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購買部の仕入れ先
付喪神
しおりを挟む「神様か。
神様なんてたくさんいるぞ。
日本には八百万の神々がいるからな」
とヒョウが語り出す。
「草でも木でも石でも。
なんにでも、日本人は感謝して、勝手に祈りはじめるからな。
そして、そうやって、人が真剣に祈ってくれば。
元がなんであろうと。
そのモノは、祈ってくれる人たちに、なにか返さなければと思って。
神様になったりするんだよ」
「そんなふんわりしたモノなんですね。
日本の神様って」
「俺なんて、鎮守の森や立派な社殿まで与えられても、すごいチカラがあるわけじゃなし。
だからまあこうして、なにかの役に立つかな、ともらった供物を他の人間に渡したりしているわけだ。
手放した人間にとっては、もういらないモノでも。
それが欲しい人はいるかもしれないだろ?
長く愛されてきたモノなんかは、付喪神にならなくても。
人に作用する、なんらかのチカラを秘めていたりするから」
「……付喪神」
菜乃が呟くと、ヒョウの言葉は聞こえないので、そこだけ聞こえたらしい涼太が言った。
「付喪神って。
長い年月を経たモノが、あやかしになるってヤツだろ?
うちのばあちゃんとか、古いモノいっぱい持ってるから。
ばあちゃんちとか、あやかしだらけかもな。
納屋には、100年前からある農機具とかあるぞ」
「農機具の付喪神か。
めちゃくちゃ働いてくれそうだね……」
「まあ、そういう供物も、どんどん捧げられると、増えてって困るから。
こうして手放してって、スッキリさせているっていうのもあるんだが」
……流行りのミニマリストだろうか。
「人間ってやつは、タダだと知ると、感謝もなく、わーっと全部持ってっちまうんで。
それも味気ないから、一銭でも払えと商売にしているんだよ」
会長が、
「そうですねえ。
タダだと欲しがるけど、一円でも払えと言ったら、いらないという人もいますしね。
渡す相手を選別するのにもいいんじゃないですかね?
ちゃんとモノを大事にしてくれる人かどうか」
と言う。
「あ、じゃあ、『恋のはじまる消しゴム』も、そのゴミ捨て場……
失礼。
供物の山の中にあったんですか?」
「そうだな。
そのような気配をあの消しゴムから読み取ったんだが。
恋が叶ったから置いていったのだろうかな?」
と首を傾げるヒョウに
「次の人にも素敵な恋がはじまりますようにって置いてったんですかね?」
と菜乃は微笑む。
だが、冷静な会長は、
「『恋のはじまる消しゴムと思って使っていたが、全然叶わなかったぞっ。
おのれっ』
と捨てていったのかもしれませんよね」
と言う。
「なんか急に、いい話じゃなくなりましたね……。
実は、恋が叶うまで、転がすことをやめられない『呪いの消しゴム』だったんでしょうか?」
今もまだ転がしているスミ子を思い出しながら、菜乃は呟く。
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