152 / 242
学院編
152 登校
しおりを挟む
翌日、いつものようにスクール馬車に乗って学院に到着したが、すぐには馬車から降りられなかった。
昨日のようにエドワード王子が外で待っているんじゃないかと気が気ではなかったからだ。
「エド、降りないのか?」
なかなか座席から立ち上がろうとしない僕を見てアーサーが首をかしげる。
「う、うん。…ちょっと…」
口ごもる僕を見てアーサーが思い出したようにポンと手を打った。
「あっ、そうか。昨日みたいにエドワード王子がいらっしゃるかもしれないと思っているんだね。僕が先に降りてエドワード王子がいらっしゃるかどうか見てくるよ」
そう言うなりアーサーはタッと駆けて馬車から降りていった。
見てきてくれるのはいいが、実際にエドワード王子がいたとしても馬車から降りなくてはいけないのだからなんの解決にもならない。
まあ、居たなら居たで心積もりが出来るから無駄にはならないだろう。
それほど待つ事もなくアーサーが再び馬車に乗ってきた。
「僕が見た限りではいらっしゃらないみたいだったよ」
「そうか。ありがとう」
アーサーの後に続いて馬車を降りる。
僕が最後だったので、僕が降りた途端馬車の扉が閉められ、馬車は走り去っていった。
なかなか馬車から降りない事で御者の人には迷惑をかけてしまったな。
アーサーの言った通り、エドワード王子の姿はなかった。
ホッとして教室に向かうと、教室内は昨日の魔獣の襲撃の話題で持ちきりだった。
「まさかこの学院に魔獣が出てくるとは思わなかったな」
「学院には結界が張ってあって魔獣は侵入して来れないんじゃなかったの!?」
「あの後、王宮魔術師団が来て調査したらしいけど、どうやら小さな綻びがあったらしいよ」
僕は席に着きながらその話に聞き耳を立てる。
昨日、宰相はその事については何も話さなかったからだ。
オーウェンも結界については何も言っていなかったしな。
学院の結界もオーウェンからすれば管轄外なのかもしれない。
クラスメイト達の話題は今度は魔獣を倒したエドワード王子に移っていた。
「あの魔獣を倒したのはエドワード王子なんだってさ」
「まあ、流石はこの国の王子だけあるわね。身を呈して私達を助けてくださるなんて…」
エドワード王子だけでなく、僕も一緒に魔獣を倒したんだけれど、流石にそれを宣言する気にはなれない。
どうやって魔獣を倒したのかとか、どうしてエドワード王子と同じくらいの魔法が使えるのかとか、根掘り葉掘り聞かれるに決まっている。
アーサーはクラスメイト達に何か言いたそうな顔をしているけれど、僕は軽く首を振ってそれを止めた。
アーサーはちょっと不満そうな表情をみせたけれど、仕方なさそうにうなずいた。
そのうちに始業のチャイムが鳴り、担任のディクソン先生が教室の扉を開いた。
おしゃべりしていた生徒達は蜘蛛の子を散らすように慌てて自分の席に戻って行った。
「皆さん、おはようございます。昨日は魔獣の襲撃という事態を招いてしまい申し訳ありませんでした」
ディクソン先生が僕達に対して深々と頭を下げた。
別にディクソン先生の責任ではないし、ディクソン先生が頭を下げる必要もない。
この場合、頭を下げるべきなのは学院長であるオークウッド学院長のはずなんだけどな。
そう思っているとディクソン先生が
「緊急の全校集会を行いますので、講堂の方に移動をお願いします」
と告げてきた。
昨日、王宮の魔術師団の調査も入ったらしいからその報告も兼ねるのだろう。
僕達は廊下に整列すると、ゾロゾロと講堂に向けて歩きだした。
講堂には椅子が並べられていて、既に上位貴族の生徒達は着席して待っていた。
その中にエドワード王子の姿があるのをチラリと確認すると、僕は自分達の席へと座った。
昨日のようにエドワード王子が外で待っているんじゃないかと気が気ではなかったからだ。
「エド、降りないのか?」
なかなか座席から立ち上がろうとしない僕を見てアーサーが首をかしげる。
「う、うん。…ちょっと…」
口ごもる僕を見てアーサーが思い出したようにポンと手を打った。
「あっ、そうか。昨日みたいにエドワード王子がいらっしゃるかもしれないと思っているんだね。僕が先に降りてエドワード王子がいらっしゃるかどうか見てくるよ」
そう言うなりアーサーはタッと駆けて馬車から降りていった。
見てきてくれるのはいいが、実際にエドワード王子がいたとしても馬車から降りなくてはいけないのだからなんの解決にもならない。
まあ、居たなら居たで心積もりが出来るから無駄にはならないだろう。
それほど待つ事もなくアーサーが再び馬車に乗ってきた。
「僕が見た限りではいらっしゃらないみたいだったよ」
「そうか。ありがとう」
アーサーの後に続いて馬車を降りる。
僕が最後だったので、僕が降りた途端馬車の扉が閉められ、馬車は走り去っていった。
なかなか馬車から降りない事で御者の人には迷惑をかけてしまったな。
アーサーの言った通り、エドワード王子の姿はなかった。
ホッとして教室に向かうと、教室内は昨日の魔獣の襲撃の話題で持ちきりだった。
「まさかこの学院に魔獣が出てくるとは思わなかったな」
「学院には結界が張ってあって魔獣は侵入して来れないんじゃなかったの!?」
「あの後、王宮魔術師団が来て調査したらしいけど、どうやら小さな綻びがあったらしいよ」
僕は席に着きながらその話に聞き耳を立てる。
昨日、宰相はその事については何も話さなかったからだ。
オーウェンも結界については何も言っていなかったしな。
学院の結界もオーウェンからすれば管轄外なのかもしれない。
クラスメイト達の話題は今度は魔獣を倒したエドワード王子に移っていた。
「あの魔獣を倒したのはエドワード王子なんだってさ」
「まあ、流石はこの国の王子だけあるわね。身を呈して私達を助けてくださるなんて…」
エドワード王子だけでなく、僕も一緒に魔獣を倒したんだけれど、流石にそれを宣言する気にはなれない。
どうやって魔獣を倒したのかとか、どうしてエドワード王子と同じくらいの魔法が使えるのかとか、根掘り葉掘り聞かれるに決まっている。
アーサーはクラスメイト達に何か言いたそうな顔をしているけれど、僕は軽く首を振ってそれを止めた。
アーサーはちょっと不満そうな表情をみせたけれど、仕方なさそうにうなずいた。
そのうちに始業のチャイムが鳴り、担任のディクソン先生が教室の扉を開いた。
おしゃべりしていた生徒達は蜘蛛の子を散らすように慌てて自分の席に戻って行った。
「皆さん、おはようございます。昨日は魔獣の襲撃という事態を招いてしまい申し訳ありませんでした」
ディクソン先生が僕達に対して深々と頭を下げた。
別にディクソン先生の責任ではないし、ディクソン先生が頭を下げる必要もない。
この場合、頭を下げるべきなのは学院長であるオークウッド学院長のはずなんだけどな。
そう思っているとディクソン先生が
「緊急の全校集会を行いますので、講堂の方に移動をお願いします」
と告げてきた。
昨日、王宮の魔術師団の調査も入ったらしいからその報告も兼ねるのだろう。
僕達は廊下に整列すると、ゾロゾロと講堂に向けて歩きだした。
講堂には椅子が並べられていて、既に上位貴族の生徒達は着席して待っていた。
その中にエドワード王子の姿があるのをチラリと確認すると、僕は自分達の席へと座った。
255
あなたにおすすめの小説
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは……
*表紙絵自作
田舎娘をバカにした令嬢の末路
冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。
それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。
――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。
田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。
結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた
夏菜しの
恋愛
幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。
彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。
そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。
彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。
いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。
のらりくらりと躱すがもう限界。
いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。
彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。
これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?
エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる