歳上同居人のさよなら

たみやえる

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新堂洸夜の誕生会

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 家族同士の話し合いが終わったのは夜中、0時を過ぎてからだった。


 主な話題は兄の体調についての確認だ。今とこれからについて……。しばらく母が仕事を休んで兄の主治医と会うと言っていた。生活のサポートについても考えていきたいとも……。

 オレも協力したいと言ったら、兄に鼻で笑われたけど。
 まぁ、プライドが高い兄らしい反応だ。




 その後部屋に戻ると、入るなり待ち構えていたらしい冬木に抱きしめられた。

 顔を寄せられ、自然な流れでキスにいきかけたのだが、
「あ、すみません」
と冬木が、パッと抱擁を解いた。


「あ……なんで」

 残念がる声がつい出てしまった。口を押さえたもののもう遅かった。


 お互い気まずい感じになって目を逸らした。


「なんだよ……。オレばっかり夢中みたいだ」


「そんなんじゃないんです。本当に話したいことがあって……触れたら止まらないから」


「じゃあ、話せよ」

 オレは苛立っていた。
 このニヶ月間、冬木に抱きしめられたい包み込まれたいと焦がれていたのに、それがもらえると思った瞬間にお預けを喰らわされたからだ。



「俺がお父さん達の会社を継ぎたいと言ったら、洸夜は怒りますか」


 それに答えず、壁際のカウチソファに勢いよく座ったオレを立ったままの冬木が見下ろしてくる。

 それにもオレはイライラして、膝を抱えてソファの上で丸くなる。

「驚かないんだ……お兄さんから聞いていましたか」




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