あやかし駄菓子屋商店街 化け化け壱花 ~ただいま社長と残業中です~

菱沼あゆ

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伍 百鬼夜行花札

さあ、勝負ですっ!

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 謎の札を使ったあやかし花札はどんどん佳境を迎えていった。

「うっ。
 どうして俺のところに、壱花が作った謎の生き物がっ」
とおのれの手札を眺めながら倫太郎が言う。

「だから、どうしてみんな手の内をしゃべるんでしょうね……」
と冨樫が呟くので、

 いや、私はしゃべってないですよ。
 さっきしゃべったの、高尾さんですよ、
と思いながら、壱花は、やけくそのように、

「それ、貴重な化け猫なので、50点にしましょう」
と主張した。

「なんだ、また言ったもん勝ちかっ」
と斑目が文句を言ってくるが。

 いやいや、あなたなんて、おのれの絵が上手い、というだけの理由で、虎を300点にしようとしてますよ……と思いながらめくったそこには、その今にも飛び出してきそうな虎がいた。

「やったっ。
 300点っ。

 って、竹の札なんて他にないじゃないですかーっ」

「じゃあ、なんでも取れるってことで」
と斑目が言う。

「他の札があまりますよ。
 っていうか、私が300点とってもいいんですか」

「俺の絵の素晴らしさが認められるわけだからいい。
 大丈夫だ。
 お前が300点とるなら、俺はなにかで600点とるからいい」

「インフレがひどいですね……」
と冨樫が呟く。

 いや、それ以前に、なにかでって、なんですか。
 なにで600点とるつもりなんですか……とまた無茶を言ってこられそうな雰囲気に壱花が怯えたとき、斑目が、

「しかし、壱花の生き物が50点は審議だっ。
 審判、評決を取れっ」
と言い出した。

「風花壱花の生き物、50点の価値があると思われる方、挙手をお願いします」
と冨樫が言う。

 誰も手を上げなかった。

「社長ーっ。
 なんで手を上げないんですかっ。

 今、私の札持ってるんでしょ?」

「いや……ああいう問われ方をすると、俺の審美眼が試されている気がして。
 壱花札に50点はない」

 いつ、壱花札なんて名前に……。

「では、0点ということで」

「なんでですかっ、冨樫さんっ。
 生き物の絵があったら、なにか点つくでしょうよっ」

「じゃあ、5点で」

「この審判、横暴ですよーっ」
と壱花は叫ぶ。

 このハイパーインフレ状態で、5点とか完全なカス札だ。

「冨樫さんの訊き方が悪いからじゃないですかっ」

「お前、審判に文句つけるな。
 レッドカード出すぞ」
と言い出す冨樫に、なんの競技だ、これは……と思いながら、壱花は倫太郎に訴える。

「やばいですっ。
 このままでは押し負けますっ」

「……花札って、そういう遊びだったか?」

「社長っ、吸い込まれて札になってくださいっ」

「なんでだっ」

「だって、なんか強そうじゃないですかーっ」
と壱花は叫ぶ。


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