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万千湖と駿佑の日常
駿佑の日記
しおりを挟む「む、無理です」
「なんでもいい。
なにかしろ。
俺ばっかりお前に愛を示しているようで、気に入らん」
万千湖はすごく迷って、そっと手を伸ばすと、駿佑の頭を撫でてみた。
「……なんだ、こんなことかと思ったが。
そうやって、強制的でなく、やさしく撫でられると嬉しいものだな」
いやあなた、充分強制してますよ、と思いながらも、万千湖は、でしょ? と言う。
だが、駿佑は俯いて難しい顔をした。
えっ? やっぱり駄目でした? と万千湖が思ったとき、駿佑がボソリと言ってきた。
「……でもまあ。
キスしてくれた方が嬉しいが」
ええっ? と万千湖は後退する。
駿佑は万千湖を見つめている。
「え、えーと。
今は無理です」
「いつならできる」
ひーっ。
なんですかっ。
取り立ての業者ですか、急かさないでくださいっ。
私に借金はもうないって言ったの、あなたですよ、と身を引きながら、万千湖は、どうしていいかわからずに混乱する。
「明日か?
あさってか?」
「ひゃ……
100年後くらいならっ」
つい逃げながらそう言ってしまい、怒られるかな、と思ったが、駿佑は笑って言った。
「じゃあ、100年後も一緒にいられるな」
赤くなった万千湖の前で、駿佑は真っ暗な窓の外を、今は飛んでいないジョウビタキの姿を探すように見て呟く。
「……あいつも、冬になるたび、100年突っ込んできそうだが」
万千湖が部屋に引き上げたあと、駿佑も戻り、日記を書いた。
……一日を凝縮して書いたら、一行になってしまった。
しかも、昨日と同じだ。
だがまあ、誰かに見せるわけではないから。
誰にも言えない本音が書けていい。
そう思いながら、駿佑は日記を閉じ、登山用ヘッドライトを見て、キャンドルを見た。
どれも不評だったな。
今夜はスタンダードに行こう、と駿佑は停電したときのために壁に備え付けてあるスタイリッシュな白い懐中電灯を手に取る。
「いや、普通に電気つけてくださいよっ」
と万千湖が叫ぶ声が聞こえた気がしたが。
仕事と慣れない新婚生活で疲れているだろう万千湖が寝ているのなら起こしたくない。
そう思いながら、駿佑は万千湖の家の寝室のドアを開けてみた。
万千湖はもう眠っている。
……引き返すか、と思い、戻りかけたが。
万千湖は可愛い顔で眠っている。
……顔だけ眺めとくか。
万千湖が寝返りを打ち、こちらを向いた。
……まあ、側でそっと寝るだけならいいか。
駿佑は万千湖の側に静かに横になる。
「……おやすみ、万千湖」
万千湖は寝ているのだろうに、自分の声が聞こえた瞬間。
ふいに、いい夢でも見たかのように、ふふ、と小さく微笑んだ。
さっき、日記に書いた、今日一日を凝縮した一行を思い出しながら、駿佑は、その寝顔にそっと口づける――。
「2022.3.27
今日はいろいろあったが、万千湖が可愛かった」
「2022.3.28
今日は仕事が大変だったが、万千湖は可愛かった」
「2022.3.29
今日はなんだかんだで、万千湖が可愛いかった」
「2022.3.30
今日は……」
完
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あら⁉︎
今まで主人公の周囲の人の恋のエピソードとかって、ありましたっけ?
う〜む。
パクチーに出て来た圭太と日向子は、ハッピーエンドではなかったし…。
駿佑と万千湖のその後のお話も気になりますが、瑠美の恋のお話も気になりますね!
それもお相手が、菱沼様の作品には珍しくイケメンじゃない人!(笑)
johndoさん、
確かに(^^;
イケメンじゃない人は珍しいですよね~。
そういえば、あんまりなかったですかね?
周りの人の恋のお話(⌒▽⌒)
あとちょっと頑張りますね~。
アッハッハッハ
駿佑と万千湖の期待を裏切らない新婚生活に、ほっこり。
もう少し覗かせてください。
johndoさん、
ありがとうございますっ(⌒▽⌒)
短いですが、頑張りますね~っ。