスタに求められるのは、射程のみといって良い。
源三達は内容をよく理解して設計構築してくれた。
これは、まさに和製バリスタと言って良いだろう。
あとは、諄いようだったが、打ち出すのが新型炮烙玉であること。
そのため、発射に失敗した場合、現場で爆発が起き非常に危険であることを再度伝え、安定性の向上とメインテナンス要領を文書化するよう頼んで、試射は終了となった。
(史実での小田原陥落まで、あと79日
といっても、まだダイナマイトはないので、使うのは石槍だ。
昨日、木地師、木工師から射出機の試作品ができたと連絡があったのだ。
4月5日に新型銃を依頼する時に、一緒にカタパルトの開発も頼んだのだが、僅か二週間で試作品が出来たという。
カタパルトの説明時に呉の資料館で見た投石器の外観をスケッチし、トレビュシェットなら重石の落下エネルギーを利用するなど、それぞれ説明を付けて渡したのだが、彼らが採用したのはバリスタだった。
それもその筈、日本には和弓という伝統ある武器があり、弓師という専門職もいるのだった。そして、バリスタは弓を横にしたような形状である。
木工師らは、俺から説明を受けた後、真っ先に弓師に協力を仰いだらしい。
『お初にお目にかかります、ニ曲輪様、手前、弓師の源三と申します。此度の投擲器を指揮設計した者です』
「二曲輪猪助だ。乏しい資料からの制作、さぞや苦労しただろう。今日はよろしくお願いする」
源三の案内で早速、試作品を見せてもらう。
資料館にあった物より一回り小さいが、俺がスケッチした形を良く再現してある。
スケッチについて余談だが、最初は毛筆で描いていたのだが、説明しながら書き加えたりするのに不便なので、最近は竹炭を縦に細く割って使用していた。
それを見ていた細工師達が細い竹炭を丸く加工し、その周りを竹で覆い上下を紐で縛った物を作ってくれた。これ、鉛筆だ。いや、炭が短くなったら、後ろから押して出せば良いから、シャープペンシルである。いやはや彼らは本当に器用である。
やがて、源三の説明が始まった、
『本器の骨格は杉を使っております。弓の部分は芯は竹ひご、外部は竹です。所謂、弓胎弓ひごゆみというやつです。弦は、頂いた鯨の腱を使用してます』
続いて、もう一台の元に行き
『本器も骨格は杉を使っております。弓の部分の芯に頂いた鯨の腱を使用してます、外部は同じく竹です。弦は従来の弓と同様の麻紐です』
『事前の試射ではどちらも400m超えの距離を出してます。では、ご覧に入れます』
試射が始まるようだ、目標は城内遥か先の農地、確かに300m以上の距離がある。事前に農地内の人払いは済ませてあるそうだ。
『発射!!』
源三の号令の下、二台のバリスタから拳大の大きさの石を付けた槍が飛び出し、
見事、農地の中に投下された。
「お見事。短い時間でよくここまで仕上げたな」
『有り難うございます。何か気が付いた点などございますか?』
「うむ。射程距離を可変できるよう調整できるか?300mから500mで都度相手の動きを確認しながら調節できれば使い勝手もよいのだが」
『それは弦の引き具合で調節できると思います。ただ距離を500mまで伸ばすとなると、しばらく検討させてください』
「うむ、よろしく頼む」
本来のバリスタとは構造が異なるが、元々のバリスタは矢を撃つ武器だった。そのため着弾時にもある程度の威力を保っていないと目標に刺さらない。
だが、今回は焙烙玉だ。射た物自体が爆発するのだから、バリスタに求められるのは、射程のみといって良い。
源三達は内容をよく理解して設計構築してくれた。
これは、まさに和製バリスタと言って良いだろう。
あとは、諄いようだったが、打ち出すのが新型炮烙玉であること。
そのため、発射に失敗した場合、現場で爆発が起き非常に危険であることを再度伝え、安定性の向上とメインテナンス要領を文書化するよう頼んで、試射は終了となった。
(史実での小田原陥落まで、あと79日
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』
月神世一
SF
【あらすじ】
「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」
坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。
かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。
背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。
目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。
鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。
しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。
部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。
(……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?)
現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。
すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。
精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。
これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。
【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記
糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。
それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。
かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。
ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。
※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。
王国の女王即位を巡るレイラとカンナの双子王女姉妹バトル
ヒロワークス
ファンタジー
豊かな大国アピル国の国王は、自らの跡継ぎに悩んでいた。長男がおらず、2人の双子姉妹しかいないからだ。
しかも、その双子姉妹レイラとカンナは、2人とも王妃の美貌を引き継ぎ、学問にも武術にも優れている。
甲乙つけがたい実力を持つ2人に、国王は、相談してどちらが女王になるか決めるよう命じる。
2人の相談は決裂し、体を使った激しいバトルで決着を図ろうとするのだった。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
日英同盟不滅なり
竹本田重朗
歴史・時代
世界は二度目の世界大戦に突入した。ヒトラー率いるナチス・ドイツがフランス侵攻を開始する。同時にスターリン率いるコミンテルン・ソビエトは満州に侵入した。ヨーロッパから極東まで世界を炎に包まれる。悪逆非道のファシストと共産主義者に正義の鉄槌を下せ。今こそ日英同盟が島国の底力を見せつける時だ。
※超注意書き※
1.政治的な主張をする目的は一切ありません
2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります
3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です
4.そこら中に無茶苦茶が含まれています
5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません
以上をご理解の上でお読みください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる