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冒険者編
214 名付け
卵の中から顔を出したトカゲはじっと僕を見つめている。
まさか、生まれてきたのがトカゲだとは思わなかったな。
まあ、蛇が生まれてくるよりはマシかな。
だが、待てよ?
トカゲってこんなにゴツゴツしたウロコを持っていたっけ?
それに小さいながらも随分と立派な爪をしているぞ。
トカゲは卵の中から這い出ると、僕の手のひらから卵の殻をポイポイと後ろ足で蹴散らした。
全長は僕の手のひらより少し大きいくらいだ。
あんな小さな卵にこれだけの大きさの身体が入っていたなんてビックリだ。
それにしても、トカゲなんて苦手だと思っていたけれど、こうして手のひらに乗っかっているのを見ると、案外可愛いものなんだな。
トカゲは僕をじっと見ていたが、やがてパッと口を開いた。
だがその瞬間、口から小さな火の玉がポッと僕に向かって発せられた。
まさか!?
トカゲが火を噴いた?
僕はギョッとして身体を仰け反らせた。
だが、その火の玉は僕に届く前に空中に消え去った。
「トカゲが火を噴いた?」
僕がポツリと呟くと、手のひらに乗っているトカゲがクワッと大きく口を開けた。
「僕がトカゲだって!? 一体どこに目を付けてるんだよ? 随分と間の抜けた奴だな」
トカゲが喋った?
予想外の事に僕はあんぐりと口を開けたまま、手の上のトカゲ(?)を見つめた。
僕の向かいに座っているオーウェンがクスクスと笑っているし、ヴィンセントもやれやれと言わんばかりにため息をついている。
僕はそんな二人をムッとして軽く睨んでやる。
大体、何の卵かも言わなかったのはオーウェンだからね。
オーウェンはようやく笑うのをやめたが、その頬はまだ緩んだままだ。
「小さくてわかりづらいかもしれませんが、れっきとしたドラゴンですよ」
え、ドラゴン?
オーウェンに言われて僕は改めて手の上のドラゴンを見つめた。
小さいながらもゴツゴツとしたウロコをまとい、指先の爪も鋭く尖っている。
おまけによく見ると鼻の頭に小さな角が生えているし、背中には羽根と見られるものも付いていた。
だからといって、にわかにはこれがドラゴンだとは信じがたい。
大体、昔テレビで見たけれど、オオトカゲもワニも似たようなものだったよね。
そう考えるとドラゴンもトカゲの一種なんだろうか?
手の上のドラゴンは再び口をクワッと開けた。
またしても火の玉を吐くのだろうか?
僕が身構えると、ドラゴンは苛立ったように大声をあげた。
「いつまでも間抜け面を晒してないで、さっさと名前をつけてくれよ」
生まれたばかりだというのに随分と口が達者なドラゴンだな。
それにしても名前かぁ。
こんなに早く生まれるとは思っていなかったから、名前をつける事も失念していたよ。
僕は手の上のドラゴンをもう一度見つめ直した。
ドラゴンは黒いツヤツヤとしたウロコに覆われていた。
僕に名付けのセンスがあるとは思えないけれど、とりあえず頭に浮かんだ名前を呟いた。
「…ウィル」
ドラゴンは僕の声が聞こえたらしく、再びクワッと口を開けて火の玉を吐き出した。
さっきよりは少し大きな火の玉が僕に向かってくるが、やはり途中で消えてしまった。
「ウィルかぁ。まぁいいや、よろしくな、エドアルド」
どうやら名前は気に入ってもらえたようだ。
まさか、生まれてきたのがトカゲだとは思わなかったな。
まあ、蛇が生まれてくるよりはマシかな。
だが、待てよ?
トカゲってこんなにゴツゴツしたウロコを持っていたっけ?
それに小さいながらも随分と立派な爪をしているぞ。
トカゲは卵の中から這い出ると、僕の手のひらから卵の殻をポイポイと後ろ足で蹴散らした。
全長は僕の手のひらより少し大きいくらいだ。
あんな小さな卵にこれだけの大きさの身体が入っていたなんてビックリだ。
それにしても、トカゲなんて苦手だと思っていたけれど、こうして手のひらに乗っかっているのを見ると、案外可愛いものなんだな。
トカゲは僕をじっと見ていたが、やがてパッと口を開いた。
だがその瞬間、口から小さな火の玉がポッと僕に向かって発せられた。
まさか!?
トカゲが火を噴いた?
僕はギョッとして身体を仰け反らせた。
だが、その火の玉は僕に届く前に空中に消え去った。
「トカゲが火を噴いた?」
僕がポツリと呟くと、手のひらに乗っているトカゲがクワッと大きく口を開けた。
「僕がトカゲだって!? 一体どこに目を付けてるんだよ? 随分と間の抜けた奴だな」
トカゲが喋った?
予想外の事に僕はあんぐりと口を開けたまま、手の上のトカゲ(?)を見つめた。
僕の向かいに座っているオーウェンがクスクスと笑っているし、ヴィンセントもやれやれと言わんばかりにため息をついている。
僕はそんな二人をムッとして軽く睨んでやる。
大体、何の卵かも言わなかったのはオーウェンだからね。
オーウェンはようやく笑うのをやめたが、その頬はまだ緩んだままだ。
「小さくてわかりづらいかもしれませんが、れっきとしたドラゴンですよ」
え、ドラゴン?
オーウェンに言われて僕は改めて手の上のドラゴンを見つめた。
小さいながらもゴツゴツとしたウロコをまとい、指先の爪も鋭く尖っている。
おまけによく見ると鼻の頭に小さな角が生えているし、背中には羽根と見られるものも付いていた。
だからといって、にわかにはこれがドラゴンだとは信じがたい。
大体、昔テレビで見たけれど、オオトカゲもワニも似たようなものだったよね。
そう考えるとドラゴンもトカゲの一種なんだろうか?
手の上のドラゴンは再び口をクワッと開けた。
またしても火の玉を吐くのだろうか?
僕が身構えると、ドラゴンは苛立ったように大声をあげた。
「いつまでも間抜け面を晒してないで、さっさと名前をつけてくれよ」
生まれたばかりだというのに随分と口が達者なドラゴンだな。
それにしても名前かぁ。
こんなに早く生まれるとは思っていなかったから、名前をつける事も失念していたよ。
僕は手の上のドラゴンをもう一度見つめ直した。
ドラゴンは黒いツヤツヤとしたウロコに覆われていた。
僕に名付けのセンスがあるとは思えないけれど、とりあえず頭に浮かんだ名前を呟いた。
「…ウィル」
ドラゴンは僕の声が聞こえたらしく、再びクワッと口を開けて火の玉を吐き出した。
さっきよりは少し大きな火の玉が僕に向かってくるが、やはり途中で消えてしまった。
「ウィルかぁ。まぁいいや、よろしくな、エドアルド」
どうやら名前は気に入ってもらえたようだ。
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