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街
94気遣い
しおりを挟むそして俺は寝ながら残っているルームサービスを食べて、湯船には這いずりながらも無理矢理入って身体を解した。
すると若さなのか何とか夜には歩けるくらいには体調が戻ってきた。
「ランズは結局一度も戻って来なかったな……」
そう。ランズは部屋を出て行った後、一度もこの部屋には戻って来なかった。
独り言を呟いたけど、俺が告白を断ってしまった手前、ランズが戻って来ないのは想定内だし、しょうがない部分もある。手のひらにはまだ契約の魔法が消えてないし、お宝の鑑定と契約が完了する迄はもうランズとは業務連絡だけになるかもしれないと思っておいた方がいいかもしれない。
外に出ようと思って、そんなに持っていなかった服の中から比較的綺麗な服が無いか探すと、部屋のクローゼットには俺にピッタリサイズの綺麗な服が何枚か並んでかけてあった。
「ランズ……」
2人でボロボロの身なりのまま、この高級宿のスイートルームに泊まりこんで嬉しさしか無かったけど、よく思い出してみればここの高級ホテルに宿泊する人達は皆ギョッとしたり、ちょっと蔑んだ目で俺達をみていた。
俺は疲れていたし、正直そうゆう目には慣れていたけど、俺の寝ている間にランズは俺の事も気を遣ってこんな服も用意していたんだ……。
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