クローバーをあげたくて

たみやえる

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自然教室三日目 3

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「まさか消したはずの火がちゃんと消えてなくて、また燃えるなんて思ってもいなかったんだ」
 ……そう。
 冬木が犯人と噂されている、一ヶ月前、河川敷で起きたボヤ騒ぎ。
 その本当の犯人は洸夜だったのだ。
人気のない河川敷。周りに生い茂る雑草を踏み締めかき分けるガサガサいう音に用意していたペットボトルの水をかけ広げていた荷物をかき集めて逃げようとした洸夜は一度だけ振り返った。
 その時目が合ったのだ。
 草をかき分けやってきた冬木と……。
「こ、こうや君は……練習してたんでしょ?」
「なんのだよ」
「飯盒炊飯の練習」
 今度は洸夜の方がピクリと口元をこわばらせた。
「ばーっか。んなわけないだろ。オレはなんでも出来る男なの。できて当たり前なの。大体一人で、河川敷で焚き火ぃ焚いてご飯を炊く練習とかするか? 火事になるって常識でわかるって。そんなこと……そんなバカなこと……」
 激しくかぶりを振った洸夜はキッと冬木を睨みつけた。
「さっきも俺のこと、見てただろ」
と言われて冬木は、
「な、なんのこと」
と小声で聞き返す。
「なかなか火をつけられないでいたオレのこと、心の中では笑ってたんだろ」
「そんな……」
 冬木が目を見開いて洸夜を見返した時、
「二人とも何してるの?」
と、近づいてきたのは蜷川環奈だった。
「もうみんなカレー作り始めてるよ。水、持ってかないと」
と言った環奈の言葉に冬木はあたりを見回して、そういえばあれだけ周りにいた生徒の姿がないと気がついた。
「洸夜君の班の人、困ってるみたいだったよ。気になったから見にきたんだけど」
環奈は洸夜たちを探しにきてくれたのか。しかし続けて、
「……火事ってなんのこと?」
といった環奈の声は固かった。それに対して、
「黙れ、蜷川」
と、放たれた拒絶の鋭さに……環奈の足が止まった。



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