都市伝説探偵 イチ ~言霊町あやかし通り~

菱沼あゆ

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「ふっかつのじゅもん」

お弁当屋さんから出てきました

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「そんなこんなで大変でさ。
 疲れる夢まで見ちゃったしさ」

 その日の夕方、乃ノ子はお弁当屋の前で、彩也子に昨日のことと今朝の夢を語って聞かせた。

「ちょっとよくわかんないんだけど。

 なんであんたの夢の中で、ゲームがはじまって。
 その中で見た男の人が現実に助かるのよ」

「それなんだけどさ」
と乃ノ子が言いかけたとき、お弁当屋からアニキっぽい人と子分っぽい人が弁当がたくさん入ったビニール袋をそれぞれ手に持って出てきた。

 乃ノ子を見て、アニキが言う。

「おっ、暗黒の乃ノ子じゃねえか」

 昨日、蓮川はすかわを監禁していたアニキだ。

「あんた、顔広いわね。
 ヤクザに知り合いがいるなんて」
と彩也子が言う。

 ……ヤクザとか思ってても言わないでください。

 霊体の人、最強だな。
 なにも怖くないもんな。

 まあたぶん、この人たちに彩也子の姿、見えてないけど。

 それにしても、と乃ノ子は、アニキたちの手にある弁当を見た。

 この辺りの人だったのか。

 今までもすれ違ってたんだろうけど。
 関わりのない人だったから気づかなかったな。

 子分に全部持たせない意外に気のいいアニキに向かい、乃ノ子は訊いた。

「あれ、何処だったんですか?」

 あん? とアニキがこちらを見る。

「あの廃墟、何処だったんですか?」

「蓮川を監禁してたとこか?
 お前ら、何処かも知らずに来てたのかよ。

 ああ、イチと来てたんだったな。

 じゃあ、なんでもアリだな」
と言ったあとで、アニキは教えてくれた。

「言霊町の外れにあるビルだ」
と言って、番地を教えてくれる。

「今、あの辺り全体が廃墟になってんだ」

「なんでですか?」

「再開発で買い占めたあと、買い占めた会社が傾いて、そのままになってんだよ」

 それで人がいなかったのか、と納得しながら、

「ありがとうございます」
と乃ノ子は言った。

「悪さした奴、閉じ込めとくのに便利なんだ。
 もうしばらくは誰も来そうにないからな。

 お前らも使ってもいいが、うちと同時に監禁するなよ、暗黒の乃ノ子」

 いや、特に監禁したい人はいないんですが……、と思いながらも、万が一のことを考え、提案してみた。

「階数分けたらいいんじゃないですか?
 最上階にお宅が監禁、その下にうちが監禁とか」

「……なんだその修学旅行の部屋割りみたいなお手軽感。
 恐ろしい女だ。
 さすがは暗黒の乃ノ子だな」
と言われてしまった。


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