オタク姫 ~100年の恋~

菱沼あゆ

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王子は竪穴式住居に住んでいました

お見苦しいものを見せて、すまなかった

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 食後、十文字は、
「す、少し片付けてきますっ」
と言って、朝霞が急いで、二階へ駆け上がっていくのを眺めていた。

 そんな朝霞に、廣也が笑う。

「少しじゃないだろ。
 っていうか、無駄な抵抗はやめろ」

 麻里恵も少し笑い、立ち上がった。

「珈琲でも淹れるわね」

 そのとき、十文字の前に座っていた佐野村が口を開いた。

「先輩。
 さっきの話ですが」

 うん? と見ると、
「俺は朝霞が引っかかったのとは違うところが気になりましたけどね。
 先輩は、いつから朝霞を知ってたんですか?」

 そう佐野村は言い出す。

 そのちょっと強い口調を受け流すように、十文字は静かに語った。

「いつからもなにもあるか。
 あいつ、ほんとに、すごいボサボサ頭で。

 パジャマの上になにか羽織って来ただけか? みたいな格好で来たこともあるからな。

 目につかないわけないだろう」

 うっかりまた、真実をありのままに話して、廣也に、

「……お見苦しいものを見せて、すまなかったな」
と謝られてしまったが。

 おそらく、風邪をひいて寝てるとき、気分転換にゲームでもやりたくなって、父親に乗せてきてもらったのだろう。

 ふらふらっと店に入ってきて、明るい感じのゲームをいくつか手に取ったあと。

 いいのが見つかったらしく、ホッとしたように笑った朝霞の顔を今でも覚えている。

 学校で見るときみたいに、きちんとした格好もしてなかったのに、あのときの朝霞のほうが可愛く見えた。

 そんな朝霞の笑顔を店に行くたび、何度も思い出してしまっていたのはきっと。

 接客業もなかなか大変なので。

 あんな風に純粋に、ゲームが買えてよかった、という表情を見せるお客さんに出会うと嬉しいからだろう。

 単にそれだけのことだ――。

 十文字は、そう思っていた。


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