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運命が連れ去られました
ふたりで……
しおりを挟むあれだけあかりに、なんて紹介の仕方をしやがる、と文句を言っていた青葉だったが。
真希絵を前にした今、それが一番、人にわかりやすい紹介だと気がついた。
だが、その言葉を聞いた真希絵は必要以上に驚く。
「えっ?
ここに突っ込んでこられたんですか?
何故っ!?」
いや、何故っておかしいが……と思いながら、青葉は状況を説明してみた。
「その、猫が車の前に飛び出してきて。
避けたところにおばあさんがいて……」
「何故、猫がっ。
そして、おばあさんは何処からっ」
いや、知りませんよっ。
っていうか、おばあさんは、ずっとスローに道を歩いていましたよっ、と青葉が思ったとき、何故かあかりが母、寿々花とともに帰ってきた。
「いや~、次の公演がはじまるまで。
なにをすればいいんですかね、私たち」
「夜のドラマに出るって聞いたわよ」
ガラス扉の向こうで、そんな、よくわからない話をしながら、あかりは寿々花と笑っている。
だが、カランコロンカラン、と入ってきたあかりは……青葉を見て、さっきの真希絵のようにフリーズした。
寿々花は無表情に、こちらを見ている――。
あかり親子がカウンターの内側に入り、青葉親子がカウンターに座った。
この向き合い方、なんか見合いみたいだな、と思いながら、あかりは言った。
「えーと、母です」
そう真希絵を紹介すると、真希絵が頭を下げる。
今度は青葉が寿々花を紹介した。
「母だ」
寿々花は頭を下げなかった。
まあ、寿々花さんだからな。
っていうか、我々の見合いではなく、母同士の見合いみたいなんだが……、
とあかりが思ったとき、青葉が口を開いた。
「うちの親とお前が友人だったとはな」
「いや~、偶然ですね~」
偶然だと言えば言うほど、偶然っぽくなくなるのは、なんでだろうな、と思うあかりに青葉が訊いた。
「木南って名字、珍しいのに、何故、訊いてみなかった?」
「意外とたくさんあるのかと」
「俺はお前の弟にすぐ訊いたぞ」
「あー、鞠宮もあまりないですもんねー。
田中か佐藤ならよかったんですけど」
と言って、
いや、田中や佐藤なら、なにがよかったんだ、という顔をされる。
青葉はそこで、ふと気づいたように呟いた。
「そういえば、あかりに来斗だな。
単品で聞いたら、なんとも思わないが……」
「思わないが。
続けて聞いたら、なんなんです……?」
名付け親かもしれない、あかりの母がいるせいか、青葉は黙った。
あかり 来斗。
そして、あかりの子が日向と書いて、ひゅうが。
どんだけ明るいものが好きなんだ。
蛾か、
とでも思ってるんだろうな、と思いながら、あかりは言った。
「友だちの孔子なんて、姉が孔子で、妹が明子。
ふたりで孔明ですよ」
「類は友を呼ぶんだな……」
そうぼそりと青葉は呟いた。
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