都市伝説探偵 イチ ~言霊町あやかし通り~

菱沼あゆ

文字の大きさ
51 / 94
「ふっかつのじゅもん」

スマホゲームとレトロゲーム

しおりを挟む
 

「レベル幾つのどのあたりで保存したとか伯父さん細かく書いてるんですよ。
 いきなりエンディング前とかにもいけるわけですよね」
と乃ノ子は言って、

「いきなりエンディング行って、楽しいか?」
とイチに言われる。

 寝る前、イチに報告していたのだ。

「いや、楽しくはないですが。
 ゲームに疲れて、もうエンディングだけ見たいな~ってときにはいいですよね」

「ゲーム名とエンディングで検索かけろ。
 幾らでも見られるぞ。

 ただし、なにも楽しくないし。
 達成感もないが」
とイチは言う。

 ま、それはそうかもな、と思いながら、
「イチさんもゲームとかするんですね」
と乃ノ子は言った。

「今はスマホゲームくらいかな。
 日々、コツコツやってるぞ。

 あいつが勧めてくれた奴が結構面白くて」

「あいつって誰ですか?」

「あの、朝、ゴミ出ししてたサラリーマン」

 ……に見せかけたヤクザかマフィアの人ですよね。

 ああいう人もスマホゲームとかやるのか。

 表向きの仕事と裏の仕事で忙しそうなんだが。

「コロシ待ちでーす」
とかって待ってる間にやってるとか? と思ったとき、イチがそのゲームを勧めてきた。

「俺のチームに入れてやるよ」
と言い出す。

「……誰が入ってるんですか、そのチーム」

「お前が知ってる辺りだと、俺とゴミ出しサラリーマンと下の喫茶店のマスターとジュンペイ」

 探偵とヤクザと喫茶店のマスターと芸能人。

 濃いメンツだ……。

 のちに、これに乃ノ子の母、弟、祖母、沼田さん。

 つまり、主婦、受験生、料理研究家、家政婦は見た、

 まで入ってくるのだが。

 まあ、それはさておき。

 乃ノ子は古いゲームを開ける前に、とりあえず、スマホゲームを入れてみた。



 ふむふむ。
 森を開拓して、家を建てたりとかするのね、と乃ノ子はベッドに転がったまま、ゲームをはじめていた。

 パズルとかをやって、森を開拓し、家を豪華にしたり、町を作ったりするようだ。

 小さな可愛いキツネのキャラといっしょに開拓していくのだが。

 最初はテントで寝ていた子ギツネが、やがて、小さなログハウスを建て、その中で椅子に座ってくつろいだりしはじめる。

 こちらを見て、

「ののこ、おうち、ありがとう」
とか言ってくる。

 あなたのために、なんでも致しますっ、という気持ちになった。

 これはハマるな、と思ったとき、
「乃ノ子ー、まだ起きてるの?
 もう寝なさいよ~」
と母親が言ってきた。

 トイレに行こうとして、乃ノ子の部屋からもれる灯りに気づいたらしい。

 はーい、と言って、乃ノ子は灯りを消し、布団に潜り込む。

 寝ようとして子ギツネが気になり、また開けてみた。

 子ギツネはログハウスの中を歩き回ったり、ロッキングチェアで揺られたりしていた。

 ゲームやってない間も動いてるのか、と思ってしまう。

 いや、実際には、ゲームを始めた瞬間、それっぽく動いてみせているだけなのだが。

 なんだか、自分が見ていないときも、この子ギツネが此処で暮らしている気がして。

 もっと設備を整えてやらねばと思ってしまう。

 ……なんか癒されるな、と思いながら、目を閉じた。



「へー、森を開拓するゲーム。
 なんか見たことある気がする」

 朝、紀代たちに学校でゲームの話をすると、そう言ってきたので、
「紀代たちもやる?」
と乃ノ子は訊いたが。

 風香とふたり、いやいや、と手を振ってくる。

「乃ノ子に勧められるゲームとか。
 またどんな怪現象が起こるかわからないから」

「でも、最初に勧めてきたの、私じゃなくて、イチさんだよ」
と言って、

「……ますます、なにが起こるかわからないじゃないの」
と言われてしまった。

 風香が、
「でも、なんだかんだでいいですよね、乃ノ子さん。
 この世のものかどうかよくわからないですけど、イチさんすごいイケメンじゃないですか」
と言ってくる。

「……あなた方はあれですか。
 相手がこの世のものでなくとも、あやかしとかでも、イケメンなら良いと」

 良い、とふたりは頷いてきた。

 ……そうですか、と思ったとき、教師がやってきて、風花は自分のクラスに帰っていった。




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

あまりさんののっぴきならない事情

菱沼あゆ
キャラ文芸
 強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。  充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。 「何故、こんなところに居る? 南条あまり」 「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」 「それ、俺だろ」  そーですね……。  カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。

楠ノ木雫
恋愛
 蒸発した母の借金を擦り付けられた主人公瑠奈は、お見合い代行のアルバイトを受けた。だが、そのお見合い相手、矢野湊に借金の事を見破られ3ヶ月間恋人役を務めるアルバイトを提案された。瑠奈はその報酬に飛びついたが……

処理中です...