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87 計画
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あのお披露目の日、私達がミランダの魂が憑依した剣と対峙している間に、ハミルトン達は王宮を辞していた。
私とお兄様を助けてくれたお礼を言いたかったのにそれも叶わなかったわ。
その後、お見舞いに行こうと思っていたけれど、お父様が許可してくれなかったのよね。
「それで、パトリシア様。ハミルトン様のご様子はいかがでしょうか? お見舞いに行きたかったけれど、お父様の許可が下りなくて…。助けていただいたお礼もまだ言っていませんし…」
パトリシアは優雅な仕草でカップをソーサーに戻すとニコリと微笑んだ。
「ハミルトンの事を気にかけて頂いてありがとうございます、フェリシア様。怪我自体は魔術師の方にヒールをかけていただいたおかげですっかり良くなりましたわ。あの時は貧血を起こしていただけですから、公爵家に戻って一晩寝て翌日には元通りの生活に戻りましたから…」
そう告げた後で思い出したようにクスリと笑った。
「ただ、あの日、フェリシア様とダンスが踊れなかった事を物凄く残念がっていましたわ」
ハミルトンの怪我がすっかり治っていたようで安堵した。
それと同時に私とダンスを踊れなかった事を残念がっていると聞いて嬉しくなった。
もっともシャンデリアが落ちるという事故がなくても、私とハミルトンがダンスを踊る事は出来なかったと思うわ。
お父様とお兄様が絶対阻止しようと躍起になったでしょうからね。
それを口にするとパトリシアも同意してくれた。
「そうなる事は目に見えていますわね。この先も事あるごとに陛下とユージーン様がフェリシア様に他の男性を近付けさせないようにするでしょうね」
私という存在が珍しくて構いたくなるのはわかるけれど、いつまでこんな事が続くのかしらね。
げんなりした私の顔を見てパトリシア様が何か企んでいるような悪い顔をした。
「フェリシア様の邪魔をしてくる二人を一人にして差し上げましょうか? 上手くいけばフェリシア様の味方になってくださるかもしれませんよ?」
邪魔をしてくる二人を一人に?
私の味方になる?
パトリシアの言っている言葉の意味がよく理解出来なくて、私は目を瞬いた。
「えっと、パトリシア様。それは一体どういう事でしょうか?」
パトリシアに問いかけると、彼女は声を潜めてこう告げた。
「ユージーン様に婚約者を作ってしまえばいいのですわ。そもそも一国の王子ともあろうお方がいつまでも婚約者が決まらないなんて有り得ませんもの。いい加減、決めていただかないと他の貴族達も動けませんもの」
パトリシアによるとお兄様が婚約者を決めないせいで、他の貴族達の婚約もままならないらしい。
王族に嫁ぐ事が出来るのは公爵、侯爵、伯爵の身分の貴族だという。
そのため、その階級の貴族が、
「ユージーン様と結婚出来るかもしれないから」
と、なかなか婚約者を決めたがらないらしい。
中には家同士の繋がりで既に婚約を交わしている貴族もいるらしいが、婚約をしていない貴族が半数以上いるそうだ。
「フェリシア様だけでなく、他の貴族の子女子息の為にもユージーン様には早く婚約者を決めていただかないとね」
パトリシアの提案に私はコクコクと頷いた。
お兄様も私を構うよりも、婚約者を構う方が嬉しいに決まっているわ。
これは私の為だけではなく、この国の貴族の為にも一刻も早くお兄様には婚約者を見つけてあげないとね。
「パトリシア様。お兄様の為にも早く婚約者を見つけて差し上げなければいけませんわ。ところでパトリシア様にはお兄様にふさわしいと、思われる方をご存知ですか?」
「勿論ですわ。一度フェリシア様にもご紹介したいと思っているお嬢様がおられますの。今度、その方を交えてお茶会をいたしましょう」
私は後日、その女性とパトリシアとでお茶会を開く事を約束した。
私とお兄様を助けてくれたお礼を言いたかったのにそれも叶わなかったわ。
その後、お見舞いに行こうと思っていたけれど、お父様が許可してくれなかったのよね。
「それで、パトリシア様。ハミルトン様のご様子はいかがでしょうか? お見舞いに行きたかったけれど、お父様の許可が下りなくて…。助けていただいたお礼もまだ言っていませんし…」
パトリシアは優雅な仕草でカップをソーサーに戻すとニコリと微笑んだ。
「ハミルトンの事を気にかけて頂いてありがとうございます、フェリシア様。怪我自体は魔術師の方にヒールをかけていただいたおかげですっかり良くなりましたわ。あの時は貧血を起こしていただけですから、公爵家に戻って一晩寝て翌日には元通りの生活に戻りましたから…」
そう告げた後で思い出したようにクスリと笑った。
「ただ、あの日、フェリシア様とダンスが踊れなかった事を物凄く残念がっていましたわ」
ハミルトンの怪我がすっかり治っていたようで安堵した。
それと同時に私とダンスを踊れなかった事を残念がっていると聞いて嬉しくなった。
もっともシャンデリアが落ちるという事故がなくても、私とハミルトンがダンスを踊る事は出来なかったと思うわ。
お父様とお兄様が絶対阻止しようと躍起になったでしょうからね。
それを口にするとパトリシアも同意してくれた。
「そうなる事は目に見えていますわね。この先も事あるごとに陛下とユージーン様がフェリシア様に他の男性を近付けさせないようにするでしょうね」
私という存在が珍しくて構いたくなるのはわかるけれど、いつまでこんな事が続くのかしらね。
げんなりした私の顔を見てパトリシア様が何か企んでいるような悪い顔をした。
「フェリシア様の邪魔をしてくる二人を一人にして差し上げましょうか? 上手くいけばフェリシア様の味方になってくださるかもしれませんよ?」
邪魔をしてくる二人を一人に?
私の味方になる?
パトリシアの言っている言葉の意味がよく理解出来なくて、私は目を瞬いた。
「えっと、パトリシア様。それは一体どういう事でしょうか?」
パトリシアに問いかけると、彼女は声を潜めてこう告げた。
「ユージーン様に婚約者を作ってしまえばいいのですわ。そもそも一国の王子ともあろうお方がいつまでも婚約者が決まらないなんて有り得ませんもの。いい加減、決めていただかないと他の貴族達も動けませんもの」
パトリシアによるとお兄様が婚約者を決めないせいで、他の貴族達の婚約もままならないらしい。
王族に嫁ぐ事が出来るのは公爵、侯爵、伯爵の身分の貴族だという。
そのため、その階級の貴族が、
「ユージーン様と結婚出来るかもしれないから」
と、なかなか婚約者を決めたがらないらしい。
中には家同士の繋がりで既に婚約を交わしている貴族もいるらしいが、婚約をしていない貴族が半数以上いるそうだ。
「フェリシア様だけでなく、他の貴族の子女子息の為にもユージーン様には早く婚約者を決めていただかないとね」
パトリシアの提案に私はコクコクと頷いた。
お兄様も私を構うよりも、婚約者を構う方が嬉しいに決まっているわ。
これは私の為だけではなく、この国の貴族の為にも一刻も早くお兄様には婚約者を見つけてあげないとね。
「パトリシア様。お兄様の為にも早く婚約者を見つけて差し上げなければいけませんわ。ところでパトリシア様にはお兄様にふさわしいと、思われる方をご存知ですか?」
「勿論ですわ。一度フェリシア様にもご紹介したいと思っているお嬢様がおられますの。今度、その方を交えてお茶会をいたしましょう」
私は後日、その女性とパトリシアとでお茶会を開く事を約束した。
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