最初のオトコ

たみやえる

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 荒木がこま子を中心にぐるりと歩く。観察する視線。新しい珍獣が来たとでも思っているのだろうか。この一年間、荒木に会うか会うまいか悶々と過ごしてきた自分がまるで馬鹿みたいに思えて腹が立ってきた。
「はぁ……見たところ若くはないようで……」
 荒木の標準語に悲しくなってくる。
「そうでしょうとも」
——もう、四十三なんだから。
「や、やる気はあるんですか」
——そうじゃなかったら、誰が仕事辞めて、マンションも売って、のこのこくると思ってんのよ!
 いっそ、荒木の顔を引っ叩いてやりたかったけれど、何しろ彼とは〈初対面〉なのだ、と我慢する。かわりに、
「ここに骨を埋める決心ですから」
と返す。
 以前の荒木なら、ここで機嫌よく笑ってくれただろう。でも、今の彼は、目を見開いてこま子を見ただけで何も言ってはこなかった。
——あんたはね、覚えてないだろうけど、ずぅーっと……二十年以上私に首っ丈だったのよ。今にそれを思い知らせてやるんだから。

 野菜を育てる、生命を膨らませるための、肥えた土地の上に立っているからだろうか。こま子の心にふつふつと闘争心めいた感情が湧いてきていた。


〈了〉
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