あやかし駄菓子屋商店街 化け化け壱花 ~ただいま社長と残業中です~

菱沼あゆ

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伍 百鬼夜行花札

ちょっといい雰囲気じゃないか

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 壱花と斑目のしょうもない会話を聞きながら、倫太郎は、

 ……これはやばいな、と思っていた。

 なにがやばいのかわからないが、やばい感じがする。

 この二人、結構、話が合うんじゃないか?

 冨樫が聞いていたら、
「いやいや、何処が話が合ってるんですか」
と言いそうだったが。

 いや、内容が噛み合っていなくとも、気が合ってそうな気がするというか……。

 でもまあ、斑目はこう見えていい男だし。

 性格はちょっとあれだが、お坊ちゃんだし。

 結構モテるから、こんな化け化け女と付き合う必要もないか、と思う倫太郎の前で、斑目が壱花に言う。

「花花壱花。
 お前はあれか。

 花のような子になるようにとそんな名前になったのか?」

「いやー、でもなかなか期待通りには育たないもんですよね~」
と苦笑いして壱花は言う。

 花花とか言われて、ちょっと嬉しそうだった。

「まあ、名前は自分で決められないからな。
 ちなみに、俺の名前は人也ひとなり
 人なりって意味だ。

 斑目って、なんか、蛇っぽいじゃないか」

 いや、蝶とかも、まだら模様だろ……。

「蛇っぽいけど、人だよって意味で、怖がられないように親がつけたらしい」

「人だよ、って、なんか可愛いですね」
と壱花が笑う。

 ……可愛いか?

 いいお話ですねーと笑う壱花を見ながら、倫太郎は、

 なにが人だよ、だ。

 こいつ、ヤマタノオロチよりタチが悪いやつなのに、
と思っていた。

 そのとき、場に並べているおのれの手札を指さし、壱花が言った。

「よしっ、鉄砲で300点です!」

「何処がだっ」
と全員がその札を見て叫ぶ。

 鉄砲とは普通、桜、月、杯だが。

 壱花が並べたのは、高尾、化け狸、うさぎだった。

「なんでこれで、鉄砲だっ」
と倫太郎は叫んだが、壱花は、

「鉄砲で撃たれて。
 煮たり焼かれたりして、食われそうな方々です」
とそれらの札を手で示して言う。

「高尾さんも食われてるじゃないか……」
と札を覗き込んで冨樫が言った。

「ちょっと、化け化けちゃーんっ?」
と札の中から高尾が叫び、倫太郎の前に並んでいる札の中で、キヨ花が笑っていた。



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