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幼少期
35 邂逅
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テイラー伯爵家に到着すると、僕達は前回と同じように庭園に到着案内された。
庭園に向かうと、ここでも前回と同じように僕とアーサーはレイナ嬢の所へ連れて行かれた。
「いらっしゃいませ、エドアルド様、アーサー様。どうぞお席にお座りください」
レイナ嬢に出迎えられ、僕とアーサーは隣合った席へと腰をおろした。
和やかな雰囲気の中、ワイワイと皆でおしゃべりを楽しむ。
やはりこうやって同年代の友達と過ごすのはとても楽しい。
学院は十歳からとは聞いているが、もう少し早くならないものなのだろうか?
そのうちに僕は妙にトイレに行きたくなってしまった。
(しまった。ちょっとお茶を飲みすぎたかな?)
お茶には利尿作用があると聞いた事があるが、この世界でもやはり一緒なのだろうか?
流石にお茶会が終わるまで持ちそうもないので、ここはさっさとトイレに行くべきだろう。
「すみません、レイナ様。ちょっと席を外させてください」
僕はレイナ嬢にそう断ると、席を立って近くにいた侍女に声をかける。
「すみません。お手洗いを貸してもらえますか?」
「はい、ご案内させていただきます」
僕は侍女の後をついて行き、庭園を横切って屋敷の中へと入って行く。
「こちらでございます」
屋敷に入ってすぐの所にトイレはあった。
前世と同じく洋式の水洗トイレだ。
この世界でも洋式トイレが使えるなんて感動モノだよ。
小用を済ませて手を洗い、目の前の鏡で身だしなみを確認して廊下に出る。
僕を案内してくれた侍女がそこで待っている…はずだった。
(あれ? 誰もいない…)
軽く辺りを見回したが、侍女どころか誰の姿も見受けられなかった。
(おかしいな? 屋敷の中を勝手に歩き回らないように待機してくれているはずなのにな…)
幸いここは庭園への出入り口のすぐ傍にあったので迷子になる事はない。
それに勝手に他所の屋敷内をうろつくような無作法さは持ち合わせてはいない。
出入り口に向かおうとして、ふと僕は視線を感じて振り返った。
「…え?」
いつの間にそこに現れたのか、一人の女性がそこに立っていた。
知らない女性なのに、何故かその人から目が離せなかった。
(…誰?)
その女性から目を離す事も身動きする事も出来ずに僕はその場に立ち尽くす。
彼女は品定めするように僕を見据えたまま、ゆっくりとこちらに歩み寄ってきた。
普通、子供と会話する時はこちらに目線を合わせるように身を屈めたり、しゃがんだりするものだが、彼女は上から僕を見下ろすだけだった。
しばらく僕を見下ろしていた彼女だったが、やがて「フッ」と軽く口元を緩めた。
「こうして見るとやはりエドワードにうり二つだわ。だけど、実際に二人並んだらどうなのかしらね」
「…え?」
僕は彼女の発言に耳を疑った。
(今、エドワードと言ったのか? この国の王子を呼び捨てにするなんて…。…まさか? …でも、どうしてここに…?)
「エドワード」と呼び捨てにした事からこの女性がエドワード王子の母親であると推測される。
つまり、僕の母親でもあるという事だ。
それならば、彼女を見て言いようのない感情が渦巻いてきたのも納得出来る。
だが、どうしてここに現王妃である彼女がいるんだろうか?
偶然…ではない事ははっきりしている。
今日、僕がここに来る事はテイラー伯爵夫人たっての希望だ。
それに大人側の招待客に王妃が参加するなんて話は聞いていない。
正式な参加者であれば、お茶会の席で来賓としてもてなされているはずだ。
それがこんな場所にひっそりといるという事は、誰にも内緒で参加している事になる。
では、何故、王妃はここにいるんだろうか?
それに、偶然僕を目にしたにしてはあまり驚いていない。
つまり、最初から僕がエドワード王子にそっくりだと知っていた事になる。
では、誰が僕とエドワード王子がそっくりだと知らせたのだろうか?
…もしかして、テイラー伯爵夫人?
前回で僕の顔を知ったテイラー伯爵夫人がその後、エドワード王子に会うか見かけるかして僕とそっくりだと知って、王妃に報告したのだろうか?
だとしたら、先ほど玄関先で顔を合わせた時も妙に僕を凝視してきた事にも納得がいく。
そんな事をぐるぐると考えていると、目の前の王妃がまた一歩距離を詰めてきた。
庭園に向かうと、ここでも前回と同じように僕とアーサーはレイナ嬢の所へ連れて行かれた。
「いらっしゃいませ、エドアルド様、アーサー様。どうぞお席にお座りください」
レイナ嬢に出迎えられ、僕とアーサーは隣合った席へと腰をおろした。
和やかな雰囲気の中、ワイワイと皆でおしゃべりを楽しむ。
やはりこうやって同年代の友達と過ごすのはとても楽しい。
学院は十歳からとは聞いているが、もう少し早くならないものなのだろうか?
そのうちに僕は妙にトイレに行きたくなってしまった。
(しまった。ちょっとお茶を飲みすぎたかな?)
お茶には利尿作用があると聞いた事があるが、この世界でもやはり一緒なのだろうか?
流石にお茶会が終わるまで持ちそうもないので、ここはさっさとトイレに行くべきだろう。
「すみません、レイナ様。ちょっと席を外させてください」
僕はレイナ嬢にそう断ると、席を立って近くにいた侍女に声をかける。
「すみません。お手洗いを貸してもらえますか?」
「はい、ご案内させていただきます」
僕は侍女の後をついて行き、庭園を横切って屋敷の中へと入って行く。
「こちらでございます」
屋敷に入ってすぐの所にトイレはあった。
前世と同じく洋式の水洗トイレだ。
この世界でも洋式トイレが使えるなんて感動モノだよ。
小用を済ませて手を洗い、目の前の鏡で身だしなみを確認して廊下に出る。
僕を案内してくれた侍女がそこで待っている…はずだった。
(あれ? 誰もいない…)
軽く辺りを見回したが、侍女どころか誰の姿も見受けられなかった。
(おかしいな? 屋敷の中を勝手に歩き回らないように待機してくれているはずなのにな…)
幸いここは庭園への出入り口のすぐ傍にあったので迷子になる事はない。
それに勝手に他所の屋敷内をうろつくような無作法さは持ち合わせてはいない。
出入り口に向かおうとして、ふと僕は視線を感じて振り返った。
「…え?」
いつの間にそこに現れたのか、一人の女性がそこに立っていた。
知らない女性なのに、何故かその人から目が離せなかった。
(…誰?)
その女性から目を離す事も身動きする事も出来ずに僕はその場に立ち尽くす。
彼女は品定めするように僕を見据えたまま、ゆっくりとこちらに歩み寄ってきた。
普通、子供と会話する時はこちらに目線を合わせるように身を屈めたり、しゃがんだりするものだが、彼女は上から僕を見下ろすだけだった。
しばらく僕を見下ろしていた彼女だったが、やがて「フッ」と軽く口元を緩めた。
「こうして見るとやはりエドワードにうり二つだわ。だけど、実際に二人並んだらどうなのかしらね」
「…え?」
僕は彼女の発言に耳を疑った。
(今、エドワードと言ったのか? この国の王子を呼び捨てにするなんて…。…まさか? …でも、どうしてここに…?)
「エドワード」と呼び捨てにした事からこの女性がエドワード王子の母親であると推測される。
つまり、僕の母親でもあるという事だ。
それならば、彼女を見て言いようのない感情が渦巻いてきたのも納得出来る。
だが、どうしてここに現王妃である彼女がいるんだろうか?
偶然…ではない事ははっきりしている。
今日、僕がここに来る事はテイラー伯爵夫人たっての希望だ。
それに大人側の招待客に王妃が参加するなんて話は聞いていない。
正式な参加者であれば、お茶会の席で来賓としてもてなされているはずだ。
それがこんな場所にひっそりといるという事は、誰にも内緒で参加している事になる。
では、何故、王妃はここにいるんだろうか?
それに、偶然僕を目にしたにしてはあまり驚いていない。
つまり、最初から僕がエドワード王子にそっくりだと知っていた事になる。
では、誰が僕とエドワード王子がそっくりだと知らせたのだろうか?
…もしかして、テイラー伯爵夫人?
前回で僕の顔を知ったテイラー伯爵夫人がその後、エドワード王子に会うか見かけるかして僕とそっくりだと知って、王妃に報告したのだろうか?
だとしたら、先ほど玄関先で顔を合わせた時も妙に僕を凝視してきた事にも納得がいく。
そんな事をぐるぐると考えていると、目の前の王妃がまた一歩距離を詰めてきた。
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