クローバーをあげたくて

たみやえる

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キス 2

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 そんなわけでしばらく黙ったままでいると、環奈が、
「新堂君。私たち、付き合ってるんだよね?」
と言ってきた。
「え? ……あぁ。うん」
「じゃあ、さ」
と、そこでなぜか環奈が目を伏せた。
 両親が医者の環奈は、顔も成績も良い上に、良くも悪くもキッパリはっきりガツンと言ってくるタイプの強気女子だ。そんな彼女が言い淀むなんて……。
(珍しいな)
と、洸夜は眉をひそめた。
 もしかして、どうしても今言わなきゃいけない大事な何かがあって環奈はわざわざきてくれたのかもしれない。
 イラついていた自分を洸夜は少しだけ反省した。
 一体、何があったんだろう?
「……えっと、その」
 モジモジと口の中、小声で言うから聞き取りづらくて洸夜は環奈に一歩近づいた。
「何?」
 向かい合って立つ、二人の間の空間は十センチほど。
 はたから見ればきゃっと赤らむ距離の近さなのだが、洸夜はそれを意識していない。
「……」
 それほど近い距離でも聞こえない環奈のささやきに、
「何?」
と、洸夜が顔を寄せる。
 その瞬間……。
 小さなリップ音が響いた。
「……ッ!」
 パッと音がしそうな勢いで後ろに下がった洸夜を、環奈がいたずらっぽく唇をすぼめて見上げる。
「へへっ、ファーストキッス」
 くすくす機嫌良い笑い声をあげた環奈に、
「……バカじゃないの」
と、洸夜は首にかけたタオルで顔をおおった。



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