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万千湖と駿佑の日常
捨てられる、そう思いました……
しおりを挟む「なんか今日の瑠美さん可愛かったですね~」
万千湖は夜、共有リビングで紅茶を淹れながらそう言い、笑った。
「恋する女は可愛いって言うからな」
はっ。
なんですか、その課長らしくない発言っ。
まさかっ。
可愛いなと思いながら、瑠美さんを見てたとかっ!?
万千湖は慌てて紅茶から顔を上げたが、駿佑は何故か万千湖の方を見て満足そうに微笑んでいた。
……いや、なんなんですか、と万千湖が赤くなって、俯きかけたその瞬間、駿佑が眉をひそめて言った。
「……ということは、お前が俺を好きでなくなったら、可愛くなくなるのだろうかな」
何故、あなたは一言多いんですか。
いい話で終わらせる気はないんですか……。
「私の方こそ、いつ、課長に捨てられるかなと思って、ビクビクしてるんですけど」
「なんでビクビクする?
こんなに俺はお前に執着してるのに?」
と言う駿佑に、それですよ、と万千湖は言った。
「この間、課長、読んでたじゃないですか。
そこに寝転がって。
『執着を捨てる』っていう本。
……捨てられる。
そう思いました」
「いや、ただの会社の図書室で借りてきた片付けの本だろ……。
まあ、俺が執着してるのはお前だけだが」
と駿佑は、大真面目な顔で万千湖を見つめ言ってくる。
いや……やめてください、と万千湖は赤くなりながら、
「こ、紅茶です」
と駿佑の前に置いた。
駿佑はそれを見ながら、
「そういえば、夫婦仲がよくなるハーブティーはどうした?」
と訊いてくる。
……覚えてたんですか、ハーブの話、と思ったとき、駿佑は少し迷って、紅茶を手に、万千湖の隣に座り変えてきた。
いつも向かいにしか座らないのに。
黙っているので、いよいよ、捨てられるっ? と思いながら訊いてみた。
「どうしたんですか?」
「いや、お前が可愛いな、と思って。
なにかしようと思ったんだが。
なにがいいかなと思って」
……一体、なにをしようとしてるんですか、と万千湖が怯えたとき、駿佑がふと思いついたように言ってきた。
「たまにはお前からもなにかしろ」
ええっ? と万千湖はドン引く。
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