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学校VR ~七不思議~
夜の教室
しおりを挟む「……ほんとだ。
夜の教室だ」
と言いながら、乃ノ子は前に進もうとしたが、誰かの胸にぶつかる。
「前見て歩け、乃ノ子」
と頭の上から言われた。
ぶつかったのはイチのようだった。
だと思った、と乃ノ子は思う。
ちょっとお香にも似た不思議な香りがイチからはするからだ。
ほんとうにそういう香りがイチからしているのか。
彼の魂が放っている香りなのかはよくわからなかったが。
「いやー、だって、そこにはなにもいないはずなんですよー」
「お前はよくいるゲームと現実を混同する子供か」
と言われたが、微妙に意味が違うような、と思いながら、乃ノ子は手で前を払いながら進む。
うわっ、とみんなが逃げる気配がした。
ぶつからないように、手で確かめながら歩くと、それに合わせて画面も動く。
「これっ、コントローラーも持ってないのに、私の動きと一緒に画面が動きますよっ」
そこで背後を振り向くと、髪の長い白い女の霊がビクッとした。
乃ノ子が手を振ると、半分扉に隠れたまま、その霊は、おっかなびっくり振り返してきた。
「手を振るな……」
背後で言ってくるイチに、
「イチさん、この人、男の人ですよ」
と乃ノ子は言う。
長い黒髪に白塗りの顔に赤い口紅。
だが、白い着物から覗く足はガニマタだった。
「そのようだな」
そういえば、さっき、イチさん、女の姿をした霊、と言ったな、と思い出す。
「いや~、こんな霊初めて見ましたよ。
頭に三角の白い布つけて、白い着物着てるなんて~」
そんな乃ノ子の言葉に、ええっ? と紀代が叫んだ。
「霊って全部そんなんじゃないのっ?」
「彩也子だって、白い着物じゃなくて、普通の制服着てたじゃん」
と乃ノ子が言うと、彩也子が、
「そもそも私、死んでないんだけどっ?」
と文句を言ってくる。
いや、他に紀代が見た霊いないから言っただけなんだが……。
そう乃ノ子が思ったとき、イチが言った。
「どうやら、お化け屋敷で幽霊をやっていた奴が死んで迷い込んできたみたいだな」
自分たちには違和感があったが。
紀代は初めてまともに死霊を見たので、霊ってやっぱりこんな格好なんだと思って、違和感を覚えなかったようだ。
「俺にはなにも見えなかったです」
と言う神川の声が聞こえてきた。
「まあ、霊との相性ってあるからな」
そうイチが言うと、紀代は、えっ!? と声を上げたあとで、
「私、あの白い着物の男の人と相性いいんですかっ?
あの人、B型っ?」
と訊いてくる。
いや、そういう相性ではない……、と思いながらも、乃ノ子は言った。
「ちょっと歩いてみますねー」
現実にあるものが映っていない部分もあるので、乃ノ子はそろりそろりとVRの映像に従い、歩き出す。
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