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キス 1
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その日の夜。
洸夜は風呂上がりの濡れ髪を首に巻いたタオルでわしゃわしゃ拭きながら、仲のいい男子数人と一緒にこれから二日間寝泊まりする自然の家宿舎内の廊下を歩いているところだった。
「三年も何人か風呂にいたよなー」
と同級生の一人が言ったのは大浴場でのこと。
「あぁ。三年も五年も何人かずつ交代で風呂に入ることになってるから」
「まさか風呂でまで面倒見なきゃいけないかと思って身構えちゃったよ~」
「はは、風呂くらい下級生と離れてないとなー」
風呂に入って体だけでなく口もほぐれたのか、その場のみんなしてそんな愚痴を口々に言い合う中、洸夜だけ何か考えこんている。
「一日中、転ばないか、変なところに行かないか、ずぅっと見てなくちゃなんだもんな」
「可愛いけど、肩が凝ったよ」
と言ったのは隣のクラスの高藤だ。
「新堂、お前あんなの二人も見てんだろ。やっぱお前すごいよな」
と高藤が洸夜の肩を叩いて話しかけてきても、洸夜は反応しなかった。
(一人で風呂に入ってた……あいつ、友達いないのか)
仲良く何人かで体を洗い風呂に浸かる三年生がいる中、冬木は誰ともしゃべる様子も無く、話しかけられることもなくずっとひとりで黙々と体を洗っていた。
痩せで、表情に乏しくて愛想もなくて……ほんっとに可愛くないヤツ……。
やっぱり、例のボヤ騒ぎの犯人だって噂のせいでハブられてるのか?
と、考えに耽っていた洸夜は、
「お、おい」
と腕を揺すぶられてようやく我に返った。
同級生が指差すその先に
「新堂君……」
と廊下の暗がりから現れたのは蜷川環奈だった。
洸夜と環奈が付き合っていることは隠していない。
さっきまでの男子同士の軽いノリがかき消えてしまってみんなが環奈と自分を交互にチラチラ見てくる。同級生の冷やかしてくる感じがうっとおしい。
環奈も風呂上がりなのだろう、濡れ髪で肩にタオルをかけている。
タオル地のキュロットスカートからスラリと伸びた環奈自慢の小麦色の脚に同級生の視線が吸い付く。
恥ずかしそうに脚を組み替えた環奈が、
「ちょっと、いいかな」
とはにかみながら掬い上げるような眼差しを投げてきた。
高藤たち同級生は、洸夜が返事するよりも先に「どうぞ、どうぞ」ニヤニヤ笑いで勝手に返事をし、二人を残して先に行ってしまった。
そんな同級生たちの態度に洸夜はちょっとイラッとした。
と同時に環奈に対しても、
(なんでこんなところで待ち伏せなんかするんだ?)
という不満が心の中でむくむくと膨らんでくる。
洸夜は風呂上がりの濡れ髪を首に巻いたタオルでわしゃわしゃ拭きながら、仲のいい男子数人と一緒にこれから二日間寝泊まりする自然の家宿舎内の廊下を歩いているところだった。
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と同級生の一人が言ったのは大浴場でのこと。
「あぁ。三年も五年も何人かずつ交代で風呂に入ることになってるから」
「まさか風呂でまで面倒見なきゃいけないかと思って身構えちゃったよ~」
「はは、風呂くらい下級生と離れてないとなー」
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「一日中、転ばないか、変なところに行かないか、ずぅっと見てなくちゃなんだもんな」
「可愛いけど、肩が凝ったよ」
と言ったのは隣のクラスの高藤だ。
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と高藤が洸夜の肩を叩いて話しかけてきても、洸夜は反応しなかった。
(一人で風呂に入ってた……あいつ、友達いないのか)
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痩せで、表情に乏しくて愛想もなくて……ほんっとに可愛くないヤツ……。
やっぱり、例のボヤ騒ぎの犯人だって噂のせいでハブられてるのか?
と、考えに耽っていた洸夜は、
「お、おい」
と腕を揺すぶられてようやく我に返った。
同級生が指差すその先に
「新堂君……」
と廊下の暗がりから現れたのは蜷川環奈だった。
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「ちょっと、いいかな」
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