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「私は職務に忠実でない人を軽蔑します。予想はしていました。志信さんとでは無理だとわかっていたので、いよ子さんとお話しさせていただきたかったのですが」
残念です。
という声を残して、男の姿は掻き消えた。
それを見て手を取り合ってぶるぶる震えたくせに、夜やることだけはちゃんとやる二人だったのだが……。
世界で注目されているモダンアート気鋭の画家と鳴り物入りで開催された上海での個展の結果は散々だった。本人が現地に赴かなかったのと、話題にしていた新作が一枚もなかったことが主な原因といわれた。
そうすると、個展を開くためにつぎ込まれた費用が、志信の肩にのしかかってくる。絵を売った利益でなんとでもなるはずが、持ち出しの方が多くなってしまったからだ。
しかも、当の志信本人は恋人のマンションからまるで出てこない。
そういうことが、何度か繰り返されて。
志信のことをちやほや取り巻いていた人間が去ってゆくのはあっという間だった。
ーーー
ーーーーー
ーーーーーーー
「志信は、なーんにも気にしなくって良いのよ。私が全部お世話してあげるんだから」
ベッドの横に腰掛けたいよ子が微笑む。
「……ん」
横たわる志信から、以前あったギラギラと輝くような精気が失われているのを他に見ている者がいれば指摘したかもしれない。
しかし、もう信夫のことを気にかけて顔を見ようといよ子の部屋を訪れる人間はいなかった。いよ子もそんな来訪者がいたとしても毛頭合わせる気などない。
「うふふ。可愛い……私だけの志信。若さも、才能も、あなたにとってはいらないものね」
「……ん」
「ぜーんぶ私が貰ってあげる。あなたは私のカゴの中でずぅっとまどろんでいてくれたらいいんだから、ね?」
残念です。
という声を残して、男の姿は掻き消えた。
それを見て手を取り合ってぶるぶる震えたくせに、夜やることだけはちゃんとやる二人だったのだが……。
世界で注目されているモダンアート気鋭の画家と鳴り物入りで開催された上海での個展の結果は散々だった。本人が現地に赴かなかったのと、話題にしていた新作が一枚もなかったことが主な原因といわれた。
そうすると、個展を開くためにつぎ込まれた費用が、志信の肩にのしかかってくる。絵を売った利益でなんとでもなるはずが、持ち出しの方が多くなってしまったからだ。
しかも、当の志信本人は恋人のマンションからまるで出てこない。
そういうことが、何度か繰り返されて。
志信のことをちやほや取り巻いていた人間が去ってゆくのはあっという間だった。
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「志信は、なーんにも気にしなくって良いのよ。私が全部お世話してあげるんだから」
ベッドの横に腰掛けたいよ子が微笑む。
「……ん」
横たわる志信から、以前あったギラギラと輝くような精気が失われているのを他に見ている者がいれば指摘したかもしれない。
しかし、もう信夫のことを気にかけて顔を見ようといよ子の部屋を訪れる人間はいなかった。いよ子もそんな来訪者がいたとしても毛頭合わせる気などない。
「うふふ。可愛い……私だけの志信。若さも、才能も、あなたにとってはいらないものね」
「……ん」
「ぜーんぶ私が貰ってあげる。あなたは私のカゴの中でずぅっとまどろんでいてくれたらいいんだから、ね?」
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