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凶器を探しています
そのときはきっと、相談にいけませんっ
しおりを挟むほんとうにパーカーの人だった、と琳はちょっぴり嬉しかった。
グレーじゃないけど、パーカーを着てる。
ピンクのゾウの話に反応した。
なんか訳あり風のイケメン。
――の三点により、疑っていたのだが。
我ながら、ちょっと強引かな、とは思っていたのだ。
やりましたよっ、という顔で将生を見たが、たまたまだろ……、と視線で返される。
そのとき、何故か中本が飛び込んできた。
「怪しい人物を見つけましたよっ、佐久間さんっ」
入ってきておいて、中本は、あれっ? と店内を見回す。
「佐久間さん?」
「佐久間さん、来てませんよ」
琳が言うと、
「何故ですかっ?」
と中本が非難がましく言ってくる。
いや、佐久間さんがいつも此処に居たらおかしいですが。
そして、コンビ組んでるはずなのに、何故、いつもはぐれてるんですか、中本さん、と琳は思っていた。
まあ、どっちがはぐれている方なのかはわからないのだが……。
「見つけたんですよっ」
と中本は叫ぶ。
「水宗さんが言ってたパーカーの人らしき人物が映っている防犯カメラッ」
……防犯カメラの映像どころか。
今、そこに本人が居ますが。
なんだろう、この人、という目で中本さんを見て、アイスコーヒーすすっていますよ。
「あの通りの入り口付近の防犯カメラに、毎度、似たようなパーカーで似たような背格好の人物が同じくらいの時間にあの住宅街に向かって歩いていくのが写ってたんですよっ」
……なんで毎度、似たようなパーカー着てるんですか、とパーカーの人を見てみたが、将生と違って、考えていることは伝わってはこなかった。
「もし、水宗さんが犯人でないのなら、パーカーの男が犯人かもしれませんよねっ」
いや、その説、今、かなり怪しくなってきたとこなんですけど、と琳が思った瞬間、中本が叫んだ。
「ということは、となり町の殺人事件もそいつが犯人かもしれませんよねっ」
どうして、そこまで話、飛躍しましたっ!?
自分も同じように飛躍しがちなのに、人に目の前で同じことをやられると、何故っ!? と思ってしまうと琳は知った。
「あ、僕、佐久間さん探さないといけないんで。
佐久間さんが来たら、僕の携帯に連絡お願いします」
いや、中本さんの携帯知りません、と言う間もなく、軽やかに中本は出て行った。
カウンターでは、パーカーの人が固まっている。
「……何故、こんなことに」
青くなったパーカーの人は、琳を見上げて言う。
「すみませんっ。
なんとかしてくださいっ」
「えっ?」
喫茶店の店主に言っても駄目か、と思ったらしい彼は将生を振り向き訴えた。
「すみません。
なんとかしてくださいっ」
だが、将生は無情にも、
「俺は監察医だ。
生きている人間のことはよくわからん」
死んでから相談に来い、と言い放っていた。
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