左左左右右左左  ~いらないモノ、売ります~

菱沼あゆ

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おまけ

どんな人でもご利用できます その2

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 すごいな、この男、なにも見えていないのに……。

 新聞を読んでいたヒョウは、あらぬ方向を見て叫び出す涼太に驚愕する。

 おお、ちょうどいいものがあった、と思い、カウンターの上にあった品を投げてやる。

 古いキセルが、カン、と床に落ちた。

「なんだこれ?」
と涼太がそれを拾う。

『吸うといいことがあると思い込むキセルだ』
と書いた紙を投げてやった。

 菜乃がいたら、
「……思い込むだけじゃ意味ないんじゃないですかね?」
と突っ込んんできていただろうが。

 涼太だけだったので、シンプルに、
「キセル吸えないから」
とキセルと紙を投げ返してきた。

「じいさんにでも、渡せよ」
とつぶやきながら、今度は折り畳んだ紙を投げてやる。

 涼太はそれを拾うと、広げて見ていた。

「……電話番号?
 かけるといいことがあるとか?」

 ヒョウは、
『かけると、妙なことに巻き込まれる電話番号だ』
と書いて投げる。

 それを拾った涼太は、へー、と言ったあとで、
「いくら?」
ときいてくる。

「3銭」
と書いて投げると、

「ねえよ。
 3銭なんて~」
とつぶやきながらも、ポケットをゴソゴソしたあとで、10円を投げてきた。

 額に当たりそうになって、慌てて逃げる。

「あ、釣りはいらねえから」
と言うやいなや、涼太は戻ってきた友人たちを迎えに、2段飛ばしで階段を上がっていってしまった。

 その軽やかな後ろ姿をながめながら、

「神様に金投げつけるなよ」
と言ってみたが。

 よく考えたら、正月などには混雑する中、遠くから賽銭を投げつけてくるやからなどたくさんいた。

「また来いよーっ」
と聞こえないとわかっていて叫んでみたが。

 涼太はちょうどいいタイミングで足を止め、聞こえているはずもないのに、

「また来るよーっ」
と言ってきた。

 ちょっと笑い、小さく手を振る。


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