アンバランサー・ユウと世界の均衡 

かつエッグ

文字の大きさ
19 / 63
第一部 「エルフの禁呪」編

死霊王が、その人に反魔法をかけた。

しおりを挟む
 穴は、通路のように、どこまでも続いているようだった。

 壁面は、でこぼこで、土や岩が剥き出しになっていた。
 きちんとした工事ではなく、乱暴に掘りすすめられたもののようだ。
 通路のところどころに、白い燐光を放つ、小さな袋のような花が、甘いにおいをただよわせて揺れている。
 その植物には葉がなくて、ひょろりとした茎のさきに、大きく、白く燐光を放つ袋状の花が一つだけついて咲き、風もないのに、ふわりふわりと人を招くように揺れる。

 フウセンシリョウソウだ。

 日光を必要としない。
 逆に、日の光をあびると枯れてしまう。
 白い花の、その甘い臭いは、けして好ましい匂いではなく、そう、おぞましい死臭を連想させるのだ。

 フウセンシリョウソウはアンデッドのいるところに、育つといわれている。
 シリョウソウが咲くような環境をアンデッドが好むのか、それとも、アンデッドの腐敗した肉体を養分としてシリョウソウが生えるのか、どちらが先かはわからないものの……
 わたしは、思わず口にした。

 「ね、ジーナ」
 「何、ライラ」
 「まさか、アンデッドが、ぞろぞろ出てきたりしないよね」
 「バカ、ライラ!」

 ジーナが怒った。

 「何よ?」
 「あんた、知らないの? こういう時に、そういうこと言うと、たいていは出てきちゃうんだよ!」

 ユウが、ポツリと言った。

 「つまり、いわゆるフラグが立つ、と言うやつだな……」

 あいかわらず、ユウのいうことは意味不明だったりする。

 でも、アンデッドなら、じっさい最悪なんだ……。

 アンデッドは、その名の通り、すでに死んでいるものたちだから、斬ったくらいでは倒せない。腕がもげても、足がちぎれても、頭がとれても、平気で襲ってくるのだ。
 アンデッドを倒すには、光の浄化魔法で、この世から存在を消滅させるのがいちばんだが、それができない場合は、灰になるまで燃やし尽くすか、完全にすりつぶすぐらいに粉微塵にするか……、とにかく厄介なのだ。

 ああ、いやだ。

 アンデッドが出てこないことを祈るが、あの地下室に充満していた死臭を考えると、楽観的にはどうしてもなれない。

 「アンデッド、苦手だな……」
 「だからさぁ、それを口に出したらダメなんだって、ライラぁ」

 ジーナが文句を言う。
 魔法の灯で足もとを照らしながら、わたしたちは先を急いだ。

  えーん えーん えーん

 ジンタの泣き声が、近づき、遠ざかり、聞こえ続け、わたしたちはせきたてられるように走るが、それはまるで、わたしたちをどこか危険な場所に誘い込むようでもあった。

 「あっ? やぁっ!」

 ジーナが急に剣を振るった。横あいから、突然、鋭い爪で掴みかかるように、腕が突き出されたのだ。

 どすっ!

 腕は、湿った音をたてて切り離され、ぼとり地面におちた。

 「えぃっ!」

 ジーナはその剣を流れるように反転させ、真っ向から振り下ろした。

 肩からななめに両断されたアンデッドが、腐汁を撒き散らして、地面にくず折れる。
 しかし、そうなっても、両断された姿のまま、もぞもぞとうごめき、立ち上がろうとしている。

「炎の精霊の加護により地上のもの塵となれ 炎熱の櫓!」

 すかさずわたしが、ルシア先生譲りの火の魔法を使った。
 激しい炎が、アンデッドを包む櫓のように燃え上がり、そのからだを余さず燃やし尽くす。

「ほら、だから、出たじゃないのよ!」

 ジーナが口を尖らせる。
 しかし……そんなもので驚いていてはいけなかったのだ。
 すぐにわたしたちは、そのことを思い知ることになる。

   えーんえーん

 ジンタの泣き声が、奥の方からかすかに聞こえてきていた。

   オウオウオウ

 聞きようによっては、笑い声とも、呻き声ともとれるような、大勢の低い不気味な声が、それにかぶさるように聞こえてくる。

 「うう、やつら、いっぱいいそう」

 ジーナがうめく。
 と、突然、そこに

 「うわーっ」
 「何だこりゃあ!」

 と言う、別の声が響いた。
 そして、濡れたものを断ち切るような音、なにかをぶつけるような音、

 「炎よ来たれ!」

 と言う。必死な女性の詠唱。
 ものが燃えて弾けるような音。
 どよめく不気味な笑い声。
 そうしたものが一斉に聞こえてきた。

 (えっ? 誰か、この奥で戦っている?)

 さらに足を速めたわたしたちは、突然、広い場所に出て足をとめた。

 「あああ、やっぱり……ライラがあんなこと言うからだよ」

 ジーナがつぶやいた。

 そこは、岩が大きくくりぬかれて作られた、洞窟のような場所だった。
 見上げるほど高いところに、岩の天井がある。
 その天井には、フウセンシリョウソウが群生し、燐光を放つ花を、ゆらゆらと揺らしている。
 その広い洞窟が、すべてーーアンデッドで満ちていた。

 「なに、この数……」

 いったい、何百体、いや何千体いるのか。
 もはや数えきれない。
 緑色に不気味に腐り果て、眼を赤く輝かせた、アンデッドの大集団が、呻き声を上げながら、うごめいていたのだ。腐臭は鼻を突き刺すようだ。
 みるもおぞましい光景だ。

 そして、そのアンデッドに包囲された、四人組のパーティ。
 見覚えがある。
 あの、サバンさんに引きずられて行った連中だ。

 「ライラ、何で、あの人たち、よりによってこんな場所に?」
 「さあ?」
 「バカだから?」
 「たぶんね……」

 パーティは、顔を引きつらせ、必死に奮闘しているが、戦況は絶望的だ。
 剣でいくら斬ろうが、メイスで殴ろうが、アンデッドの動きは止まらず、いったんは倒れても、また起き上がって向かってくる。

 「ちくしょう、なんでこいつら死なないんだよー!」

 アリシアさんにつっかかった、あの若い冒険者が叫ぶ。

 「……そりゃあ、あんた、もう、死んでるからだよ……」

 ジーナが思わずつっこむ。

 「だよねえ……」

 ユウもうなずく。

 女性の冒険者は魔法が使えるようで、炎の魔法を連発するが、いかんせん火力が足りず、アンデッドを燃やし尽くすことができないため、黒焦げになっても、歯を剥き出しにしてアンデッドが前進してくる。

 「ヒィー」

 そのあまりの不気味さに悲鳴を上げている。
 今まさに、彼らはアンデッドの群れに飲み込まれようとしていた。

 さすがに、このままにしてはおけないだろう。

 「炎の精霊の加護により地上のもの煙と滅せよ 炎熱の宴!」

 わたしは、さきほどのものより有効範囲の広い、より強力な炎の魔法を杖から放った。
 業火の波がアンデッドの群れを襲い、数十体をたちまちに焼き尽くす。
 炎の範囲をはずれ、腕だけになったアンデッドは、それでも指を地面に突き立て、ずるずると這って動く。

 「ライラ、浄化魔法は使わないの?」

 ジーナが聞くが

 「広すぎるのよ。わたしの力では、ここの全体を浄化しきれない。たぶん、炎のほうが有効」

 そう答え、わたしは魔法を放つ。

 「炎の精霊の加護により地上のもの煙と滅せよ 炎熱の宴!」

 さらに数十体のアンデッドが灰となる。

 「おお!」

 パーティがこちらに気づいた。

 「た、助かった……」

 アンデッドもこちらに気づいた。

 大半のアンデッドが方向を変え、わたしたちにせまってくる。
 わたしは杖を構え、ジーナも剣を構えた。
 そのとき、 

   おねえちゃーん……

 ジンタの声が聞こえた。

 その声が聞こえた場所は。
 洞窟のいちばん奥のところが、そこだけ、まっ平らな壁面になっていた。
 まるで、すっぱりと垂直に切り取られたかのように、凹凸がない。
 そこに、彫刻に囲まれた四角い門があった。
 門からは、さらに奥に通路が続いているようだった。
 その門の前に、ジンタがいた。
 ジンタは、黒く大きな影にわしづかみにされ、ぶら下げられてた。

 その黒いものは……

 「げっ!」

 ジーナがうめいた。
 肉のそげ落ちた髑髏の顔、眼窩の奥ではちろちろと赤黒い炎が燃えている。
 羽織ったボロボロのマントが、ひらひらとはためいているが、そのマントをまとう本体のからだには、目の焦点を合わせることができず、どうなっているのか、はっきりしない。ただ、体に身に付けているらしい、宝石や首飾り、鏡などの呪物が、ギラギラと輝いていた。

 圧倒的な悪意を感じるその姿は。

 「死霊王レイスだよ、あいつは……」
 「レ、レイス……?!」

 レイスはアンデッドの王。

 一説には、最上位の魔道士が死を拒み、自分に禁忌の呪いをかけることで誕生するとも言う、恐ろしく強い魔物である。何しろ、元魔道士だけに、攻撃魔法がほとんど通用しないのだ。その上に、肉体も半分以上がこの世にはない状態で存在する魔物のため、斬る、殴るなどの物理攻撃も効かないという、とんでもないしろものだ。

 「なんで、こんなところに、レイスが……」

 本来なら、ダンジョンの最下層にいるような化け物である。
 レイスは、わたしたちに、すうっと視線を向けた。

 「ぎゃっ!」

 「うぐっ!」

 視線を向けられた、ただそれだけで強力な呪力の圧迫を受け、わたしの体は急に重さが増したようで、足も力が入らず、がくがく震え始めた。
 それはジーナも同じで、辛うじて剣を構えてはいるが、その剣も力が入らないため、切っ先がぶるぶる震えて、いまにも下がっていきそうだ。

 そして、ユウは……

 ユウはといえば、いつもとかわらない。
 静かな表情で、ふつうに立ち、レイスを見ている。

 ああ、ユウはいつものユウなんだ。
 この人はいつだって、こうやって平気な顔なんだ。
 そのユウのかわらぬ姿に、いったんは抜けた足の力が戻ってくるようだった。

 レイスは、腕をゆっくりと持ち上げると、ユウを指さした。

 「愚カナ、チカラ無キ人間。コチラニ」

  来い、とさし招いてきた。

 「我ガ不死ノ生贄トナレ」

 そうしている間にも、アンデッドの群れは、どんどんわたしたちに迫ってくる。
 わたしが急いで炎の魔法の詠唱を始めようとすると、
 レイスが、肉のない顔でにやりと笑ったような気がした。

 そして、

 「スベテノ精霊ノ契約ハ去リ、ココヨリ汝ノ望ミコトゴトク絶ユ、滅呪!」

 レイスの不気味な声が、洞窟に響き渡った。

 「あれは!」

 わたしは、その詠唱をきいて、うめいた。
 今、レイスが唱えたのは、相手の全ての魔法を無効にする反魔法の詠唱。
 この空間にある、敵方の魔力がすべてキャンセルされる。
 パーティの魔法使いの放った炎が、ぽしゅっと音を立て、一瞬にして消えた。
 わたしの発動しようとした魔法も、どこかに霧散して消えた。

 「あああ」
 「もうだめだー」
 「だれか、助けてくれー」

 冒険者たちが情けなく叫び声を上げる。

 「いいかい、ライラ、ジーナ」

 ユウは、レイスの反魔法の行使にも動ずる様子はなく、わたしとジーナに、

 「今から、ぼくがレイスのところまで道を作る。
  離れずについてきて。
  ぼくがジンタを奪い返すから、そうしたら君たちふたりで、ジンタを守って、安全なところまで離れるんだ」
 「わかった!」

 ジーナが即答した。

 どうやって? 反魔法の影響下で?
 でもユウなら、できる気がするんだ。

 「了解!」

 わたしも答えた。

 「よし、やるよ!」

 ユウが、きっと顔を上げ、その瞬間、ユウから何か大きな力が放たれるのがわかった。
 そして、その力を受けて、洞窟全体が、鳴動を始めた。
 天井のタマユラシリョウソウが、狂ったようにざわめき、そしてパラパラ散り始めた。
 レイスが、訝しげに洞窟の天井を見上げ
 次の瞬間、

 ずどぉおおおん!

 轟音とともに、広大な洞窟の上部が全て、吹き飛んで消えた!

 (こ、これは、重力操作?)

 頭上の岩や土や、ひょっとしたら樹や、そうしたすべてのものが吹き飛ばされ、その結果、洞窟はもはや洞窟でなくなり、ただの深い窪地ととなり、天井の代わりにそこには青空が見え、そして、燦々と輝く日の光が、全てを照らした。

  オオオオオオオオ!

 アンデッドが叫ぶ。
  強力な陽光に焼き尽くされ、一瞬にして、何百体、何千体もいたアンデッドは全て蒸発して消えた。
 冒険者たちはおどろきのあまり、固まってしまっている。

 「ええっ? なにこれ……アンデッドが……ぜんぶ」
 「それ以前に、あの巨大な天井、どこいったの?……」

 わかるよ。わたしたちだって、びっくりだ。

 「さあ、今だよ!」

 そして、ユウの号令一下、アンデッドの消滅した広間を、わたしたち「雷の女帝のしもべ」が駆け抜ける!

 「バカナ!」

 さすがにレイスクラスの魔物ともなれば、陽光で消滅したりはしない。
 平然と立っている。
 ただし、肉体的には。
 予想を超える事態に、さすがのレイスも、精神が狼狽しているのは明らかだ。

 「コノ魔法ハ何ダ? コノ我ガシラヌ魔法? イヤ、ソモソモ、ナゼ、ナゼ魔法ガ発動シタノダ?!」

 ユウが答えた。

 「ぼくの力は、魔法ではないから」

 その間も、レイスに向かって走り続ける。

 「クッ、クラエ! 地獄ノ業火!」

 レイスは迫るユウに向けて、やみくもに炎の魔法を連発するが、ユウはそれをものともしない。
 レイスの放った炎は、ユウに到達する直前でなぜか全て消えてしまうのだ。

 「悪いね、ぼくには、いっさい効かないんだよ」
 「キサマ、ホントウニ人間ナノカ?!」
 「たぶん?」

 ユウは、あっというまにレイスに到達し、うろたえるその手からジンタをあっさり奪い返した。

 「ジーナ、ライラ、頼む!」

 ジンタをジーナに放り投げ、ジーナが獣人の反射神経でキャッチ、わたしはそんなジーナを守りながら、レイスから脱出する。

 「オノレ……コザカシイ」

 レイスは眼窩の奥の炎を滾らせながら、

 「ダガ、オロカモノメ、コゾウノ代ワリニ、オマエヲ捕マエテヤッタゾ……」

 マントでユウの体を包みこんだ。ユウのからだが、暗黒に抱きしめられる。

 「ユックリ、オ前ヲ貪リクッテヤル」

 レイスは、金属じみた不快な声で高笑いをした。

 「それはどうかな」

 ユウは平然と

 「ぼくは、アンバランサー」
 「あんばらんさー……? ドコカデ、聞イタ、ヨウナ……」
 「アンデッド、それはこの世界のことわりである生命の渦を、呪力で滞らせているもの。
  アンバランサーは、渦を回すことができる。すると、どうなるかな?」

 そう言って、レイスの眼窩を臆せず覗き込んだ。

 「ウォッ?」

 レイスの輪郭が、ぶるぶると振動を始める。

 「……コノチカラハ……イッタイ? ……我ノ存在ガ……根源カラ崩サレ……ル」

 レイスの暗黒の体は切れ切れとなり、いくつもの小さな渦をつくりながら、虚空に消滅していく。

 「あ、あんばらんさー……ソウダ、カツテ、我ガ人間ダッタ頃……ソノ噂ヲ聞イタ……コノ世界ノ理ノ外ニアルモノト……」

 レイスは、怒りに震えながら、身悶えた。

 「ソノヨウナ存在ガ、アッテヨイモノナノカ?!」

 ユウは静かに言う。

 「たぶん、よくはない、それは分かっているよ」
 「消エル……不死ガ……消エル……」

 そして、水泡がはじけるように、レイスは消えた。
 レイスの本体が消滅すると同時に、レイスが身にまとっていたさまざまな装飾が地面に落下し、けたたましい音を立てた。そこに残るのは、刀、宝石や鏡、効果の計り知れない呪具などの小山。

 「やった……とうとう、あの死霊王を倒しちゃったよ……」

 わたしが呆然としていると、

 「あっ! ライラ、ジンタをお願い!」

 ジーナが、ジンタをわたしに預けて、駆け出していく。

 「お宝だあ!」

 ジーナ……。

 わたしは思った。

 ジーナ、あんたのそういう、ブレないところは尊敬するけど、だけどさあ、これはわたしたち『雷の女帝のしもべ』の、記念すべき初クエストで、しかもあのレイスと戦ったっていう……だから、ね、もう少し、わたしたちは戦いの余韻ってものをさあ……
 まあ、いいけどね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

今更……助けてくれと……言われても……

#Daki-Makura
ファンタジー
出奔した息子から手紙が届いた…… 今更……助けてくれと……言われても……

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

処理中です...