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ムラサキカガミ
心配するな、俺はイケメンだ
しおりを挟む朝、乃ノ子はキンコーンという音で目を覚ました。
「起きろ、伝説の乃ノ子っ。
次の都市伝説を探してこいっ。
お前が都市伝説になりたくないのならなっ」
というイチからのメッセージが入っていた。
伝説の乃ノ子……。
なんか厨二病感が増している、と思いながら、乃ノ子はイチに打ち返した。
「いや、私、昨日頑張ったじゃないですか。
確かに写真は撮りそびれましたけど」
「撮りそびれるどころか、お前、マスキングテープで塞いでるだろ、カメラ」
そういえば……と気づいてそれを外す。
「でも、イチさん。
昨日、カメラ塞いでたのに、こっちの様子わかってたみたいですけど」
「なんだお前。
俺がカメラから覗いてると思ってたのか。
俺は心の眼で見てるんだ」
……カメラのレンズは塞げても、心の眼は塞げないので困ったことだ、と思いながら、乃ノ子は続けて打った。
「でもあの、どうせなら、イケメン芸能人様の爽やかなメッセージで目覚めたいんですけど。
ジュンペイさんのAIは何処に行ってしまったんですか」
そう文句を言ったが、イチは言う。
「なんだ、イケメンに起こして欲しいのか。
心配するな、俺はイケメンだぞ」
「いや、見えないんで、なんとでも言えますよね~」
と打つと、そのまましばらく返事はなかった。
この間に着替えよう、とベッドから立ち上がった乃ノ子だったが。
待てよ。
もしかして、着替えてるところもイチさんから見えているとか? と気づき、部屋の隅に行ってみる。
いや、心の眼で見られているのなら、何処に行っても無駄なのだが。
ま、イチさん、別に私の着替えになんか興味ないか。
AIなんだろうしな、と思いながら、着替えてスマホを見に戻ると、イチからのメッセージが入っていた。
「お前が都市伝説を集め続けていれば、いつか俺と会うこともあるだろうよ」
条件そろえたら復活してくる魔王みたいだ……。
だったら、都市伝説集めない方がいいのでは、と思いながら、
「わかりました。
頑張りまーす」
とあまり誠意の感じられないメッセージを送る。
せめて、スタンプだけは可愛いにゃんこで頭を下げてみた。
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