88 / 176
伍 百鬼夜行花札
さあ、勝負ですっ!
しおりを挟む謎の札を使ったあやかし花札はどんどん佳境を迎えていった。
「うっ。
どうして俺のところに、壱花が作った謎の生き物がっ」
とおのれの手札を眺めながら倫太郎が言う。
「だから、どうしてみんな手の内をしゃべるんでしょうね……」
と冨樫が呟くので、
いや、私はしゃべってないですよ。
さっきしゃべったの、高尾さんですよ、
と思いながら、壱花は、やけくそのように、
「それ、貴重な化け猫なので、50点にしましょう」
と主張した。
「なんだ、また言ったもん勝ちかっ」
と斑目が文句を言ってくるが。
いやいや、あなたなんて、おのれの絵が上手い、というだけの理由で、虎を300点にしようとしてますよ……と思いながらめくったそこには、その今にも飛び出してきそうな虎がいた。
「やったっ。
300点っ。
って、竹の札なんて他にないじゃないですかーっ」
「じゃあ、なんでも取れるってことで」
と斑目が言う。
「他の札があまりますよ。
っていうか、私が300点とってもいいんですか」
「俺の絵の素晴らしさが認められるわけだからいい。
大丈夫だ。
お前が300点とるなら、俺はなにかで600点とるからいい」
「インフレがひどいですね……」
と冨樫が呟く。
いや、それ以前に、なにかでって、なんですか。
なにで600点とるつもりなんですか……とまた無茶を言ってこられそうな雰囲気に壱花が怯えたとき、斑目が、
「しかし、壱花の生き物が50点は審議だっ。
審判、評決を取れっ」
と言い出した。
「風花壱花の生き物、50点の価値があると思われる方、挙手をお願いします」
と冨樫が言う。
誰も手を上げなかった。
「社長ーっ。
なんで手を上げないんですかっ。
今、私の札持ってるんでしょ?」
「いや……ああいう問われ方をすると、俺の審美眼が試されている気がして。
壱花札に50点はない」
いつ、壱花札なんて名前に……。
「では、0点ということで」
「なんでですかっ、冨樫さんっ。
生き物の絵があったら、なにか点つくでしょうよっ」
「じゃあ、5点で」
「この審判、横暴ですよーっ」
と壱花は叫ぶ。
このハイパーインフレ状態で、5点とか完全なカス札だ。
「冨樫さんの訊き方が悪いからじゃないですかっ」
「お前、審判に文句つけるな。
レッドカード出すぞ」
と言い出す冨樫に、なんの競技だ、これは……と思いながら、壱花は倫太郎に訴える。
「やばいですっ。
このままでは押し負けますっ」
「……花札って、そういう遊びだったか?」
「社長っ、吸い込まれて札になってくださいっ」
「なんでだっ」
「だって、なんか強そうじゃないですかーっ」
と壱花は叫ぶ。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
芙蓉は後宮で花開く
速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。
借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー
カクヨムでも連載しております。
竜帝と番ではない妃
ひとみん
恋愛
水野江里は異世界の二柱の神様に魂を創られた、神の愛し子だった。
別の世界に産まれ、死ぬはずだった江里は本来生まれる世界へ転移される。
そこで出会う獣人や竜人達との縁を結びながらも、スローライフを満喫する予定が・・・
ほのぼの日常系なお話です。設定ゆるゆるですので、許せる方のみどうぞ!
リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~
RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。
試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。
「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」
枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!
包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。
子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちだというのに。
入社して配属一日目。
直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。
中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。
彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。
それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。
「俺が、悪いのか」
人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。
けれど。
「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」
あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちなのに。
星谷桐子
22歳
システム開発会社営業事務
中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手
自分の非はちゃんと認める子
頑張り屋さん
×
京塚大介
32歳
システム開発会社営業事務 主任
ツンツンあたまで目つき悪い
態度もでかくて人に恐怖を与えがち
5歳の娘にデレデレな愛妻家
いまでも亡くなった妻を愛している
私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
