歳上同居人のさよなら

たみやえる

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新堂洸夜の誕生会

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 食事が終わると両親は冬木を庭の散歩に誘った。

 確かにウチの庭は綺麗だけど。定期的に庭師を入れているし。


「いやでも、外は寒いだろ?」

とオレは止めるつもりでリビングの入り口で冬木を待つ両親に声をかけた。コートを羽織った冬木が振り返り、

「ちゃんと暖かくしてきますから」

と言う。だが、オレは冬木ひとりに両親の相手をさせるのが心配だった。もしオレが預かり知らないところで親の機嫌を損ねでもしたら。同性同士の付き合いについて文句を言われたことはないものの、両親の社会的地位を考えるといつ〈世間体〉を持ち出されてオレ達の関係に反対してくるか……。


「母さん……じゃあ、オレも一緒に」

 オレも慌ててコートを持って来させて、外に行こうとしている三人について行こうとした。すると苦笑した母が、

「冬木君にあの人ご自慢の庭を見せたいだけなのよ。自慢話が長くならないように私が見張るから、洸夜はお兄ちゃんの相手をお願い」

と言うので仕方なくリビングに引き返した。



 両親は二人とも会社の経営に携わって忙しくしている。母は適当に買い物や友人との食事会で憂さ晴らししているらしいが、寡黙な父のストレス解消はガーデニングだ。


 新堂家の広い庭の一角を自分専用にして、家に帰れる時は木々の手入れをしているとか……と言う話をついさっき食事中に聞いたばかりなのだが。






 兄と二人きりになると、沈黙が肩にのしかかるような、広いリビングが倍以上になったような気がした。
 さっきまで給仕をしてくれていたお手伝いさんたちは、テーブルの食器を手早く片付けると早々にキッチンへ引っ込んでしまっているから、本当にオレたちの呼吸音以外物音がしないんだ。



 耐えられなくなったのはオレの方が先だった。


「にしても、驚いたよ」

「何を驚いたんだ?」


 兄はわざとらしく目を見張ってオレを見る。
 相手の出方をまず伺うその様子に、冬木のことで不甲斐なくウジウジしていた自分が重なって、(やっぱり兄弟なんだな)と実感する。兄は不本意だろうけど。


「兄さんがこの誕生会の主催なんだろ?」


 キッパリ言うと、

「バレていたか」
と兄が苦笑した。



「てっきりもっと大々的な誕生パーティーをやられるかと身構えていたよ」


「まぁ、最初は可愛い弟のために良家のお嬢さんを紹介する場にしようと思ったんだけどな。お前を高く売りつけて新しい仕事を取ってやろうか、と」


「あ、そう」



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