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大学教授と花屋のバイト 2
しおりを挟む……って、今回は俺とレン(俺は恋人をそう呼ぶのだ)との馴れ初めを語りたいわけじゃなかったんだった。
俺みたいに〈視える〉人間はいないだろうと言うのが単なる思い込みだったかもしれないと考えさせられることがあったんだ。
大学に入れている花とか観葉植物のメンテに行った時のことだ。
その人間に遭遇したのは。
え? 言い方がおかしいって?
人間……じゃダメなら生物って言おうか。
とにかく構内を行くどの女子学生よりずっと綺麗ででも逞しい……、って我ながら語彙力ねー。
結果から言うと。つまりすんげぇ綺麗な男だった。
つい見惚れてしまったのは俺だけじゃなく周りを行き交う学生たち(男女問わず)だったので、そいつの美しさは半端ない。
「先輩」なんて声かけられて挨拶されてた。スーツを着ているから(卒業生なのかな)と勝手に判断する。
見た感じ歳はまだ二十代。就職してるなら俺と同じでまだペーペーなはずのそいつが何故平日昼間の大学構内を闊歩しているのか。そんな疑問は思いつく前に吹っ飛んでいた。
またもや視えちゃったわけ。
そいつが今考えていることが。
うーん……、卒倒しそうになったよ。
エロいこと、つい思い浮かべちゃうのは男の性かもしんないけどさっ。
流石に緑眩しい五月の大学校内を歩きながらメチャ本番致してるとことか想像するか?
……しかも自分よりガタイのいい男にオモチャみたいに扱われてよがり泣いている場面……。
俺の恋人も男だから、そいつのナニする相手が男だからって差別や軽蔑しようっていうんじゃない。
だけどさぁっ。
昼日中、母校の構内歩きながらよ?
想像するか?
絶賛致し継続中……。
(えっ、そんなことまでぇ? いや、いやいやいやいや……恥ずかしいって)
と俺は独り焦りまくった。
ちなみに、目をつむっても視えてしまうので気のそらしようがない。強烈すぎるそいつの想像に俺は赤くなったり青くなったり……。
こっちは(そんなの、ちょっと……)と躊躇い恥じらう気持ちで満タンだってのに、好奇心が強い俺の分身はしっかり反応してしまう。おまけに近くにいた女子大生に俺がズボンの前を元気に膨らませているのに気づかれてさ、明らかに汚物を見る目つきで睨まれてしまった。
……か弱い自尊心がズタボロだぜ……。
若干前かがみの情けない格好にならざるを得ない俺は、近くにあった金木犀の木に隠れながら(残念ながら金木犀の幹は太くないから俺の不審者ぶりはまるみえだった)目の前をスイスイと歩き去ってゆく美しい背中を恨めしく見送った。
(アイツ……、超絶綺麗な顔していながら、実は全然もてないダサ男で捌け口がなくて欲求不満が募っているゲイ……なのか?)
だとしたら少しだけ同情、かな……。
なんとなく雰囲気が俺の恋人に似ていたしな……。
なーんて考えながら下半身の高ぶりがおさまるのを待っていたら、「ぶっ!」と声がして、直後俺は無惨にもイチゴミルクの飛沫を頭からかぶることになる。
「おい!」
声を荒げた俺はこの信じられない粗相をした相手の顔を見て、二度目の驚きを味わった。
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