あまりさんののっぴきならない事情

菱沼あゆ

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箱から覗いてみました……

うやむやバンザイ

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 海里と部屋に入りながら、あまりは服部に感謝していた。

 どうやって海里さんを出迎えようかなと緊張していたのに、服部さんのお陰で、なんだかうやむやのうちに、部屋に入ることが出来ました。

 服部さん、ありがとうっ、と服部の部屋に面している白い壁に向かい、密かに祈りを捧げる。

 まあ、ちょっと刑事に連行されてるみたいになってるけど……。

「ふーん。
 可愛い部屋だな」

 海里は部屋の中を物珍しそうに見回しながら、呟く。

 もしかして、女性の部屋に入ったのは初めてだとか。

 ……いや、ないか、この顔で。

 とまた、勝手に顔を基準に決めつける。

 出会ったのが、幼稚園とか赤ちゃんの頃ならよかった。

 だったら、私の前に誰か居たかもとか、いろいろ勘繰らなくてよかったのに、としょうもないことを考えながら、
「そうだ」
と声を上げた。

「さっき、大崎さんにお会いしましたよ。
 ……お義兄さんだったんですね」

 そう苦笑いして言うと、
「聞いたか」
と言う。

「面倒見が良くて面白い家庭教師だったんだが、姉の放蕩のお陰で、倒錯の世界に……」
と呟いていた。

「そういえば、成田さんのことを素敵だとかおっしゃってたんですが。
 大崎さん、女装だけじゃなくて、そういう趣味が?」

 おそるおそる訊いてみると、

「いや、そうじゃないだろう」
と言う。

「あいつは昔から美しいものが好きだったんだ」

 はあ、それでお姉さんを、と思った。

 見たことはないが、海里の姉だから、美人に決まっている。

「服も好きだったから、今の仕事も楽しいんだろうが。
 ……男の店長でもいいだろうにな」

 そう言い、海里は溜息をつく。

「姉は姉で、私には私の言い分がある、とか言ってるしな。
 俺は板挟みで大変なんだよ」

 おっと、ワインが温もるな、と手にしていたワインをテーブルに下ろしていた。

 いや、温もるどころか、さっき逆さにして、凶器にしてましたけど……。

「食べに出てもいいんだが。
 此処で食べるのもいいかなと思って、一応買ってきた」

 紙袋を持っていると思ったら、中身は老舗の料亭のお弁当だった。

 懐石が綺麗にきゅーっと詰められている感じだ。

「うわー、私、これ、食べてみたかったんですっ」
とあまりは感激する。

 グラス用意しますね、とご機嫌でキッチンへと入っていった。


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