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8 生活の変化
僕の話を聞いたヴァネッサはどこかホッとしたような顔をしている。
おそらくアドリアンの子供を授かった事で僕から「堕ろせ」と言われる事を覚悟していたらしい。
だが、この妊娠が僕とアドリアンの計画だと知って色々と腑に落ちる事もあったようだ。
ヴァネッサがせっかく授かったアドリアンの子供を無下に扱ったりしないだろうとわかったので僕は満足して立ち上がった。
「ゆっくり休んでおいで。食事の時間になったら呼びに来るよ」
そう言い残して部屋を出ると、そこにポーラが待っていた。
「リュシアン様。生活を別邸からこちらに移すと伺っておりますが、準備を進めてもよろしいでしょうか?」
「ああ、そうだね。僕も一緒に行こう」
ヴァネッサの妊娠が発覚した以上、別邸で過ごす意味は無くなった。
ポーラと共に別邸で指示を出していると食事の用意が出来たと伝えられた。
本邸に戻ってヴァネッサの部屋に顔を出すと、彼女は丁度ベッドに起き上がろうとしているところだった。
「ヴァネッサ。食事の支度が出来たけど食べられそうかい」
ヴァネッサが体を起こすのを手伝ってそのまま食堂にエスコートする。
食堂に入るとそこには既に両親が着席していたが、ヴァネッサは父がいる事に驚いていた。
「まあ、お義父様。どうなされたんですか?」
どうやら母上は僕だけでなく父上までも呼び戻していたようだ。
「ジョゼットから連絡をもらってね。昼食が終わり次第王宮に戻るよ。それよりも子供が出来たって? おめでとう」
「しばらくは安静にしてもらおうと思っているから、簡単にお祝いしようと思ったのよ。お酒は出せないけど乾杯しましょう」
父上まで呼び戻した事で、王妃である妹にも孫が出来た事を周知させたようだ。
そんな事まで妹と張り合っていたいのかね。
母上はアドリアンが秘薬をアンジェリックに使ったと思っているから、それよりも早くヴァネッサが妊娠したのが嬉しいようだ。
だが、実際には秘薬は使われていないから、アンジェリックがいつ妊娠するかはわからないな。
何しろ最近のアドリアンはあまりアンジェリックとベッドを共にしていないからね。
昨日の夜も僕の寝室へと転移をしてきていた。
もう少しアンジェリックとベッドを共にするようにアドリアンに進言しておこう。
食事を終えるとヴァネッサをまた先程の部屋に送り届けて、僕はまた移動の指示を出しに行った。
本邸に移っても今までと生活はあまり変わらない。
両親と食事を共にするのは週末だけだ。
ただ、ヴァネッサは悪阻のせいで食事が喉を通らなくなったようだ。
「ヴァネッサ。。それしか食べないのか? もっと栄養をつけないと…」
出された食事にほとんど手を付けないヴァネッサを見て驚いた。
「ごめんなさい。今はあまり欲しくはないの」
そう言いながら青い顔をしているヴァネッサに不安が押し寄せる。
医師が診察に訪れた際に同席してヴァネッサの様子を話したが「心配いりませんよ」とかわされた。
だが、医師の見立てではお腹の子は順調に育っているようだ。
そのうちに安定期に入り悪阻も収まったようでヴァネッサの食事の量も増えて行った。
風呂を終えて寝る前にヴァネッサの寝室を訪れて、少し膨らんできたお腹を優しく撫でる。
「だいぶ大きくなってきたね。生まれてくるのが楽しみだよ」
毎晩のようにヴァネッサのお腹に触れて、話しかけるのが日課になっていた。
本邸に移ってもヴァネッサとベッドを共にする事はなかった。
そうしてヴァネッサが臨月を迎える頃、王宮を揺るがす大事件が起こった。
おそらくアドリアンの子供を授かった事で僕から「堕ろせ」と言われる事を覚悟していたらしい。
だが、この妊娠が僕とアドリアンの計画だと知って色々と腑に落ちる事もあったようだ。
ヴァネッサがせっかく授かったアドリアンの子供を無下に扱ったりしないだろうとわかったので僕は満足して立ち上がった。
「ゆっくり休んでおいで。食事の時間になったら呼びに来るよ」
そう言い残して部屋を出ると、そこにポーラが待っていた。
「リュシアン様。生活を別邸からこちらに移すと伺っておりますが、準備を進めてもよろしいでしょうか?」
「ああ、そうだね。僕も一緒に行こう」
ヴァネッサの妊娠が発覚した以上、別邸で過ごす意味は無くなった。
ポーラと共に別邸で指示を出していると食事の用意が出来たと伝えられた。
本邸に戻ってヴァネッサの部屋に顔を出すと、彼女は丁度ベッドに起き上がろうとしているところだった。
「ヴァネッサ。食事の支度が出来たけど食べられそうかい」
ヴァネッサが体を起こすのを手伝ってそのまま食堂にエスコートする。
食堂に入るとそこには既に両親が着席していたが、ヴァネッサは父がいる事に驚いていた。
「まあ、お義父様。どうなされたんですか?」
どうやら母上は僕だけでなく父上までも呼び戻していたようだ。
「ジョゼットから連絡をもらってね。昼食が終わり次第王宮に戻るよ。それよりも子供が出来たって? おめでとう」
「しばらくは安静にしてもらおうと思っているから、簡単にお祝いしようと思ったのよ。お酒は出せないけど乾杯しましょう」
父上まで呼び戻した事で、王妃である妹にも孫が出来た事を周知させたようだ。
そんな事まで妹と張り合っていたいのかね。
母上はアドリアンが秘薬をアンジェリックに使ったと思っているから、それよりも早くヴァネッサが妊娠したのが嬉しいようだ。
だが、実際には秘薬は使われていないから、アンジェリックがいつ妊娠するかはわからないな。
何しろ最近のアドリアンはあまりアンジェリックとベッドを共にしていないからね。
昨日の夜も僕の寝室へと転移をしてきていた。
もう少しアンジェリックとベッドを共にするようにアドリアンに進言しておこう。
食事を終えるとヴァネッサをまた先程の部屋に送り届けて、僕はまた移動の指示を出しに行った。
本邸に移っても今までと生活はあまり変わらない。
両親と食事を共にするのは週末だけだ。
ただ、ヴァネッサは悪阻のせいで食事が喉を通らなくなったようだ。
「ヴァネッサ。。それしか食べないのか? もっと栄養をつけないと…」
出された食事にほとんど手を付けないヴァネッサを見て驚いた。
「ごめんなさい。今はあまり欲しくはないの」
そう言いながら青い顔をしているヴァネッサに不安が押し寄せる。
医師が診察に訪れた際に同席してヴァネッサの様子を話したが「心配いりませんよ」とかわされた。
だが、医師の見立てではお腹の子は順調に育っているようだ。
そのうちに安定期に入り悪阻も収まったようでヴァネッサの食事の量も増えて行った。
風呂を終えて寝る前にヴァネッサの寝室を訪れて、少し膨らんできたお腹を優しく撫でる。
「だいぶ大きくなってきたね。生まれてくるのが楽しみだよ」
毎晩のようにヴァネッサのお腹に触れて、話しかけるのが日課になっていた。
本邸に移ってもヴァネッサとベッドを共にする事はなかった。
そうしてヴァネッサが臨月を迎える頃、王宮を揺るがす大事件が起こった。
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