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3.素敵な彼女と劣等感
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九弥の舞台の公演最終日。私は劇場裏口に立ち、九弥が出てくるのを腕時計と睨めっこしながら待っていた。
約束の時間から十分過ぎたというのに九弥は現れない。人気のない裏口の扉を開け忍足で劇場内に入ったのは、私との約束を忘れてるんじゃ……と心配になったからだった。
もしかしたら演者同士で飲みにいく話になったのかも。舞台は概ね好評だったし、ようやくもらった役を無事演じ切ったんだもん。その喜びを役者仲間と分かち合いたくなったのかもしれない。その心情は……、察することができるから、そうなったとしても怒る気も、邪魔する気もなかった。私との約束を忘れているなら(許せないけど)そのままそっと帰るつもりだった。
ただ、勝手のわからない劇場内、私はすっかり迷子になっていた。
あまり挙動不審だと、ここにいることを誰かに咎められてしまいそう……と思えば思うほど、右へ行けばいいのか左に曲がればいいのか戻る方向はどちらなのか、わからなくなる。
(九弥がいるのは楽屋? でも、端役の役者に楽屋なんてある?)
ソワソワしながら歩いていると、前を横切ったドアの隙間から、
「え! 本当に僕の……子……うわ、ありがとう!」
と、切れ切れだけど、九弥の声が聞こえてきた。
(ぼ……僕の子?!)
私は、聞いてしまったフレーズにショックを受けて、その場に立ち尽くした。
九弥の洗濯物についていた口紅の赤い色が目の前にズンと迫ってくる錯覚に、強い目眩を覚える。視界がチカチカと揺れてふらついた私は、薄く開いていたそのドアに、ドン! と手をついてしまった。あっと体を引いた時はもう遅かった。
「あれ、誰かいる?」と、部屋の中から顔を出したのはやっぱり……。
「九弥」
「桜智さん!」
と、彼が目を見開く。その後ろから、
「お知り合いですか」
と、ひょっこり顔をのぞかせたのが、ついさっきまで舞台でヒロインを演じていた美少女だったので、私はその場で固まった。
遠目から見ても綺麗な子だったけど、近くで見ると化粧を落とした肌は内側から弾けるように輝いているし、髪の毛は絹糸みたいにツヤツヤで、もはや女としてというより生物として太刀打ちできない気持ちになる。ぽけっと突っ立つ私に九弥が、
「彼女は今回の舞台でヒロインを演じていた生島百合さん」
と、彼女を紹介する。百合は私にニコッと会釈した。
「はじめまして」
――嘘でしょ。この子十代だよね? ねぇ、妊娠させちゃったの? 犯罪だよ? 大変なことだよ、九弥くん……。
私が挨拶し返すのを忘れて呆然としていると、百合の後ろに小さな影が現れた。
気になってじっと見ていると、百合の腰あたりから、小さな顔がヒョイと現れた。
「わぁ!」
驚いて尻餅をつくと、マシュマロみたいにふっくらとした頬がたまらなく愛らしい女の子が私を見下ろしている。
小さな女の子だ。多分、幼稚園に入るか入らないかくらいの……。
「ハハハ」
と、テーブルを挟んだ私の向かい側で笑い声が弾けた。ものすごく楽しそう。こっちは緊張で手汗が半端ないっていうのに。
「さすがスター。よく通る声ね。でも、よそのテーブルに迷惑じゃないかしら」
と、耳打ちすると、九弥が苦笑した。
「僕だってびっくりしたよ。生垣さんに食事に誘われた時は」
あのあと私たちは、百合と女の子、そして舞台の演出をした生垣慎介と共に、駅の裏通りにある小洒落たレストランに来ていた。
生垣慎介といえば、私の年代の女子にとっては超がつく大スターだ。彼の出演する恋愛ドラマや映画で何回泣かされたことか。確かもう五十代のはずなのに、面と向かって見るとまだ三十代後半と言ってもおかしくない若々しさだ。今回の舞台が彼の演出だったなんて。こんなすごい人の舞台に出ていたなんて凄い……と、あらためて九弥を見直した。つけあがるだろうから言わないけど。
そんなスターの膝の上で、食後のパフェを頬張る女の子は桜ちゃんと言うそうだ。
それにしてもよく懐いてる。桜ちゃんが時々生垣さんを見上げ、目が合っては二人してにっこりするのがほほえましい。眼福ってこういうことなんだろうな。
「仲が良いんですね」
と言うと、生垣さんがふわりと口元を綻ばせた。
「親戚の子でね。両親が仕事で海外にいるから、独り者の僕が預かることになったんだよ」
板垣さんがジャケットの内ポケットから取り出した高価そうなハンカチで、桜ちゃんのクリームだらけの口周りを拭う。
私は思わずため息をついてしまった。だって、あのハンカチ、ブランドもの! よほど桜ちゃんのことが可愛いのね。普通、お店のナフキンを使うはずなのに。
まぁ、確かに可愛がるのも当然だ。桜ちゃん、成長すれば生垣さんの隣に座る百合のような美少女になること間違いなしの愛らしさだもの。
私が、桜ちゃんの可愛さにほっこりしながら、
「何歳ですか」
と聞くと、
「三歳です」
と、百合が答えた。
思わず(なんで?)と彼女を見つめてしまった。生垣さんに質問したつもりだったから。そして気づいてしまった。
――彼女の口紅の色、九弥の服についていたのと同じだ。
私は、自分の声が震えていないか気にしながら、
「百合さんは、おいくつですか」
と、彼女に聞く。
「私? 私は十八歳です」
百合が、戸惑いの表情で答える。自分の歳を聞かれるとは思っていなかったのだろう。私は「ウワー!」と叫びそうになったのを堪えた。やっぱり十代じゃない!
こんな可愛くて綺麗で将来有望な子を妊娠させるなんて、九弥ったら……。
大きな漬物石を抱えたみたいに、ずしんと心が重くなる。当の九弥はそんな私の苦悩を知らないでヘラヘラしている。
「桜ちゃん、稽古によく来ていてね。僕が一緒に遊んであげていたんだ。それで気に入られて、稽古が終わっても離してくれなくてさ」
「桜……桜ちゃんてば、私の口紅をつけたり衣装を触りたがるから面倒見てくれて助かりました。ただ、慣れて呼び捨てにするようになってしまって。九弥さんでしょって注意したんです。そしたらつられて私も、松田さんより、九弥さんって呼ぶようになってしまって」
百合が九弥を名前で呼ぶのもあの口紅も、理由があったんだ……と、私は一応納得した。でも、でもね? いい大人が十代の女の子を妊娠させるのは間違ってる! 私って恋人がいるのに!
いっそ身も蓋もなく暴れてやろうかしら、と一瞬自暴自棄になりかける。けれど生垣さんと桜ちゃんの顔を見たら(そんなことできない……)と、私はテーブルの下で拳を握りしめた。
「……へぇ、それでいつも帰りが遅かったのね」
「ごめんなさい。九弥さんをお借りしてしまって。きっと、帰りが待ち遠しかったですよね」
と、百合が頭を下げる。生垣さんも一緒にペコリと。それから桜ちゃんも。
私は再度、(なんで?)という疑問に襲われた。
だってそのセリフ、生垣さんが言うやつだよね?
食事を終えて店を出る。生垣さんたちにお礼を言って九弥と二人家路につく。
さっきまで裏切られたと煮えたぎっていた私の怒りは、言いようのない悲しみに変わっていた。
情けないけど、それでも私は九弥が好きだった。そして、百合の若さと美しさに、完全に負けを認めていた。
約束の時間から十分過ぎたというのに九弥は現れない。人気のない裏口の扉を開け忍足で劇場内に入ったのは、私との約束を忘れてるんじゃ……と心配になったからだった。
もしかしたら演者同士で飲みにいく話になったのかも。舞台は概ね好評だったし、ようやくもらった役を無事演じ切ったんだもん。その喜びを役者仲間と分かち合いたくなったのかもしれない。その心情は……、察することができるから、そうなったとしても怒る気も、邪魔する気もなかった。私との約束を忘れているなら(許せないけど)そのままそっと帰るつもりだった。
ただ、勝手のわからない劇場内、私はすっかり迷子になっていた。
あまり挙動不審だと、ここにいることを誰かに咎められてしまいそう……と思えば思うほど、右へ行けばいいのか左に曲がればいいのか戻る方向はどちらなのか、わからなくなる。
(九弥がいるのは楽屋? でも、端役の役者に楽屋なんてある?)
ソワソワしながら歩いていると、前を横切ったドアの隙間から、
「え! 本当に僕の……子……うわ、ありがとう!」
と、切れ切れだけど、九弥の声が聞こえてきた。
(ぼ……僕の子?!)
私は、聞いてしまったフレーズにショックを受けて、その場に立ち尽くした。
九弥の洗濯物についていた口紅の赤い色が目の前にズンと迫ってくる錯覚に、強い目眩を覚える。視界がチカチカと揺れてふらついた私は、薄く開いていたそのドアに、ドン! と手をついてしまった。あっと体を引いた時はもう遅かった。
「あれ、誰かいる?」と、部屋の中から顔を出したのはやっぱり……。
「九弥」
「桜智さん!」
と、彼が目を見開く。その後ろから、
「お知り合いですか」
と、ひょっこり顔をのぞかせたのが、ついさっきまで舞台でヒロインを演じていた美少女だったので、私はその場で固まった。
遠目から見ても綺麗な子だったけど、近くで見ると化粧を落とした肌は内側から弾けるように輝いているし、髪の毛は絹糸みたいにツヤツヤで、もはや女としてというより生物として太刀打ちできない気持ちになる。ぽけっと突っ立つ私に九弥が、
「彼女は今回の舞台でヒロインを演じていた生島百合さん」
と、彼女を紹介する。百合は私にニコッと会釈した。
「はじめまして」
――嘘でしょ。この子十代だよね? ねぇ、妊娠させちゃったの? 犯罪だよ? 大変なことだよ、九弥くん……。
私が挨拶し返すのを忘れて呆然としていると、百合の後ろに小さな影が現れた。
気になってじっと見ていると、百合の腰あたりから、小さな顔がヒョイと現れた。
「わぁ!」
驚いて尻餅をつくと、マシュマロみたいにふっくらとした頬がたまらなく愛らしい女の子が私を見下ろしている。
小さな女の子だ。多分、幼稚園に入るか入らないかくらいの……。
「ハハハ」
と、テーブルを挟んだ私の向かい側で笑い声が弾けた。ものすごく楽しそう。こっちは緊張で手汗が半端ないっていうのに。
「さすがスター。よく通る声ね。でも、よそのテーブルに迷惑じゃないかしら」
と、耳打ちすると、九弥が苦笑した。
「僕だってびっくりしたよ。生垣さんに食事に誘われた時は」
あのあと私たちは、百合と女の子、そして舞台の演出をした生垣慎介と共に、駅の裏通りにある小洒落たレストランに来ていた。
生垣慎介といえば、私の年代の女子にとっては超がつく大スターだ。彼の出演する恋愛ドラマや映画で何回泣かされたことか。確かもう五十代のはずなのに、面と向かって見るとまだ三十代後半と言ってもおかしくない若々しさだ。今回の舞台が彼の演出だったなんて。こんなすごい人の舞台に出ていたなんて凄い……と、あらためて九弥を見直した。つけあがるだろうから言わないけど。
そんなスターの膝の上で、食後のパフェを頬張る女の子は桜ちゃんと言うそうだ。
それにしてもよく懐いてる。桜ちゃんが時々生垣さんを見上げ、目が合っては二人してにっこりするのがほほえましい。眼福ってこういうことなんだろうな。
「仲が良いんですね」
と言うと、生垣さんがふわりと口元を綻ばせた。
「親戚の子でね。両親が仕事で海外にいるから、独り者の僕が預かることになったんだよ」
板垣さんがジャケットの内ポケットから取り出した高価そうなハンカチで、桜ちゃんのクリームだらけの口周りを拭う。
私は思わずため息をついてしまった。だって、あのハンカチ、ブランドもの! よほど桜ちゃんのことが可愛いのね。普通、お店のナフキンを使うはずなのに。
まぁ、確かに可愛がるのも当然だ。桜ちゃん、成長すれば生垣さんの隣に座る百合のような美少女になること間違いなしの愛らしさだもの。
私が、桜ちゃんの可愛さにほっこりしながら、
「何歳ですか」
と聞くと、
「三歳です」
と、百合が答えた。
思わず(なんで?)と彼女を見つめてしまった。生垣さんに質問したつもりだったから。そして気づいてしまった。
――彼女の口紅の色、九弥の服についていたのと同じだ。
私は、自分の声が震えていないか気にしながら、
「百合さんは、おいくつですか」
と、彼女に聞く。
「私? 私は十八歳です」
百合が、戸惑いの表情で答える。自分の歳を聞かれるとは思っていなかったのだろう。私は「ウワー!」と叫びそうになったのを堪えた。やっぱり十代じゃない!
こんな可愛くて綺麗で将来有望な子を妊娠させるなんて、九弥ったら……。
大きな漬物石を抱えたみたいに、ずしんと心が重くなる。当の九弥はそんな私の苦悩を知らないでヘラヘラしている。
「桜ちゃん、稽古によく来ていてね。僕が一緒に遊んであげていたんだ。それで気に入られて、稽古が終わっても離してくれなくてさ」
「桜……桜ちゃんてば、私の口紅をつけたり衣装を触りたがるから面倒見てくれて助かりました。ただ、慣れて呼び捨てにするようになってしまって。九弥さんでしょって注意したんです。そしたらつられて私も、松田さんより、九弥さんって呼ぶようになってしまって」
百合が九弥を名前で呼ぶのもあの口紅も、理由があったんだ……と、私は一応納得した。でも、でもね? いい大人が十代の女の子を妊娠させるのは間違ってる! 私って恋人がいるのに!
いっそ身も蓋もなく暴れてやろうかしら、と一瞬自暴自棄になりかける。けれど生垣さんと桜ちゃんの顔を見たら(そんなことできない……)と、私はテーブルの下で拳を握りしめた。
「……へぇ、それでいつも帰りが遅かったのね」
「ごめんなさい。九弥さんをお借りしてしまって。きっと、帰りが待ち遠しかったですよね」
と、百合が頭を下げる。生垣さんも一緒にペコリと。それから桜ちゃんも。
私は再度、(なんで?)という疑問に襲われた。
だってそのセリフ、生垣さんが言うやつだよね?
食事を終えて店を出る。生垣さんたちにお礼を言って九弥と二人家路につく。
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