左左左右右左左  ~いらないモノ、売ります~

菱沼あゆ

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おまけ

どんな人でもご利用できます その1

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「なあなあ、旧校舎の地下に下りる階段って。
 12段しかないのに、日によっては、13段になってるって知ってた?」

 涼太はクラスメイトのヨウにそんな話をされる。

「上がるときと下りるときで違うとかじゃなくて?」
と涼太はきき返したが、

「いや、下りるとき限定」
とヨウは言う。

「じゃあ、踊り場を数え忘れたとか?」

「わかんないけど、行ってみようぜ」

 13日ではない、雨の昼休み。

 菜乃はいない。

 旧校舎のエキスパートさまがいたほうがいいよな、と涼太はキョロキョロしていたが、ヨウはもう勝手に行くものと決めて、

「タノケンー、行こうぜー」
と他の仲間を集めはじめる。

 雨の旧校舎は、雰囲気がある。

 特に行事もなく、授業ばかりで退屈な今。
 ちょっとした怪談話は、刺激になっていいからだろう。



 ヨウたちについて、廊下に出たとき、向こうから、ヨシハルがやってきた。

 菜乃が会長をつとめる生徒会の人間だ。

「ヨシハル、菜乃は?」

「今日は、生徒会、会議なんです。
 僕、別の用事で、先生に呼ばれて遅れちゃって」

 失礼しますね~、と可愛らしい顔の後輩は走っていってしまった。

 菜乃、いねえのか。

 つまんねえな、と思いながら、涼太はみんなについて旧校舎に向かった。



 旧校舎といっても、木造とかではないが。

 古いコンクリートの校舎というのも、おもむきがある。

「よし、ひとりずつ行こうぜ。
 まず、タノケン」
とヨウが階段上で仕切り、タノケンに、ええっ? と言われていた。

「言い出しっぺが行きなよ~」
と言っていたが。

「すぐあとで行ってやるよ」
とヨウに言われ、ちょっぴり気弱なタノケンは、

 い~ち、に~、と数えながら、すなおに下りる。

 まあ、一階にみんないるから、そんなに怖くはなさそうだった。

 下までついたタノケンが振り返り叫んだ。

「12だよ~」

「なんだよ。
 面白くないな」

 そう言いながらも、ヨウも、そのあとにつづいて下りた。

「……11、12。

 12か」

 ヨウは振り返り、
「おい、誰か数え間違えろよ」
と無茶を言う。

 このままでは面白くないからだろう。

 だが、ラストの涼太手前まで、誰も数え間違えなかった。

「しょうがねえなあ。
 俺が数え間違えてやるか」
と涼太は言ったが、

「宣言されてやったんじゃ、面白くねえだろ。
 もう普通に数えて上がってこい」
と誰かが言った。

 ほーい、と涼太は数えながら、下に下りていく。

「9……10

 ……11

 12……

 ……13」

 おおっ、と上からどよめきが聞こえてきた。

「14……

  15?」

「15?」

「いや、多すぎだろっ」

「でも今、涼太、まじめに数えながら下りてたよなっ」

「おいっ、みんな呼んでこようぜっ」

 どどどどっ、とみんな、旧校舎を出て行ってしまう。

 この現象を見せようと人を呼びに行ったようだった。

 涼太は地下で、ひとりになった。

 目の前にはお札の貼られた白い壁。

 暗いせいで、みんな、このお札には気づかなかったようだ。

 上の連中が戻ってくるまで、まだ時間かかることだろう。

 涼太は、お札に向かい、呼びかけてみた。

「おーい。

 購買部の人ーっ。
 俺にも、また、なにか売ってくれ~っ」


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