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幼少期
48 誘拐
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コールリッジ子爵家はエルガー男爵家から馬車で十分ぐらいの所にあると聞いている。
だが、生憎とこの世界には腕時計なんて存在しない。
したがって馬車に揺られている時間が十分だったのかどうかはわからなかった。
「随分と時間が過ぎたみたいだけど、コールリッジ子爵家ってそんなに遠いのかな?」
僕が尋ねるとメイドも不思議そうに首を傾げる。
「どうなんでしょう? 伺った事がないので私にはわかりかねます」
外も見えないので今自分達が何処を走っているのかさっぱりわからない。
もしかして僕達は騙されてこの馬車に乗せられたんじゃないだろうか?
そんな考えが頭をよぎった頃にようやく馬車が停まった。
ホッと息をつくと馬車の扉が開いて御者が姿を見せる。
「お待たせいたしました。さあ。エドアルド様、どうぞ」
御者に手を差し出されて、僕はその手を取って馬車から降りる。
僕の後からメイドが馬車を降りようとしたその時、御者は馬車の扉を閉めて鍵をかけた。
当然、降りようとしていたメイドは馬車の中に閉じ込められてしまった。
「な、何を?」
僕は訳がわからずその場に立ち尽くす。
馬車の中に閉じ込められたメイドがドンドンと馬車の扉を叩く。
「開けてください! これは一体どういう事ですか? エドアルド様! ご無事ですか!? エドアルド様!」
御者は先ほどまでの温厚そうな表情は何処へやら、ニヤリと口を歪ませた。
「お前が付いて来ると言った時はどうしようかと思ったが、エドアルド様が先に降りてくれて助かったよ。しばらくそこで大人しくしててくれ。気が向いたら出してやるよ」
そう言うと御者は驚いている僕に向き直る。
「さあ、エドアルド様。私と一緒に来てくださいますね? さもないとこのメイドが酷い目に合うかもしれませんよ」
そう言われて僕はただ、コクリと頷くしかなかった。
どうやら彼の目的は僕だけだったようだ。
この状況ではどうやったって僕に勝ち目はない。
それに僕を殺すのが目的ならばとうに殺られているはずだ。
だけど何が目的で僕を誘拐したのだろうか?
身代金目当てでない事は明白だ。
我が家は男爵家だし、そもそも僕は養子としてエルガー家に貰われている。
少し調べれば僕が養子なのはすぐに判明するはずだ。
そんな僕を誘拐するなんて…。
まさか!?
僕が捨てられた王子だと知っている人物がいるのだろうか?
僕は今一度、僕が生まれた時の事を思い返してみた。
あの時、父親である国王は『三人だけの秘密』だと言っていた。
つまり、国王とサラと医者の三人だ。
国王が僕を連れ戻すなら密かにエルガー家に接触すれば済む話だ。
サラが僕を誘拐するとは思えない。
母親である王妃によれば、今は国王の愛人らしいから、僕の事なんてどうでもいいはずだ。
では、医者はどうだろうか?
あの時の印象からして、とても今回の事を計画するような人物には見えなかった。
では、一体誰が僕を誘拐したのだろうか?
訳がわからないまま、僕は御者に連れられて目の前にある建物の中へと入って行く。
僕の後ろではまだ、馬車の扉をドンドンと叩く音が聞こえていたが、屋敷の扉がしまった途端、それも聞こえなくなった。
廊下を歩きながら、僕は横にいる御者に尋ねた。
「あの人を殺したりはしませんよね? 無事に家に返してくれますよね?」
僕の質問に御者はすうっと目を細める。
「流石はエドアルド様、随分とお優しいですね。彼女が大人しく私達の言う事を聞けば命までは取りませんよ。でも、大人しくなるまで時間はかかりそうですがね」
やがて御者は立ち止まると目の前の扉をノックした。
「旦那様、エドアルド様をお連れしました」
そう告げると扉を開いて僕を中へ入るように促す。
僕が室内に入ると、ソファーに座っていた一人の年老いた男性が立ち上がる。
「おお! エドアルド様。ようこそいらっしゃいました。確かにフィリップ様の若い頃にそっくりですな」
ここで父親の名前が出てきた事で僕は確信した。
この人は僕が王子だと知っているのだと…。
だが、生憎とこの世界には腕時計なんて存在しない。
したがって馬車に揺られている時間が十分だったのかどうかはわからなかった。
「随分と時間が過ぎたみたいだけど、コールリッジ子爵家ってそんなに遠いのかな?」
僕が尋ねるとメイドも不思議そうに首を傾げる。
「どうなんでしょう? 伺った事がないので私にはわかりかねます」
外も見えないので今自分達が何処を走っているのかさっぱりわからない。
もしかして僕達は騙されてこの馬車に乗せられたんじゃないだろうか?
そんな考えが頭をよぎった頃にようやく馬車が停まった。
ホッと息をつくと馬車の扉が開いて御者が姿を見せる。
「お待たせいたしました。さあ。エドアルド様、どうぞ」
御者に手を差し出されて、僕はその手を取って馬車から降りる。
僕の後からメイドが馬車を降りようとしたその時、御者は馬車の扉を閉めて鍵をかけた。
当然、降りようとしていたメイドは馬車の中に閉じ込められてしまった。
「な、何を?」
僕は訳がわからずその場に立ち尽くす。
馬車の中に閉じ込められたメイドがドンドンと馬車の扉を叩く。
「開けてください! これは一体どういう事ですか? エドアルド様! ご無事ですか!? エドアルド様!」
御者は先ほどまでの温厚そうな表情は何処へやら、ニヤリと口を歪ませた。
「お前が付いて来ると言った時はどうしようかと思ったが、エドアルド様が先に降りてくれて助かったよ。しばらくそこで大人しくしててくれ。気が向いたら出してやるよ」
そう言うと御者は驚いている僕に向き直る。
「さあ、エドアルド様。私と一緒に来てくださいますね? さもないとこのメイドが酷い目に合うかもしれませんよ」
そう言われて僕はただ、コクリと頷くしかなかった。
どうやら彼の目的は僕だけだったようだ。
この状況ではどうやったって僕に勝ち目はない。
それに僕を殺すのが目的ならばとうに殺られているはずだ。
だけど何が目的で僕を誘拐したのだろうか?
身代金目当てでない事は明白だ。
我が家は男爵家だし、そもそも僕は養子としてエルガー家に貰われている。
少し調べれば僕が養子なのはすぐに判明するはずだ。
そんな僕を誘拐するなんて…。
まさか!?
僕が捨てられた王子だと知っている人物がいるのだろうか?
僕は今一度、僕が生まれた時の事を思い返してみた。
あの時、父親である国王は『三人だけの秘密』だと言っていた。
つまり、国王とサラと医者の三人だ。
国王が僕を連れ戻すなら密かにエルガー家に接触すれば済む話だ。
サラが僕を誘拐するとは思えない。
母親である王妃によれば、今は国王の愛人らしいから、僕の事なんてどうでもいいはずだ。
では、医者はどうだろうか?
あの時の印象からして、とても今回の事を計画するような人物には見えなかった。
では、一体誰が僕を誘拐したのだろうか?
訳がわからないまま、僕は御者に連れられて目の前にある建物の中へと入って行く。
僕の後ろではまだ、馬車の扉をドンドンと叩く音が聞こえていたが、屋敷の扉がしまった途端、それも聞こえなくなった。
廊下を歩きながら、僕は横にいる御者に尋ねた。
「あの人を殺したりはしませんよね? 無事に家に返してくれますよね?」
僕の質問に御者はすうっと目を細める。
「流石はエドアルド様、随分とお優しいですね。彼女が大人しく私達の言う事を聞けば命までは取りませんよ。でも、大人しくなるまで時間はかかりそうですがね」
やがて御者は立ち止まると目の前の扉をノックした。
「旦那様、エドアルド様をお連れしました」
そう告げると扉を開いて僕を中へ入るように促す。
僕が室内に入ると、ソファーに座っていた一人の年老いた男性が立ち上がる。
「おお! エドアルド様。ようこそいらっしゃいました。確かにフィリップ様の若い頃にそっくりですな」
ここで父親の名前が出てきた事で僕は確信した。
この人は僕が王子だと知っているのだと…。
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