冷遇され、虐げられた王女は化け物と呼ばれた王子に恋をする

林檎

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第二章 相思相愛編

不吉な夢

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「る、ルーファス様!だ、駄目です…!そ、そんな所舐めちゃ…、っ、あ…!」

リスティーナは寝台の上でルーファスに足を舐められていた。
リスティーナは慌ててルーファスを止めようとしたがその手は弱々しくて、彼を押し返す力もなかった。
幾ら、入浴した後とはいえ、足を舐めるなんて…!こんなの駄目なのに…!
駄目だと思うのに、漏れ出る声は甘く、誘っている様にしか聞こえない。
し、信じられない…。足を舐められて、感じてしまうなんて…。

「嫌か?俺に舐められるのは。」

足の指を舐めていたルーファスは一度、唇を離した。唇の隙間から覗く赤い舌が妙に艶めかしく、リスティーナは思わずドキッとした。

「い、嫌ではないですけど…!ッ、あ、足を舐めるなんて汚いです!」

「汚くなんてない。」

ルーファスはチュッと足の甲に唇を落とした。

「それに、足は性感帯の一つなんだそうだ。こうやって、舐めると気持ちよくなるのだと本に書いてあった。」

そう言って、ルーファスはまたリスティーナの足に舌を這わせ、足の指の間を舐めていく。

「やあっ!だ、ダメえ…!」

丹念に足の指の間を舐められ、その度にビクッと身体が震える。

「んッ…!」

親指から小指へと丹念に足の指の間を舐められる。
足の裏から踵、足首までも舐められ、唇と舌で愛撫される。

「あッ!んんッ…!あんッ!」

段々と彼の舌が上へ上へとあがってくる。ふくらはぎや太腿、遂には足の付け根まできてしまった。
スルッとそのままスカートの中に手を入れられ、下着越しに触れられる。そこは、既にしっとりと濡れていた。

「ん…?少し濡れているな。」

「ッ!」

ルーファスの指摘にリスティーナは顔が真っ赤になり、口を開けたり閉じたりを繰り返した。
は、恥ずかしい…!触れられてもいないのにもう濡れているだなんて…。

「可愛い…。」

ルーファスはそう囁いて、リスティーナのこめかみに唇を落とした。
そんなルーファスにリスティーナはまたしてもキュン、とした。

「じゃあ…、脱がすぞ?」

そう言って、ルーファスはリスティーナの夜着を脱がしていく。服を脱がされたことで外気が肌に触れ、ひんやりとする。露になった乳首を指で摘まれる。

「っ、あ!」

乳首を優しく撫でられたり、引っ張られたり、舌で舐められたり…。
その度にリスティーナの口からはあ、あ、あと甘ったるい声が出てしまう。
下腹部がじんじんしてくる。リスティーナはルーファスの頭を掻き抱くようにして縋りついた。

「やっ…!あっ!あっ!…ああッ!」

気持ちいい…。胸の愛撫は続けながらももう片方の手でルーファスはリスティーナの足を開かせた。彼の指が小さな突起に触れる。

「ふ、あ…!」

突起を指で弾かれる。その刺激にビクビクと反応してしまう。じわっと蜜が溢れているのが自分でも分かった。そのまま彼の長い指がリスティーナの中に入ってくる。

「っ、あッ…!や、あ…!ふぁ!」

「っ…、君の中…、すごく熱くて狭い。」

そう言いながら、彼は指を動かした。くちゅ、くちゅ、と卑猥な音をさせながら、中を搔き乱される。もう指は二本も入っている。

「はっ、あッ!っ、ああ!ん、あ…!」

気持ちいい。気持ちいい!
胸と下。同時に愛撫されて、それが強い刺激となって電流のような快感が身体中を駆け巡った。
何だかお腹がキュンキュンしてきた。中に入った指をバラバラに動かされ、親指の腹で膨張した突起を擦られる。

「あっ、あっ!あああっ!」

リスティーナは身体を仰け反らせ、絶頂した。

「あ…、はあ…。」

絶頂の余韻で頭がボーとしているリスティーナだったが、ルーファスが荒い息をしながら、性急な動きで服を脱ぎ出した。

「リスティーナ…。挿れたい…!君の中、入ってもいいか?」

「あ…、ルー、ファス様…!」

リスティーナは声が枯れながらも、ルーファスに必死に手を伸ばした。
私も…、私もあなたが欲しい…!そう伝えたかった。ルーファスはギラギラと欲情の籠った視線でリスティーナを見つめる。そのまま彼の先端がリスティーナの中に入ってくる。

「あ、ああああ!」

挿れられただけでビクン!と身体が跳ね上がり、達してしまった。リスティーナは彼の首に手を回し、必死に縋りついた。

「ッ、リスティーナ…!そんなに、締め付けるな…!」

そう言いながらも、ルーファスは感じているような表情を浮かべていた。その目の色には隠し切れない欲情と興奮の色があった。
ルーファス様…。私ので感じてくれているんだ。そんな彼にリスティーナは胸がキュン、とした。

「うっ…!また、締まった…。」

ルーファスは歯を食い縛り、何かに耐えるような表情を浮かべながらも、

「君の中…、すごく気持ちがいい…。挿れただけでイキそうになる…。」

そう言って、チュッと額に口づけられた。

「ルーファス様…。」

リスティーナの胸がトクン、と高鳴った。嬉しい…。私ので気持ちいいと思ってくれているんだ。

「動いても…、いいか?」

リスティーナが頷くと、ルーファスは腰を動かした。ズプッズプッと卑猥な音を立てて、抜き差しを繰り返し、激しく身体を揺さぶられる。

「あっ!っ、あぁ!ああ!…る、ルーファス、様あ…!」

リスティーナがルーファスの名を呼ぶと、彼はリスティーナの唇を塞いだ。彼の舌を受け入れ、リスティーナも自分の舌を彼に絡ませる。

「ん…、んん…。ふあ…、ッ…、」

背筋がゾクゾクする。気持ちいい…。トロンとした目で彼を見つめる。そんなリスティーナをルーファスも目を逸らさずにじっと見つめ返してくれた。ギュッと手を握られ、シーツに押し付けられる。そのままどんどん動きが激しくなっていく。目の前がチカチカとしてきた。ルーファスが唇を離し、

「クッ…!もう…、出る…!」

その直後、お腹の奥に熱い精液が注がれる。その瞬間、リスティーナの身体もビクビクッと跳ね上がり、頭の中が真っ白になった。そのままフッと意識が薄れていく。

ドサッと音を立てて、力なく横たわるリスティーナにルーファスは掛け布をそっと身体にかけた。
疲れて寝入ってしまったリスティーナの寝顔をじっと見つめる。
やはり、見間違いじゃなかった。
間違いない。リスティーナはあの時、確かに…。

「う…、ん…。」

その時、リスティーナが寝返りを打って、ルーファスの方にスリ、と身を摺り寄せた。
ルーファスはそんなリスティーナを見て、フッと笑い、そのまま彼女を抱き締めると、目を閉じた。




紅色の紅茶が注がれたティーカップ。ゆらゆらと揺れている。視界が歪む。
紅茶が零れたカップ、血で汚れた絨毯、高らかに笑う女性の声、それから泣き叫ぶ女性の声も聞こえる。
これは…、何…?視界が揺れてよく見えない。目が霞んで何が起きているのか自分でもよく分からない。

ゴホッ!ゴホッ!と咳き込む音が聞こえる。ハッと目を向ければ、そこには寝台に横たわっている人が苦しそうに咳き込んでいた。そして、咳と同時に真っ赤な血を吐きだした。枕とシーツにべったりと血が付着している。口元に手を当て、ゼエ、ゼエと苦しそうに息をしているその病人は…、ルーファスだった。

バッと目を開け、リスティーナは飛び起きた。今のは…、夢…?
まだ心臓がドキドキしている。手を見れば、手汗でぐっしょりと濡れていた。
隣を見ると、ルーファスがいない。

え…?リスティーナは胸騒ぎがした。

「ルーファス様…?」

リスティーナはキョロキョロと辺りを見回した。ルーファスの姿が見当たらない。
リスティーナはま、まさか…!と顔がサッと青褪めた。

「リスティーナ?起きていたのか。」

その時、扉が開いて、ルーファスが部屋に入ってきた。

「まだ起きるのには早いから、もう少し寝ていても…、ッ!?」

ルーファスがリスティーナにそう言って、近づくがそれより早くにリスティーナは彼に抱き着いた。
ルーファスはリスティーナの突然の抱擁に目を見開いた。

「…ルーファス様…!良かった…!」

ポロポロと泣き出すリスティーナにルーファスは戸惑った。

「リスティーナ?どうして泣いているんだ?何かあったのか?」

ルーファスがそっと肩を抱き、泣いている理由を訊ねた。

「夢を見たんです…。とても、怖い夢を…、」

リスティーナは泣きながら話した。

「そして、起きたら、ルーファス様がいなくて…、」

「それで不安になって泣いてしまったのか?…ただの夢だ。怖がる必要はない。俺はちゃんとここにいる。」

「ルーファス様…。」

ルーファスに抱き締められ、リスティーナはその背に腕を回した。心臓の音が聞こえる。
良かった…。ルーファス様はちゃんと生きている。その事にリスティーナは心の底から、安堵した。
良かった…。やっぱり、ただの夢だったんだ。
少し冷たいけど、ちゃんと体温も感じる。何より、夢の中のルーファス様とは別人のように顔色もいいし、呼吸も穏やかだ。

今のルーファス様と夢の中のルーファス様は全然違う人みたいだ。まるで別人のようだった。
ルーファスの顔を見上げながら、リスティーナはそう思った。
夢の中のルーファス様は今にも死んでしまいそうな位、憔悴していた。
顔は真っ青で血の気がなく、窶れていた。
どうして、あんな怖い夢を見てしまったのだろう?まさか、あれは予知夢?
ううん。そんな筈ない。最近のルーファス様は発作もないし、寝たきりでもなく、普通の人と同じように生活ができている。食事だって人並みよりは少ないけどちゃんと食べている。
大丈夫…。きっと、あんな事は起きない。あれは、ただの夢。リスティーナは自分にそう言い聞かせた。

「天気が良ければ、朝の散歩にでも誘いたかったが…、今日はあいにくの曇天振りだから散歩は無理だな。」

「え…?」

リスティーナは窓の外を見つめる。見れば、ルーファスの言った通り、外は雨が降っていた。

「え…、嘘。雨…?本当に当たった…。」

リスティーナは呆然と呟いた。そんなリスティーナの横でルーファスは降り続ける雨をじっと見上げた。
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