クローバーをあげたくて

たみやえる

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自然教室三日目 2

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 誰がどう見ても荒れている。
 それまで穏やかで優しかった洸夜の態度の変わりように、冬木を除いた三年生三人はビクッとして顔を見合わせた。そして五年の二人も、
「し……新堂君っ、私、枝のほうを持ってよっか」
「俺がマッチ擦ってやるよ」
と口々に言い、慌てた様子で洸夜の代わりにかまどの火の準備を始める。
 そんなみんなの様子をしばらく立ち尽くして見ていた洸夜だったが、急に「水を汲んでくる」と、バケツを手に水道のある洗い場の方へスタスタ歩いて行ってしまった。
 それを見た冬木がもう一つ転がっていたバケツを手に洸夜を追いかける。
「ついてくんな」
「だって、バケツの水一個じゃ足りない、から」
「お前、バカにしてんだろ」
「へ……」
「な、なんで?」
「ふたつも歳下の下級生にかばってもらうとか、まじダサい」
 洗い場に着いて荒々しく水道の蛇口をひねった洸夜を見て冬木は息をのんだ。
洸夜の目に今にもこぼれ落ちそうな涙の膜が張っていたから。
「あ、あの……っ」
「お前、いっつも見て欲しくない時にいるよね。何それ、特異体質?」
 目を伏せる洸夜がいまいましげな声を出す。
冬木は、洸夜の長いまつ毛の間からキラキラとこぼれ落ちた水玉を、見ないふりした。
 チラッと周りを見わたすと、みんな自分達のことに夢中でこちらの様子には気づいていないようだ。
蛇口から出る水のドバドバいう音にバケツを見ればあっという間に溜まった水があふれて水場のアスファルトをびちゃびちゃ濡らしているところだった。
 慌てて蛇口に飛びついて水を止めた冬木を洸夜が冷たい目で見る。
 洸夜は冬木の手からバケツをひったくってそれにも水を入れる。両手に水が入ったバケツを持とうとするから冬木は洸夜の手からバケツを奪い取る。
飯盒炊飯をする場所に戻る途中で、
「なんでお前あそこに現れたの」
と、洸夜が冬木に聞いた。
 周りに人が行き交っているのに、〈そのこと〉を話題にする洸夜に冬木の顔はひきつったようになる。
「そ、それはっ」
「お前が急に出てくるからオレ、びっくりして適当に火を消して帰ったんじゃん」
「……」



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