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「実は、志信くんの関係者の方から依頼を受けまして」
「え。あなた、ウチの社員でしょう?」
下着しか身につけていないことも忘れて驚いてしまった。
「あー、副業です」
軽い口調で言われて、なんと返してよいかわからなくて、いよ子は目をパチパチさせた。
まぁ、確かにウチは副業を禁止してはいない。
恋人を別れさせる副業ってなんなのだろう。別れさせ屋、なんて仕事があるのかあって成立するのかよくわからなかった。あるとしたら探偵か。副業が探偵なんて社員、小説や二時間ドラマの中でしか存在し得ないと思うのだが……。
「あーっ、いよ子さん帰ってるじゃん。って何? コイツ」
寝室からふらりと出てきた志信がリビングで向かい合うふたりに、途中から声を荒らげた。いよ子を背後に隠して黒い男を睨みつける。
「篠原サンからのご依頼です。すみやかに彼女の元へお戻りください。承諾いただけない場合は強硬手段に切り替えることになります」
「かなえとはもぅ終わってるんだけどなー」
ガシガシと頭を掻きむしりながら、志信が不機嫌そうに唸り声をあげた。
志信のマネージャーの名は、篠原かなえ、というのだった。
「とにかく、かなえの所には帰らない。オジサン、勝手に入るなよ。出て行け」
「お分かりいけませんか。個展は一ヶ月後でしたね。アトリエにも姿をお見せにならないので、スタッフの皆さんも困っていらっしゃるそうですよ?」
「個展は……今まで書き溜めてきたやつがあるだろーが」
「クライアントには新作を出すと契約してあるとか」
「古くても新しくても、俺の作品だ。足りないならスタッフの何人かに描かせてここへ持ってこいよ。サインだけはしてやるよ。金になればいーんだろ」
「呆れました。なんと投げやりな。あなたは美の探求者ではなかったのですか。あなたの作品はあなたの手を経なければ生ませてもらえないのですよ?」
突然志信が背後にいたいよ子を自分の体の前に抱き直し、ブラの肩紐をつるん、と外した。いよ子は慌てて胸をかかえるようにして落ちかけたブラを押さえる。だがそのブラを剥ぎ取ってポイと背後に放り投げた志信の骨張った指が見せつけるようにいよ子の胸と腰をはい回る。
「……、オジサン、これから俺たちイイコトすんの。別に見られてもいいけどさぁ。気が散るから出てってくれない? 警察呼ぶよ? 不法侵入で訴えるぜ?」
「え。あなた、ウチの社員でしょう?」
下着しか身につけていないことも忘れて驚いてしまった。
「あー、副業です」
軽い口調で言われて、なんと返してよいかわからなくて、いよ子は目をパチパチさせた。
まぁ、確かにウチは副業を禁止してはいない。
恋人を別れさせる副業ってなんなのだろう。別れさせ屋、なんて仕事があるのかあって成立するのかよくわからなかった。あるとしたら探偵か。副業が探偵なんて社員、小説や二時間ドラマの中でしか存在し得ないと思うのだが……。
「あーっ、いよ子さん帰ってるじゃん。って何? コイツ」
寝室からふらりと出てきた志信がリビングで向かい合うふたりに、途中から声を荒らげた。いよ子を背後に隠して黒い男を睨みつける。
「篠原サンからのご依頼です。すみやかに彼女の元へお戻りください。承諾いただけない場合は強硬手段に切り替えることになります」
「かなえとはもぅ終わってるんだけどなー」
ガシガシと頭を掻きむしりながら、志信が不機嫌そうに唸り声をあげた。
志信のマネージャーの名は、篠原かなえ、というのだった。
「とにかく、かなえの所には帰らない。オジサン、勝手に入るなよ。出て行け」
「お分かりいけませんか。個展は一ヶ月後でしたね。アトリエにも姿をお見せにならないので、スタッフの皆さんも困っていらっしゃるそうですよ?」
「個展は……今まで書き溜めてきたやつがあるだろーが」
「クライアントには新作を出すと契約してあるとか」
「古くても新しくても、俺の作品だ。足りないならスタッフの何人かに描かせてここへ持ってこいよ。サインだけはしてやるよ。金になればいーんだろ」
「呆れました。なんと投げやりな。あなたは美の探求者ではなかったのですか。あなたの作品はあなたの手を経なければ生ませてもらえないのですよ?」
突然志信が背後にいたいよ子を自分の体の前に抱き直し、ブラの肩紐をつるん、と外した。いよ子は慌てて胸をかかえるようにして落ちかけたブラを押さえる。だがそのブラを剥ぎ取ってポイと背後に放り投げた志信の骨張った指が見せつけるようにいよ子の胸と腰をはい回る。
「……、オジサン、これから俺たちイイコトすんの。別に見られてもいいけどさぁ。気が散るから出てってくれない? 警察呼ぶよ? 不法侵入で訴えるぜ?」
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