好きになるには理由があります ~支社長室に神が舞い降りました~

菱沼あゆ

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理由が必要か?

行動力が凄すぎるっ!

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「練習の終わりにでも、コミュニティセンターでちょっと呑もうかと思ってたのに、とても入りそうにないので、金子さんの知り合いの店を貸し切ることになりました」

 深月が仕事の報告のついでに、コンパの報告もすると、
「で、お前は行くのか?」
と陽太は訊いてきた。

「ええまあ。
 幹事なんで。

 支社長も参加なさいますか?」
と訊いたが、陽太は渋い顔をする。

「いや、その日は無理だ。
 母方の本家でおばさんの誕生祝いがあって。

 なにを置いてもかけつけないと、のちのち怖いからな。

 っていうか、お前も連れていって紹介するつもりだったのに」
と言われ、

「ありがとうございます。
 でも、なんだかいろいろ大変そうなので、コンパについてます」
とうっかり言ってしまった。

 あ、これだと、恋人として、おばさんたちに紹介されることに反対してないな、と気づきはしたのだが、陽太は別のことが気になっているようなので、とりあえず、そのまま流した。

「お前、誰かにお持ち帰りとかされるなよっ。
 そうだ、清春は行かないのか」

 あのストーカーみたいなお目付役はっ、と言ってくるが。

「清ちゃんは滅多に帰ってこない遠方の友だちが、何故か突然、帰ってくることになりまして。

 高校の一部メンバーによる同窓会が開かれることになりまして、不参加です。

 おそらく、万理さんたちの陰謀かと」

 これ以上、清春をめでるライバルを増やしたくないと言っていた。

 いや、愛でるだけなら、別に何人居てもいいのでは……と思ってはいたのだが。

 口に出すと恐ろしいことが起こりそうだったので、黙って聞いていた。

「……すごい人脈と策略と行動力だな。
 うちの会社に欲しい気がしてきた」
と陽太は万理たちに呆れを通り越して感心し、そう言ってくる。

 ちなみに、陽太と同じように参加できなくなった清春も、
「船長は参加しないのか。
 あのストーカー、肝心なときには役に立たないな」
と似たようなことを言って怒っていた。

「電話するからな、深月っ。
 十分置き、いや、五分置きにっ」

 ……やはりストーカーか?
と思ったが、そんなパーティーに行かないと、絞め殺してきそうなおばさんのところから、頻繁に電話がかけてこられるとも思えなかった。

「なんで、ケーブルテレビはそのコンパを中継してくれないんだ。
 そしたら、ずっと見てるのに」
と陽太は無茶を言い出す。

 いや、心配しなくても私、そんなモテませんから……、と深月は思っていた。

 他人が聞いていたら、かなり鬱陶しいことを言われている気がするのだが。

 今はまだ、そういうのが、ちょっと嬉しいというか。

 貴方に、そんなに心配されたり、大事にされたりするほどの女ではないですよ、私、と思って、こそばゆい感じがするというか。

 そんなことを考えている深月の前で、
「どうするかな」
と陽太はまだ真剣に困っている。

 そのとき、内線電話が鳴った。

 陽太は仕方なく、それを取りながら、

「深月っ。
 ともかく、誰にもお持ち帰りとかされるなよっ。

 誰にも気を許すなっ。

 防犯ブザーとかスタンガンとか持っていけっ」
と叫んでくる。

 どんなコンパだ……。

「よその男に触らせるなよ。
 俺もまだ触ってないのにっ」
と言うので、ん? と振り向いた。

 陽太はもう電話で話し始めていたので、深月はそのまま、そっと外に出た。


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