左左左右右左左  ~いらないモノ、売ります~

菱沼あゆ

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購買部の仕入れ先

過去は振り返らない男

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 涼太は意外にも、すぐに戻ってきた。

 涼太的には白い壁にお札が貼ってあるだけに見えているのであろう場所に。

 菜乃とともに会長もいるのに気づいて、涼太が声を上げる。

「あれっ?
 司さんもここにっ?」

「早かったね、涼太」
と菜乃が言うと、

「いや~、そこ出たところで、タノケンに……友だちに会ったんですよ。

 一回帰って塾行くところだったみたいで、スマホ持ってたんで。

 それ借りて、じっちゃんちに電話したんです」
と会長にも説明しながら、涼太は笑う。

 なんだ。
 涼太、おじいさんの電話番号知ってたのか……。

 だったら、わたし、小銭持ってるから、事務室前の公衆電話からかけたらよかったのに。

 菜乃がそう思ったとき、司が無言でスマホをポケットから出してみせた。

 そうか。
 会長、高校生だから持ってるよな、スマホ。

 ここ出てすぐ会長とすれ違ったのなら、そのとき、借りればよかったのに、と思ったが。

 涼太は、一瞬、会長のスマホを見て、あ~、という苦笑いをもらしたものの、すぐに、

「それでですね」
と切りかえ早く語り出す。

 涼太は、ぐずぐずと後悔したりしない男だった。

 まあ、反省もしないのだが……。

「じっちゃんにきいたら、あの枕は、ずっと愛用してた大事な枕だから。
 捨てずに、天馬山の神様にお供えしてきたって言うんですよ」

「天馬山の神様?」

「そこには、思い入れのあるモノを神様に供物くもつとしてささげる場所っていうのがあるらしくて」

「……最近では、ゴミ捨て場みたいになってるけどな」

 ヒョウが、横を向いたまま、ぼそりと低く呟く。

「ゴミ捨て場と言ったが、まあ、地元の人たちがある程度、綺麗にはしてくれている。

 あと、他人にはゴミに見えても、心がこもっているモノはわたしにもわかるから。

 捨てた人にとっては、もういらなくなったものでも。

 誰かに渡したら、いいことが起きそうなモノは、ここで次に回すようにしているんだ」

 なんと。
 このヒミツの購買部の品物は、天馬山の神社に捧げられた供物の中から選ばれたモノらしい。

「あの~、じゃあ、もしかして、ヒョウさんは天馬山の神様なんですか?」

 菜乃がそうきくと、ヒョウはむずがゆいような顔をする。

 神様とか呼ばれるのが、落ち着かないようだった。


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