歳上同居人のちょっとした憂鬱

たみやえる

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② 大学教授と花屋のバイト 1

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俺、花咲斗真(はなさきとうま)には超能力がある。


超能力とはいっても、ものすごーくささやかななもので。


他人の想像してることがみえる。
考えてること……が視える。

視える、だけ。


あ、視えるっつっても誰の頭ん中でも好きなように視れるってわけじゃあないよ?


大体、視えたからってさぁ、別になんの役にもたたないっていうか邪魔なくらいなんだけど。


まぁ、花の注文主のイメージをこっそりオヤジ(俺の雇用主、フラワーアレンジメントをやってる中年おっさん)に伝えることができるのはいいことだけど。


俺、たかが花屋のバイトだもん。


金に直結する利点と言ったらそれくらいしか無いじゃん?


ただなぁ。


視えるのが、花の好みとか注文のアレンジや生花に対して、伝えきれないこうして欲しいとかならいいんだけど、そうじゃない、生々しい欲とかドロドロっとした想像をしているのだったりすると……ゲンナリする。


視たくなくても視えるって、サイアク。


この能力にオンオフのスイッチがあればいいのにな。

視える自分が悪いんじゃ無いかって悩んだり、辛かった十代。
人間って、外面と内側でこんなに違うのかって人間不信になったこともある。


でも気づいたんだ。


おかしいだろ?


視えるのは自分の意思じゃないのに自分を責めて生きてるなんてさ。


二十になった今は、なるべく視たモノに自分の感情を直結させないように心がけてる。


そうしないとこっちが精神持たないから、さ。


その点、花はいい。


変な思いを視せないもん。


ただそこに在るだけ。


なんてサイコーなんだ! 植物。


その中でも俺は切花が一番好き。


綺麗で、お世話しないとだめで、生きているけど半分死んでいる、みたいな?


地面から切り離して一度死んだものを水につけて、時には吸い上げを良くするために茎の切り口をライターで炙ったり……って、人間にしたらSMプレイだよなぁ……。


人間相手だったら……。

と想像する。じんわりと顔に血が集まるのを感じて俺は自分の変な想像を追い払おうとフルフルと左右に頭を振った。


生の人間でモロ想像しちゃったじゃん。(そこはそれ、俺もエッチなことに興味がある健康な成人男子だから……ゴニョゴニョ)


今、頭ん中を見られたら恥ずかしくて死ぬゾ。


まぁ、俺みたいに〈視える〉人間はいないと思うが。


俺は両手でヨイショと観葉植物の鉢を持ち上げ直す。


しっかり水を含んだ土の重さったら半端ない。


そうして。鉢を中腰になって運びならヨロヨロしていたら、背中の方にいた誰かにぶつかってしまった。


どんっと背中に感じた衝撃の直後、

「うわーっ」

と上がった声に驚いて、俺。観葉植物の鉢を自分の右足小指に目がけて落としてしまったんだ。


それが今の恋人、猪野蓮也いいのれんやとの出会いだった。





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