クローバーをあげたくて

たみやえる

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気になる 3

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 いや、環奈はどこにも進む気はないだろう。恋愛をしている、彼氏がいるという周囲に対する優越感を楽しんでいるだけ。多分、自分と付き合っているという看板を掲げていたいだけ……と洸夜はぼんやり考えている。
 その環奈のあまりの視線の強さに、
(嫉妬してるのかな?)
と考えて、まさかとすぐに打ち消した。
相手は三年。びっくりするくらいぐいぐいくるこの感じは、低学年らしい可愛いらしさでしかないと同じ子供の洸夜にだってわかる。
 一方、洸夜がつったままなのに我慢できなくなった井出は握っていた洸夜の手をあっさり離してさっさと一人で木々の間を行ってしまった。はっと我に返った洸夜が彼女に「転ぶなよ」と声をかけ冬木が後をついてくるのを確認していると、
「あっ」
と井出が声をあげた。
 見れば井出はしゃがんで一生懸命地面をつついている。
「見てみて。すっごく大きくて太いね!」
と彼女が土まみれの両手のひらをこちらに向かってパカっとひろげた。
 小さな手の上には、黒い土をまとわりつかせくねくねうねるピンク色の紐状をした……。
「ヒッ!?」
 洸夜は反射的に後ろへ飛び下がった。
「ミミズ……きらい?」
といつの間にか井出の隣にしゃがんだ冬木が小首を傾げて洸夜を見上げてくる。
その視線をたどって……自分が無意識に股間を押さえていたのに洸夜は気がついた。顔が爆発しそうなくらい恥ずかしい。
「いや、……えぇっと」
 (まずい!)と、股間から手をどけようにも体がこわばっていうことをきかない。
そんな洸夜に井出がさっと近づいた。そしてその、目もなく耳もないヒモ状の動物を指でつまみ、ぶらぶらさせながら洸夜の鼻先に突きつける。
「!」
 ピンク色の紐状の動物……ミミズを目の前にして洸夜の脳裏に過去の記憶がブワッと映し出される。
ミミズこいつにオシッコをかけて男にとって大事な部分を腫らした幼稚園の頃の苦い思い出。
家の近くにあった公園でのちょっとしたイタズラだった。
 まさかその後三日間、謎に熱を出してウンウン寝込むことになるなんて思いもしなかった。
四十度近い高熱に喉は水を飲むだけでも痛くてつらくて苦しくて……。
 インフルエンザにかかった時でもあれだけ根源的な恐怖を感じたことはない。
正直トラウマだ。
 ミミズを見たら反射的にアソコの心配をしてしまうくらいに。
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