35 / 228
幼少期
35 邂逅
しおりを挟む
テイラー伯爵家に到着すると、僕達は前回と同じように庭園に到着案内された。
庭園に向かうと、ここでも前回と同じように僕とアーサーはレイナ嬢の所へ連れて行かれた。
「いらっしゃいませ、エドアルド様、アーサー様。どうぞお席にお座りください」
レイナ嬢に出迎えられ、僕とアーサーは隣合った席へと腰をおろした。
和やかな雰囲気の中、ワイワイと皆でおしゃべりを楽しむ。
やはりこうやって同年代の友達と過ごすのはとても楽しい。
学院は十歳からとは聞いているが、もう少し早くならないものなのだろうか?
そのうちに僕は妙にトイレに行きたくなってしまった。
(しまった。ちょっとお茶を飲みすぎたかな?)
お茶には利尿作用があると聞いた事があるが、この世界でもやはり一緒なのだろうか?
流石にお茶会が終わるまで持ちそうもないので、ここはさっさとトイレに行くべきだろう。
「すみません、レイナ様。ちょっと席を外させてください」
僕はレイナ嬢にそう断ると、席を立って近くにいた侍女に声をかける。
「すみません。お手洗いを貸してもらえますか?」
「はい、ご案内させていただきます」
僕は侍女の後をついて行き、庭園を横切って屋敷の中へと入って行く。
「こちらでございます」
屋敷に入ってすぐの所にトイレはあった。
前世と同じく洋式の水洗トイレだ。
この世界でも洋式トイレが使えるなんて感動モノだよ。
小用を済ませて手を洗い、目の前の鏡で身だしなみを確認して廊下に出る。
僕を案内してくれた侍女がそこで待っている…はずだった。
(あれ? 誰もいない…)
軽く辺りを見回したが、侍女どころか誰の姿も見受けられなかった。
(おかしいな? 屋敷の中を勝手に歩き回らないように待機してくれているはずなのにな…)
幸いここは庭園への出入り口のすぐ傍にあったので迷子になる事はない。
それに勝手に他所の屋敷内をうろつくような無作法さは持ち合わせてはいない。
出入り口に向かおうとして、ふと僕は視線を感じて振り返った。
「…え?」
いつの間にそこに現れたのか、一人の女性がそこに立っていた。
知らない女性なのに、何故かその人から目が離せなかった。
(…誰?)
その女性から目を離す事も身動きする事も出来ずに僕はその場に立ち尽くす。
彼女は品定めするように僕を見据えたまま、ゆっくりとこちらに歩み寄ってきた。
普通、子供と会話する時はこちらに目線を合わせるように身を屈めたり、しゃがんだりするものだが、彼女は上から僕を見下ろすだけだった。
しばらく僕を見下ろしていた彼女だったが、やがて「フッ」と軽く口元を緩めた。
「こうして見るとやはりエドワードにうり二つだわ。だけど、実際に二人並んだらどうなのかしらね」
「…え?」
僕は彼女の発言に耳を疑った。
(今、エドワードと言ったのか? この国の王子を呼び捨てにするなんて…。…まさか? …でも、どうしてここに…?)
「エドワード」と呼び捨てにした事からこの女性がエドワード王子の母親であると推測される。
つまり、僕の母親でもあるという事だ。
それならば、彼女を見て言いようのない感情が渦巻いてきたのも納得出来る。
だが、どうしてここに現王妃である彼女がいるんだろうか?
偶然…ではない事ははっきりしている。
今日、僕がここに来る事はテイラー伯爵夫人たっての希望だ。
それに大人側の招待客に王妃が参加するなんて話は聞いていない。
正式な参加者であれば、お茶会の席で来賓としてもてなされているはずだ。
それがこんな場所にひっそりといるという事は、誰にも内緒で参加している事になる。
では、何故、王妃はここにいるんだろうか?
それに、偶然僕を目にしたにしてはあまり驚いていない。
つまり、最初から僕がエドワード王子にそっくりだと知っていた事になる。
では、誰が僕とエドワード王子がそっくりだと知らせたのだろうか?
…もしかして、テイラー伯爵夫人?
前回で僕の顔を知ったテイラー伯爵夫人がその後、エドワード王子に会うか見かけるかして僕とそっくりだと知って、王妃に報告したのだろうか?
だとしたら、先ほど玄関先で顔を合わせた時も妙に僕を凝視してきた事にも納得がいく。
そんな事をぐるぐると考えていると、目の前の王妃がまた一歩距離を詰めてきた。
庭園に向かうと、ここでも前回と同じように僕とアーサーはレイナ嬢の所へ連れて行かれた。
「いらっしゃいませ、エドアルド様、アーサー様。どうぞお席にお座りください」
レイナ嬢に出迎えられ、僕とアーサーは隣合った席へと腰をおろした。
和やかな雰囲気の中、ワイワイと皆でおしゃべりを楽しむ。
やはりこうやって同年代の友達と過ごすのはとても楽しい。
学院は十歳からとは聞いているが、もう少し早くならないものなのだろうか?
そのうちに僕は妙にトイレに行きたくなってしまった。
(しまった。ちょっとお茶を飲みすぎたかな?)
お茶には利尿作用があると聞いた事があるが、この世界でもやはり一緒なのだろうか?
流石にお茶会が終わるまで持ちそうもないので、ここはさっさとトイレに行くべきだろう。
「すみません、レイナ様。ちょっと席を外させてください」
僕はレイナ嬢にそう断ると、席を立って近くにいた侍女に声をかける。
「すみません。お手洗いを貸してもらえますか?」
「はい、ご案内させていただきます」
僕は侍女の後をついて行き、庭園を横切って屋敷の中へと入って行く。
「こちらでございます」
屋敷に入ってすぐの所にトイレはあった。
前世と同じく洋式の水洗トイレだ。
この世界でも洋式トイレが使えるなんて感動モノだよ。
小用を済ませて手を洗い、目の前の鏡で身だしなみを確認して廊下に出る。
僕を案内してくれた侍女がそこで待っている…はずだった。
(あれ? 誰もいない…)
軽く辺りを見回したが、侍女どころか誰の姿も見受けられなかった。
(おかしいな? 屋敷の中を勝手に歩き回らないように待機してくれているはずなのにな…)
幸いここは庭園への出入り口のすぐ傍にあったので迷子になる事はない。
それに勝手に他所の屋敷内をうろつくような無作法さは持ち合わせてはいない。
出入り口に向かおうとして、ふと僕は視線を感じて振り返った。
「…え?」
いつの間にそこに現れたのか、一人の女性がそこに立っていた。
知らない女性なのに、何故かその人から目が離せなかった。
(…誰?)
その女性から目を離す事も身動きする事も出来ずに僕はその場に立ち尽くす。
彼女は品定めするように僕を見据えたまま、ゆっくりとこちらに歩み寄ってきた。
普通、子供と会話する時はこちらに目線を合わせるように身を屈めたり、しゃがんだりするものだが、彼女は上から僕を見下ろすだけだった。
しばらく僕を見下ろしていた彼女だったが、やがて「フッ」と軽く口元を緩めた。
「こうして見るとやはりエドワードにうり二つだわ。だけど、実際に二人並んだらどうなのかしらね」
「…え?」
僕は彼女の発言に耳を疑った。
(今、エドワードと言ったのか? この国の王子を呼び捨てにするなんて…。…まさか? …でも、どうしてここに…?)
「エドワード」と呼び捨てにした事からこの女性がエドワード王子の母親であると推測される。
つまり、僕の母親でもあるという事だ。
それならば、彼女を見て言いようのない感情が渦巻いてきたのも納得出来る。
だが、どうしてここに現王妃である彼女がいるんだろうか?
偶然…ではない事ははっきりしている。
今日、僕がここに来る事はテイラー伯爵夫人たっての希望だ。
それに大人側の招待客に王妃が参加するなんて話は聞いていない。
正式な参加者であれば、お茶会の席で来賓としてもてなされているはずだ。
それがこんな場所にひっそりといるという事は、誰にも内緒で参加している事になる。
では、何故、王妃はここにいるんだろうか?
それに、偶然僕を目にしたにしてはあまり驚いていない。
つまり、最初から僕がエドワード王子にそっくりだと知っていた事になる。
では、誰が僕とエドワード王子がそっくりだと知らせたのだろうか?
…もしかして、テイラー伯爵夫人?
前回で僕の顔を知ったテイラー伯爵夫人がその後、エドワード王子に会うか見かけるかして僕とそっくりだと知って、王妃に報告したのだろうか?
だとしたら、先ほど玄関先で顔を合わせた時も妙に僕を凝視してきた事にも納得がいく。
そんな事をぐるぐると考えていると、目の前の王妃がまた一歩距離を詰めてきた。
403
あなたにおすすめの小説
婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。
國樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。
声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。
愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。
古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。
よくある感じのざまぁ物語です。
ふんわり設定。ゆるーくお読みください。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
えっ私人間だったんです?
ハートリオ
恋愛
生まれた時から王女アルデアの【魔力】として生き、16年。
魔力持ちとして帝国から呼ばれたアルデアと共に帝国を訪れ、気が進まないまま歓迎パーティーへ付いて行く【魔力】。
頭からスッポリと灰色ベールを被っている【魔力】は皇太子ファルコに疑惑の目を向けられて…
心配するな、俺の本命は別にいる——冷酷王太子と籠の花嫁
柴田はつみ
恋愛
王国の公爵令嬢セレーネは、家を守るために王太子レオニスとの政略結婚を命じられる。
婚約の儀の日、彼が告げた冷酷な一言——「心配するな。俺の好きな人は別にいる」。
その言葉はセレーネの心を深く傷つけ、王宮での新たな生活は噂と誤解に満ちていく。
好きな人が別にいるはずの彼が、なぜか自分にだけ独占欲を見せる。
嫉妬、疑念、陰謀が渦巻くなかで明らかになる「真実」。
契約から始まった婚約は、やがて運命を変える愛の物語へと変わっていく——。
この子、貴方の子供です。私とは寝てない? いいえ、貴方と妹の子です。
サイコちゃん
恋愛
貧乏暮らしをしていたエルティアナは赤ん坊を連れて、オーガスト伯爵の屋敷を訪ねた。その赤ん坊をオーガストの子供だと言い張るが、彼は身に覚えがない。するとエルティアナはこの赤ん坊は妹メルティアナとオーガストの子供だと告げる。当時、妹は第一王子の婚約者であり、現在はこの国の王妃である。ようやく事態を理解したオーガストは動揺し、彼女を追い返そうとするが――
私の存在
戒月冷音
恋愛
私は、一生懸命生きてきた。
何故か相手にされない親は、放置し姉に顎で使われてきた。
しかし15の時、小学生の事故現場に遭遇した結果、私の生が終わった。
しかし、別の世界で目覚め、前世の知識を元に私は生まれ変わる…
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ
猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。
当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。
それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。
そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。
美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。
「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」
『・・・・オメエの嫁だよ』
執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる