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新堂洸夜の誕生会
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しおりを挟むそしてあっという間にクリスマスイブ、オレの誕生日がやってきた。
久しぶりの実家、石造りの玄関で出迎えてくれたのは兄の浩暉で、いの一番に冬木を両親に紹介してしまうつもりだったオレはいきなり出鼻をくじかれた気がした。
会社の要職を務めている父と母はそれぞれ忙しい人たちだ。この会の開始時間には間に合わなかったと言うことか。それともやっぱり都合がつかなくなったのかもしれない。(残念だが冬木を親に紹介するのは次の機会にするしかないか……その時までオレ達が保っていれば、だけど……)
落胆を押し殺して「久しぶりですね、兄さん」と言う。
「や、久しぶりだな、洸夜」
「脚をどうかしたんですか」
思わず兄の腕に手を乗せ聞いてしまったのは、兄が杖をついていたからだった。こんな姿の兄を見るのは初めてでオレは頭の中で小さな警報音が聞こえた気がした。
兄は自分の脚については何も言わなかった。
「中に入ろう。父さんと母さんが待ってる」
オレ達の先に立って家の中へと案内する兄の言葉にオレは「え?」と足を止めてしまった。後ろを歩いていた冬木の胸が背中にあたる。うーん、このまま体を預けてしまいたい…。TPOをわきまえてるからやらない。でも、〈少しでも冬木に触れていたい欲〉が毛穴からはみ出そうだ。
「え、もう二人とも揃っているんですか」
「洸夜の誕生日のお祝いだからな。多少無理してでも」
そうなんですか……と答える自分の声が遠くに聞こえる。
……そういえば誕生会を知らせる手紙の差出人は兄の名前だった。
「西條君も、どうぞ」
と笑みを浮かべた兄を、オレは思わず凝視してしまった。
〈冬木の外堀を埋めてやる〉ことに頭の中のほとんどを持っていかれていたのですっかり忘れていたが、そういえばオレのであろうと家族の他の誰だろうと、誕生会なんてことをやったのはオレが小学校の時まででそれ以降記憶に無い。
オレの後ろに続いてリビングに足を踏み入れたた冬木が「広……」とつぶやいたのが聞こえた。
部屋の奥にある大きなダイニングテーブルに父と母は座っていた。
「久しぶりね、洸夜」
と母。その隣に座る父が「元気だったか」と言う。オレは冬木と二人の前に並んで立ち、
「ご無沙汰しています。こちらは西條冬木、オレの……」
と、挨拶しようとして……口ごもった。
今の状態で、果たして冬木をオレのパートナーと紹介していいのだろうか……と、今更ながらに不安になったのだ。
オレが迷っているうちに冬木は、
「今日はお招きいただいてありがとうございます」
と、両親にお辞儀していた。
その所作は、
(凄……、いつのまに覚えたんだ)
とオレを驚かせ、ちょっと誇らしくさせるくらいの美しさだった。
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